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研修医の読書感想文「買って良かった、新刊医学書3選(2022年春)」

研修医2年目となって1ヶ月経ち、外来や当直にも慣れてきた頃です。
1年前はとにかく手探りで、レビューで評価の高い医学書を手当たり次第読んできました。
でも今は、それらを実際に臨床で使ってみて、自分に合っている本、使える本の見分けが段々つくようになってきました。そこで本屋さんの医学書コーナーに行くと、「これは!」と思う本を見つけられるようになりました。

研修医向けの医学書レビューは結構目にしますし、それらはいずれも歴史のある、レビュー常連さんだと思います(以前、研修医デビューする方向けの記事も書いたので、以下に貼ります。適宜ご参照ください)。

そのため、最近発刊された良い医学書のレビューのまとめはあまり見かけないなーと思ったので(個人の感想)、ならばと書いてみました。お値段が張るものもありますが、3冊とも「買って良かった」と私が心から満足している本たちです。あくまで個人の意見ですので、参考までに。

🌟研修医・若手医師のための外来必携

https://www.amazon.co.jp/研修医・若手医師のための-外来必携-浜田-久之/dp/4840753644

○発行日:2021年11月25日(第1刷)
○おすすめ対象:初めての内科外来を控えた初期研修医、興味のある医学生
○おすすめポイント:これから外来を始める研修医の良きお供!
○使ってみての感想
まず外来の準備で必要なこと・外来の流れといった基本の「き」から、研修医が経験すべき29症候について、症例ベースで鑑別の絞り方・必要な検査・薬の処方まで載っています。特に私が気に入っているのは、各章最後にある「その日の振り返り」「もうひと頑張りの自習部屋」です。実際、外来で診断を何とかつけて、薬を処方して「終わった〜」ではなく、ちゃんと振り返って学びを次の外来診療に生かすことが大切です。この本では、症例の患者さんを帰して終わりではなく、周辺疾患のカバーを含めて詳しい解説が載っており、非常に教育的な外来指導医のようです。個人的に、「めまい」の章の「もうひと頑張りの自習部屋」はよくまとまっていてお気に入りです。初めての内科外来研修のお供にぜひ。

🌟medicina 2022年増刊号 特集 フィジカル大全

https://www.amazon.co.jp/medicina-メディチーナ-2022年-フィジカル大全-読んで-身体診察を完全マスター/dp/B09TMTLJ4S

○発行日:2022年4月1日(第1刷)
○おすすめ対象:身体診察に興味のある医学生・初期研修医以上
○おすすめポイント:詳しい解説・写真・動画で、身体診察がわかる!
○使ってみての感想
「身体診察を学びたいけれど、なかなか指導医に教わる機会もないし、独学も難しい!」と思っている研修医は少なくないのではないでしょうか?この本の一番の魅力は、聴診所見など視聴覚教材が充実していることです。QRコードで聴診所見や各身体所見の動画が見られるので、電子書籍で開けば、場所を問わず瞬時に身体所見の一例を確認することができます。解説も非常に詳しく、特に心雑音の解説は圧巻!ここまで心雑音について詳しく記載されている医学書はあまり多くはないと思います。詳しい解説を読んで、動画や音声で見て、聴いて。「んー、なんか見た・聞いてみたけどよくわかんないや」で済ませたくない、本気で身体診察を学びたい方には特におすすめです。

🌟研修医のための内科診療ことはじめ 救急・病棟リファレンス

https://www.amazon.co.jp/研修医のための内科診療ことはじめ-救急・病棟リファレンス-杉田-陽一郎/dp/4758123853

○発行日:2022年3月20日(第1刷)
○おすすめ対象:初期研修医1、2年
○おすすめポイント:研修医のための、新しい病棟管理バイブル!
○使ってみての感想
まるで各ローテ科の優秀な指導医から、贅沢なレクチャーを受けているような感覚です。病態生理からオーダーすべき検査、処方の考え方まで、研修医の「わからない」「知りたい」に寄り添った解説がなされています。フルカラーかつ図表が豊富でとてもわかりやすく、私にとって「こんなまとめが欲しかった!」と思えるようなまとめばかりでした。どの章も秀逸ですが、私は感染症の章、とりわけGPC、GNRごとのまとめを特に気に入っています。また、鎮痛薬や便秘薬の処方の際、「なぜこの薬を選ぶのか」というところなど、研修医が知りたいことは一通り網羅されているように思います。研修医の病棟管理において、この本があって路頭に迷うことはまずなさそうです。1年目の内科ローテ時からこの本が欲しかったなあ・・・。

最後に

以上、どれも比較的最近、最後の2冊に至ってはこの春、世に出たばかりの医学書たちです。この2冊はページ数もボリュームがあるので、紙媒体よりも電子書籍が特におすすめです。
3冊とも全て歴史は浅いけれども「買って良かった!」思えた本たちなので、ご紹介しました。少しでも参考になりましたら幸いです。

医学書にしろ、小説にしろ、教養書にしろ、良書との出会いは宝物です。
良い本と出会いましたら、また読書感想文を書こうと思います。

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