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絶望の中から生まれた、希望の象徴としての鬼太郎〜「鬼太郎誕生ゲゲゲの謎」映画感想文(ネタバレなし)〜

子供の頃、鬼太郎のアニメをよく観ていたのです。
そのためとても懐かしく、非常に話題の映画だったので視聴。

いやあ、これが口コミで一気に人気に火がつき、日本アカデミー賞優秀アニメーション賞を取った作品かあ・・・。
「鬼太郎って、子供向けだよな」
そんな声を吹き飛ばすような、大人向けのゲゲゲの鬼太郎エピソード0でした。
「なぜ鬼太郎は誕生したのか」「なぜ鬼太郎の父は目玉親父なのか」というところを丁寧に描き、細部に至るまで作り込まれた作品だからです。

舞台は、閉鎖的な村と、因習に縛られた一族。
こういうクローズドサークルには何かが起こる。まるでアニメ版犬神家の一族。ところが明らかに人間には不可能な殺人がおき、ミステリから一気にホラーへ。こんな展開はなかなかなくて新鮮です。

そして序盤から、綿密に張り巡らされた伏線が数多く登場します。
ん?これってどういうことだ?と引っかかったところが、後でみんな繋がる快感。気になって複数回見てしまうほど巧みな、伏線の秀逸さ。まさに見れば見るほど、噛めば噛むほど味が出る映画です。

何より、恐ろしいのは妖怪よりも人間の方だなと思わせられる、おぞましいエピソード。人間の業というものは恐ろしい。この状況は絶望でしかない。

しかし、一番凄かったのはエンドロールから。
子供の頃、少なからず鬼太郎のアニメに触れていたこともあり、鬼太郎の父がなぜ目玉親父となったのかに涙が止まらなかった。
これが、鬼太郎誕生、ゲゲゲの謎なんだと。
父親と母親が、絶望の中でも諦めなかったからこそ、鬼太郎が生まれた。
絶望の中から生まれた、希望の象徴としての鬼太郎がそこにいました。
まさか鬼太郎で感動して泣くとは思わなかった・・・。


伏線が気になりすぐに2回目を見てしまい、さらに伏線に気づいて3回目へ。
見るたびに新たな発見があり、あれよあれよとこれまでに5回以上の視聴をしてしまいました。
そして買ってしまった映画館入場特典がこれ。

これは映画見た後には号泣ものですね。
いつの時代でも、一所懸命生きている人たちが踏みつけにされず、幸せに生きていけるようであってほしいと、願わずにはいられない映画でした。


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