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【簡易軌道風蓮線】別海村営軌道の痕跡を探して【原野から上風蓮編】

奥行臼駅周辺だけでも十分に軌道のあったころの雰囲気は感じられるけれど、せっかくなので各停留所があったであろう場所がいまどうなっているか見ていくことにした。幸いにも道道930号とその近隣の農道に軌道跡の多くは沿っているため遺構の捜索がしやすそうだ。(この記事は2017年から2020年の間に撮影した写真が混在しています。ご了承ください。)

路線の全貌

釧路市立博物館発行の『釧路・根室の簡易軌道【増強改訂版】』等を基に大体の停留所の場所を推測して作成した。2号停留所と学校前停留所の間には郵便局があり、簡易的な乗降台もあったらしい。


奥行臼第一停留所付近

奥行臼を出て最初の停留所が奥行臼第一だ。ただし、この停留所名は奥行臼停留所にあった駅名板が写った写真を見ると「おくゆきだいいち」との表記もある。どちらでも問題なかったのだろうか。

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奥行臼第一停留所であっただろう場所にその痕跡は見当たらない。中央の未舗装の農道が軌道の跡…ではなく画面左(奥行臼方)から伸びた軌道がこのあたりで農道と交差しており、停留所があった模様である。

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ほぼ同じ場所から上風蓮方を見ると、なんとなく木々の間隔が開いて道があるかのようだ。おそらくこの空間に軌道が通っていたか。


奥行臼第三停留所付近

停留所の正確な場所はとうとうわからなかったが、写真中央を左右に木が並んでいる部分がかつての軌道のあった場所か。ここから先で道道930号に並行する。

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富山停留所付近

かつては側線のあった停留所と思われる場所には、柵に囲まれた何らかの設備があったが軌道とは関係なさそうである。

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1号停留所付近

上風蓮に向かって左のカーブしたあたりにあったとされる停留所。道路と牧場の敷地の間に笹が生い茂っていたが、ここが軌道の跡なのか?

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1号を過ぎると道路は右に逸れていくが、軌道は神風蓮川に向かい真っ直ぐ進んで川を越え、2号を目指していく。

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道路が右に別れていくあたりから2号方面を見ると一列に木が並んでいるが、そのあたりが軌道の跡なのかもしれない。立ち入ることはできなかったが、果たして橋梁や橋台は今もあるのだろうか。


2号停留所付近

衛星写真でこの付近を見ると不思議な三角形の林があるのが分かるが、その辺に沿って軌道があったとしたら…と考えると写真がその位置である。写真は1号方面を向いているが、やはり正確な場所はわからない。

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学校前停留所付近

ここも側線があった停留所であり、比較的写真が残されている場所でもある。当時の写真では小さな木造の待合室があったようだが、いまは見当たらない。学校や郵便局はどこにあったのだろう。

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4号停留所付近

軌道跡は林となっているようであるが、停留所があったかもしれない場所に物置がぽつんと建っていた。

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5号停留所付近

もうそろそろ何らかの遺構が見たい気持ちが高まりつつ5号停留所。ここもはっきりとした痕跡はわからない。

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そして5号を出て、少し先の道路が右に逸れるあたりで、何やら農道らしき道が真っ直ぐ伸びている。

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これは軌道の跡だろう。そうであってほしい…。


7号停留所付近

7号停留所はこのあたりだったと思われる。写真右側の砂利道は5号から続いている道であり、おそらく軌道の跡だ。

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そして少し5号の方へ歩いてみると…

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レールが地面から伸びている。廃線後、柵に転用されたのだろう。


上風蓮停留所と遺物

そして終点の上風蓮に到着。1969年当時の時刻表によれば、軌道は奥行臼~上風蓮の13キロを30分で結んでいた。時速26キロのゆるやかな旅であるけれど、さらに昔は馬がトロッコを引いていた路線であるから、当時としてはずいぶん速くなったと言えるだろう。

上風蓮は奥行臼にも匹敵するような設備が整っており、転車台や事務所、詰所そして機関庫が揃っていた。機関庫は現存し、町の文化財にも登録されている。機関庫横には案内板も設置され、当時の写真が貼られているので位置関係と変化が分かりやすい。

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当時は機関庫に向かって左側に牛乳を保管する建物もあり、線路も分岐して伸びていた。しばし機関庫の近くを何かないか探してると…

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レールが埋もれながらも残っている。きっとまだ何かあるはず…。

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何やら怪しい廃材。近づいてみる。

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!!!…軌道が無くなったのはいまから半世紀も前。なのに、なぜ私の目の前に軌道の連結器があるのだろう。

訪問の後日、フォロワーの方からこれが貨車の連結器であることをご教示いただきました。ということは、あの廃材の山は貨車の一部…?

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思いがけない発見のあった上風蓮。

補足

・奥行臼から軌道を辿る旅をすると、そのルート上にコンビニ等のお店はない。食事や買い出しは別海町中心部なので予め済ませたい。セコマもコープもフクハラもある。

・別海町には郷土資料館、図書館があり軌道の資料が残っている。図書館では絶版の『簡易軌道写真帖』も閲覧できるので、旅の前後で寄りたい。

・冬季は保存車輛がシートに覆われ、道も除雪されない区間があるのでおすすめは冬季以外。この記事を書いている人は雪国出身にもかかわらず冬季に訪問し、道なき道を運転して生きた心地がしなかった経験あり。

・「ロマン」に寄りポークチャップを食べ、牛乳を飲むのが楽しみの一つ。

・別海町には浜中町営軌道の上風蓮停留所(開南)も存在していた。距離的にも風蓮線の上風蓮停留所とも近く、そちらも訪問し、さらに浜中町営軌道跡をたどるプランも組める。


とりあえず忘備録的に描いたのでいずれ訂正、補足が入ると思います。

ここまでご覧いただきありがとうございます。次回は浜中かな。


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