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もうすぐ初期研修を終える研修医が、2年間で本当に使った医学書15冊

今日から3月。いよいよ筆者の初期研修も、残り1ヶ月を切りました・・・。
時が経つのは本当に早いものです・・・。

さて、昨年も同様の記事を書きましたが、2年間研修してみて、改めておすすめの医学書をご紹介しようと思います。
以下の15冊は、初期研修2年間で「あって本当によかったな」と思うものだけ選んだものです。そして、いつまでに読了すべきかも踏まえて紹介しています。
4月から医師デビューを果たす皆さんの参考になれば嬉しく思います。

<注意!!>
以下は一個人の感想です。あくまで参考程度に読んでいただけると幸いです。

研修医1年目早期までの読了がおすすめの医学書

○型が身につくカルテの書き方

【まずはカルテの書き方の型を知るべし!】
カルテの書き方について学ぶならこの一冊。カルテを書くことは、患者さんの病歴・バイタル・身体所見・検査所見から得た情報を順序立てて整理し、正しい診断やマネジメントに導く大切な作業です。この本では基本的なSOAP形式の日常カルテの書き方から、入院時サマリ、退院時サマリ、外来でのカルテの書き方などまとまっています。まずは「型」を知るところから始めましょう。
医学生〜研修医1年目はじめまでに読了することをおすすめします!

○これだけ輸液

【輸液選択で、とりあえずの合格ラインを知りたい時に】
研修医の業務で切っても切り離せない関係にあるのが「輸液」です。どんな患者さんで、何を、どのくらいの速度で輸液するのか、国試の勉強だけでは限界があると思います・・・。この本ではとても易しく輸液の使い方が解説されており、重要なところ、初期研修医が最低限習得すべきところに絞って載っているので、初学者にとてもオススメです。

○これだけ心電図

【心電図について、ひとまず最低限の基礎を確認したい時に】
「レジデントのためのこれだけ輸液」と同じシリーズの心電図版。これもまた、重要なところ、初期研修医が最低限習得すべきところに絞って載っている心電図入門書です。緊急性のある心電図はパターン認識で覚えつつ、系統的に読める方法を確立できるようになると良いですね。

○竜馬先生の血液ガス白熱講義150分

【血液ガスを系統的に読めるようになりたいときに】
救急外来で血液ガスを採取して出てきた結果、ちゃんと解釈できますか?
血液ガスの教科書と言えばこれ。150分とタイトルにもあるように、易しい文章ですっと読めてしまいます。それでいて血液ガスの理解が一気に深まる本です。自宅で寝転びながらでもいいのでまずは一読してみるのがおすすめです。
筆者は「医学生時代からこの本読んでおきたかった!」と心から思いました。
それだけ良くまとまっている良書です。

○あの研修医はすごい!と思わせる症例プレゼン

【業務に不可欠なプレゼンについて、型を学びたい時】
皆さんはプレゼンの仕方について学んだことはありますか?医師の実際の仕事はプレゼンの連続です。自分が担当している患者さんのプレゼン、救急外来で診た患者さんの診察を他科にコンサルトするためのプレゼンなどなど・・・。その際、ダラダラとしたプレゼンをしてしまうと「一体何を言いたいのか?」と相手をイライラさせてしまいかねません・・・。
スムーズな診療業務にプレゼンスキルが不可欠なのはもちろんのこと、プレゼンスキルは、研修医の実力を知る良い尺度として指導医は見ています。どうしたらわかりやすく伝えられるか、勉強しておく価値は十分にありますよ!

研修医2年間内での読了がおすすめの医学書

○内科レジデントの鉄則

【初期研修2年間の到達レベル把握に】
初期研修医ほぼ全員が持っている本かと思います。それ故にここに書いてある知識は、全研修医の共通認識となりうる存在です。初期研修2年間で最低限身につけておくべき内科的知識は、ここにあります。この本に書いてあることをマスターすることを、初期研修2年間の目標に据えて良いと思います。その知識は何科に行っても、必ず役に立つものになるはずです。

研修中から修了後も、困った時に使えるおすすめの医学書

○研修医のための内科診療ことはじめ 救急・病棟リファレンス

【病棟管理など、内科診療で困った時の味方!】
まるで各ローテ科の優秀な指導医から、贅沢なレクチャーを受けているような感覚です。病態生理からオーダーすべき検査、処方の考え方まで、研修医の「わからない」「知りたい」に寄り添った解説がなされています。フルカラーかつ図表が豊富でとてもわかりやすく、私にとって「こんなまとめが欲しかった!」と思えるようなまとめばかりでした。研修医が知りたいことは一通り網羅されているように思います。研修医の内科疾患マネジメントにおいて、この本があって路頭に迷うことはまずなさそうです。1年目の内科ローテ時からこの本が欲しかったと筆者に思わせてやまない一冊。

○京都ERポケットブック

【コンパクトかつフルカラーな、救急研修の心強いお供!】
救急外来での指導医の思考過程を、非常にわかりやすく言語化した本です。救急外来での問診ポイント・検査などの総論から、緊急順に赤、黄、緑に重み付けして各症候の対応がフルカラーでまとまっています。ポケットサイズなので、救急外来でとても使いやすいです。また後半部分の「特殊分野編」と題した項目に、外傷処置の方法やマイナー科救急対応の仕方など、まさに研修医が救急外来で「これどうしよう?」と思うところがまとまっており、とても実践的なマニュアルです。
つい最近第2版が出て、より見やすいデザインになりました!

