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IMAXで観たい圧巻の映像体験・「沈黙の艦隊」映画感想文(ネタバレなし)

IMAXというと、ハリウッド映画のように圧倒的なスケールで描かれる映画を一層楽しむためのもの、という認識が筆者にはある。
邦画でそのくらいのスケールの映画はなかなか出てこないと思っていたが、映画「沈黙の艦隊」は凄かった。
これはまさに「IMAXで見るべき邦画」であると思う。

映像の迫力たるや、「これって本当に邦画??ハリウッド映画を観ているんじゃないのか?」と錯覚する。
CGやVFXの力もあるだろうが、何より本物の潜水艦が劇中に登場しているのだ。
その本物の潜水艦が実際に潜水するシーンには息を呑む。
水面に美しい水泡を立てながら、静かに潜水していく潜水艦。
その光景が至近距離で眼前に広がるのだ。
それも本物の潜水艦に、GoProをつけて撮影したからこその画である。

そして、潜水艦同士の「音」による戦いは臨場感たっぷりだ。
深海の中ではこんなふうに戦うのか・・・。
静寂の中、ソナーマンが拾う音が、勝敗を決する鍵となる。
彼ら聴覚のプロは音だけで、どの艦隊がどこにいて、戦闘準備しているのか判断できてしまうのだ。
これほど静かにして、激しい戦いはないだろう。
今まで見てきた映画でも、こんな戦闘シーンは潜水艦の戦いでしかみられない。

「トップガン マーヴェリック」は4DXで鑑賞すると、さながら観客がパイロットとして映画に没入する体験ができた。
この「沈黙の艦隊」はIMAXで鑑賞すると、迫力溢れる潜水艦の戦いを追体験できる。
「トップガン マーヴェリック」は、4DXのための映画と言うなれば、
「沈黙の艦隊」はIMAXのための映画だろう。
これが、Amazonスタジオが初めて手掛けた邦画の映像体験か・・・。
それが主演かつプロデューサーの大沢さんが防衛省に交渉し、自衛隊の全面協力を得られたことで、一層の迫力を増していることは間違いなかった。

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以下、結末のネタバレとなるような直接の言及はありませんが、結末についての印象のみふれております。気になる方はご注意ください。

核抑止力。

世界で唯一の被爆国である日本にとって、このテーマは他国以上に特別な意味がある。
そんなテーマをど直球に扱い、国会でも議論を巻き起こした原作「沈黙の艦隊」。
筆者は映画鑑賞後から即座に読み始めたが、その物語はとても重厚で、壮大で、一筋縄ではいかない。
そもそも、この物語が2時間程度で決着がつくわけがないのだ。
そんなことは最初からわかりきっていることではなかったか。

どうも我々観客は、わかりやすくてまとまっている結末を好みがちだ。
だから、今回の映画の結末にもさまざまな意見は出るであろうと思う。
しかし、独立国「やまと」と海江田艦長は一体どこに向かっていくのか。
その行く末を見届けたいと思わずにはいられないではないか。
そう多くの観客に思わせた時点で、この映画化は成功と言って良いだろうと、筆者は思うのだ。
この映画が、国防について考えるきっかけとなることは間違いない。
少なくとも筆者は、
「たかが半径5キロのこの海域に、 私は世界の現実を詰め込んだ」
という海江田四郎の言葉に、震えずにはいられなかった・・・。

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幸せを奪い合う、ボクら水槽の中で。
誰もみな、自分らしくいたいだけなんだよ。
(Ado「DIGNITY」より)

この主題歌はB’zが手掛け、Adoが歌い上げる壮大なバラード。
その一節が最後、無性に沁みるのだった。

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