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東京と福岡をまたぐデザインチームづくり

お金を前へ。人生をもっと前へ。すべての働く人のために、企業の様々なバックオフィス業務を効率化するマネーフォワード クラウド。提供サービスは多岐に渡りますが、これらのサービスを多くのデザイナーが支えています。

2023年現在、70名を超えるまでに成長したマネーフォワードのデザイン組織。国内では東京・名古屋・大阪・京都・福岡の5拠点にデザイナーが所属しています。筆者が所属する債権債務・経費デザイン部でも東京と福岡のデザイナーが日々密にコミュニケーションをとりながら、プロダクトの機能設計に取り組んでいます。

コロナ禍以降、リモートワークと親和性の高いデザイン制作業務は、業界的にリモート移行も大幅に進みましたが、組織づくりの面では多くの課題があります。本記事では、拠点を跨いだデザインチームづくりの工夫をご紹介します。

結束力が鍵となるデザインチーム

債権債務・経費デザイン部には、その名の通り、債権債務・経費に関わるバックオフィス業務の効率化を支援するプロダクトのデザイナーが所属しています。

債権債務というと、事業者間での金銭のやりとりに関わる業務に当たり、我々はクラウド請求書クラウド債務支払などのプロダクトデザインを担当しています。

この業務領域は、インボイス制度の対応インパクトが特に大きいところです。各プロダクトで制度対応に関する知識レベルや設計方針の足並みを揃える必要があります。そのためにはデザイナー同士の連携がとても大切です。

それぞれの拠点の働き方と特徴

前提として、マネーフォワードは全社的にリモートワークを推奨しており、デザイナーの多くは在宅ワークをしています。

ただし、担当プロダクトのチームメンバーは週に一度は出社して対面でコミュニケーションをとります。そのため、同じ拠点のデザイナー同士であれば、出社日を合わせれば、直接会う事はさほど難しくありません。

各拠点の違いといえば、東京本社はオフィスも大きく、デザイナー席は固まって配置されています。東京所属のデザイナーであれば他部門のメンバーとも交流しやすい環境です。

一方、福岡拠点は他部門のデザイナーが近くにいないこともありますが、規模の大きいプロダクトを取り扱っており、エンジニアの人数も多いため、エンジニアとの交流が活発な環境です。

このように、担当プロダクトごとにデザイナーの置かれる状況も少しずつ異なります。東京と福岡それぞれでプロジェクトが進行している状況では、お互いの様子を簡単に共有することはできません。この課題を解決するために、我々は情報の可視化や相互理解のための活動に取り組みました。

拠点間での連携方法

1.リーダーによる全体確認と情報共有

全社的なコミュニケーションツールはSlack、会議ツールはzoomで統一されているため大きな問題ありません。

しかし、担当するプロダクトによって参加するSlackのチャンネルが違ったり、プロジェクト管理ツールが違ったりと、各デザイナーで見えている情報に差があります。

例えば、とあるプロダクトで、他プロダクトにも関わる重要な議論や意思決定がなされている時があります。時間が経てば会社として情報共有されるものですが、上流設計に携わるデザイナーは、早めに情報をキャッチしておく必要があります。

こんな時は、部のリーダー層のメンバーが管轄プロダクト群のSlackチャンネルにすべて参加して、最新情報をキャッチした段階で、他デザイナーにもシェアしています。

2. 全デザイナーで集まる週次定例会

毎週金曜にデザイナー全員が集まり、オンライン会議で以下を共有します。

  • デザイナーの翌週予定と忙しさ具合

  • デザイナー部の全体施策の進捗状況

  • プロダクトの機能紹介

  • プロダクトの取り組み紹介

  • 事務連絡

翌週予定では、各プロダクトでどんな機能の設計や改善をするかを共有します。すると、すでに同じ設計をしているデザイナーから流用できるデザインデータをシェアしてもらえたり、今後設計予定のデザイナーからスケジュールをシェアしてもらえたりと、情報共有が活発化します。

忙しさの共有では、余裕のあるデザイナーが他プロダクトの忙しいデザイナーのタスクを引き取る良い機会になります。他プロダクトのデザインをすることで周辺プロダクトの理解も深まります。

さらに、プロダクトの機能や取り組みを紹介することで、プロダクト同士の機能差を細かく理解したり、スクラム開発でのデザイナーの動き方・リサーチ手法などを改善したりする機会になります。

zoomでの週次定例会

3. 拠点に依らない施策活動の分担

プロダクトのデザイン以外でも、デザインチームとしての施策活動がいくつかあります。例えば、このnoteのような情報発信の取り組み、デザイナーの採用や育成の施策などです。