○病棟指示と頻用薬の使い方

【処方や病棟指示で迷ったらこれ!】
1年目の時、「こういう時に何を何錠処方すればいいの?」という疑問がつきませんでした。例えば、「鎮痛剤の処方で、アセトアミノフェンとNSAIDs、どっちがいいんだろう?」「ロキソプロフェンと一緒に胃薬出したいけど、何選べばいいんだっけ?」などなど・・・。
そんな疑問を解決してくれるのがこの本。疼痛時、発熱時などを始め、よくあるシチュエーションでどう考えて何を出すべきか、わかりやすくまとめられています。そして嬉しいのが、安静度や食事の指示の出し方、病棟でのマイナートラブルへの対処法など、研修医がいざ病棟に出て立ちはだかる問題について解決法がまとめられているところです。この本が出たのは筆者が2年生になってからなので、1年の時に欲しかったと本当に思いました・・・。

○ジェネラリストのための内科外来マニュアル

【内科外来研修のお供に】
前半は患者さんのよくある主訴ごとに挙げるべき鑑別疾患と、診断のために必要な考え方、とるべき問診と身体所見、オーダーすべき検査がまとまっています。見開きで一覧になっておりわかりやすいです。一覧の後にはフローチャート含め、鑑別疾患の想起ポイントについて詳しい解説がなされています。
また、後半は高血圧や糖尿病など、common diseaseごとのマネジメントが載っています。内科外来で私がいつも使っている一冊です。

○感染症プラチナマニュアル

【何科に行っても必要な感染症診療のお供に!】
言わずと知れた感染症診療のバイブルの一つ。抗菌薬について、起因菌について、各種感染症について、ポケットサイズの中に詳しくまとめられています。抗菌薬や起因菌を、実臨床でパッと確認したい時によく使っています。

手技するぞ!となった時に使えるおすすめの医学書

○診察と手技がみえる(vol.2)

【まずは手技の手順イメージをつかむために】
手技をする前に大切なことの一つが、手順をしっかり理解できていること。この本は各手技について、ステップごとにカラー写真で、わかりやすく手順を紹介しています。いざ手技をやる前に、この本で手技の流れと注意点をチェックしてから臨むと良いです。ちなみに、vol.1はOSCEで求められるような身体診察がメインなので、いざ臨床で求められる手技を知りたいなら、vol.2のみでOKです。

○ねじ子のヒミツ手技 1st Lesson

【各ステップ毎の手技のコツを、もっと詳しく!】
医師であり漫画家である著者の人気コラムが書籍化したものです。先ほどの「診察と手技がみえる」とは異なり、こちらは全て著者の可愛らしいイラストで手技の解説がされています。そして、より細かく、一つ一つのステップでのコツが丁寧にわかりやすく描かれています。

私は手技に苦手意識を持っていたので、手技をする前はまず「診察と手技がみえる(vol.2)」で手順や準備物を理解し、実際にやってみて苦手だなと思った手技は「ねじ子のヒミツ手技 1st Lesson」でポイントを再確認していました。
手技は事前準備をしっかりしておき、あとは場数を踏んで振り返ることが大事です!

各科ローテを生き抜くためのお役立ち医学書

○小児科ファーストタッチ

【研修医に必要な小児科対応といえばこれ!】
タイトルにもある通り、「初期研修医などの非小児科医のための小児対応」がコンセプトです。小児ならではの絶対返してはいけないサイン、鑑別疾患、検査をする基準・帰宅とする基準・入院とする基準、処方や親御さんへの説明内容までまとまっています。筆者も救急外来の小児対応でいつも使っている本です。

○循環器のトビラ

【循環器内科について易しく学べる】
急性冠症候群、心不全、不整脈、高血圧・・・。循環器領域は難しいですが、commonであり、ぜひ初期研修中にローテしておきたい科です。循環器内科ローテの際、おすすめなのがこの本。研修医や若手医師を対象にしており、循環器内科のエッセンスを易しく学べます。「今どんなことを知っておいた方が良いのか」年次ごとでのゴールが明示されているので、循環器内科ローテでの目標設定にもうってつけです。循環器に苦手意識がある人こそ読んでほしい一冊。


どうかこれから医師になる皆さんにとって、
素晴らしい初期研修となりますように。

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