このような施策活動は、全社的な取り組みは本社に寄りがちで、さらには拠点ごとに別々の施策に取り組むことも多いです。

拠点ごとにそれぞれで施策に取り組むことは合理的ではありますが、組織が分断され、チームの結束力を生み出しにくいデメリットもあります。

私たちのチームでは、東京・福岡の拠点に依らず、共通の施策に取り組んでおり、福岡所属のデザイナーにも、施策タスクをお願いしています。最近では、法令対応の勉強会やデザイナー人材育成の体系化を福岡デザイナーの大川さんに担当してもらいました。

大川さんに全体施策に取り組むメリットについて話を伺いました。

福岡デザイナーの大川さん

”全体施策って、通常だと東京本社で作られたベースが他拠点にも展開されて活用する流れが多いですよね。でも現在のチームでは、ベースを福岡でも作ることができるので、組織づくりに自分も率先して参加できている感覚があり、それがマネーフォワードで働く良さだと思います。

いまは人材育成の体系化に取り組んでいます。マネーフォワードのデザイン組織も規模が大きくなって、プロダクトごとにスキルもバックグラウンドも違うデザイナーがいるなかで、指標となるものを自分が作っているのは、とてもやり甲斐を感じます。

拠点の隔たりに関しては、普段の仕事をする上ではまったく感じませんし、おそらく今後、他の地方拠点や海外拠点が加わったとしても、変わらないと思います。”

4. 福岡にも部のマネージャーを配置

前述した施策活動だけではなく、マネージャーも拠点をまたいで分担しています。当部の中には2つのチームがありますが、1つのチームのマネージャーは福岡のデザイナーが担当しています。

そのチームの中には東京所属のデザイナーもいます。福岡マネージャーはチーム内のデザイナーの拠点に関係なく、皆が成果を最大化できるよう目標管理や日々のフォローを行っています。

福岡に所属するチームマネージャーの穂満さんに話を伺いました。

福岡デザイナーの穂満さん

”拠点の違いによるマネジメントの不安は特にはありません。ただ、福岡のデザイナーのほうが身近にいる分、普段の様子などを見やすいですよね。だから、東京のデザイナーに対しては、本人と1on1を丁寧にするよう心がけてます。あとは、担当プロダクトのPdMからも、デザイナーの貢献度をこまめにフィードバックしてもらい、状況を把握する工夫をしています。

拠点に依らないマネジメント業務をしていると、マネジメント層の意思決定にも私自身が関わるようになります。あとは東京のデザイナーとも密にコミュニケーションをとれるようになり、他のプロダクトの情報を把握しやすくもなりました。

これによって、福岡のデザイナーにもマネジメント層の決定事項の背景や過程を正確に伝えることができたり、私から他のプロダクトの情報共有を気軽にしやすくなりました。結果的に、福岡デザイナーの取り組みに対するモチベーションアップにも繋がっている実感があります。マネジメントに関わるメリットをいろんなところで感じていますね。”

5. 福岡での新メンバーオンボーディングの担当

マネーフォワードのデザイン組織では、新たに参画したデザイナーが早く環境に馴染み成果を出せるよう、オンボーディングにも力を入れています。

筆者は昨年秋に入社しましたが、その時にオンボーディングを担当してくれたのは福岡のデザイナー岡村さんです。彼女は、インターン生のオンボーディングも担当しています。筆者もインターン生も東京勤務のメンバーです。

拠点に関係なくオンボーディングができるのは、東京と福岡で大きな業務の差がないからこそできることです。オフィスの使い方など、どうしても拠点にいないと難しい内容は各拠点在籍のメンバーに依頼しますが、それ以外はオンラインで新規メンバーをサポートします。

参画してすぐは、毎夕1on1で本日の振り返り、翌日の計画の擦り合わせ、疑問点の確認をしてその場で解消するようにしています。オンボーディング用のSlackチャンネルも作り、いつでもオンラインで質問しやすい環境を作っています。

岡村さんにオンボーディングする上で気をつけているポイントなどを伺いました。

福岡デザイナーの岡村さん

”私がマネーフォワードに入社した時のオンボーディングでは、すごくウェルカムな雰囲気を出してくれたのを覚えています。私も同じようにしたいと思いつつ、オンラインで本当にやりきれるか最初は不安でした。

ただ、実際にやってみると、思ったほどオンラインでのやりにくさは感じませんでした。過去にオンボーディングを担当したデザイナーが標準的な枠組みを作ってくれていて、それに倣うことができたからだと思います。

オンラインだと相手の状況が見えないので、相手が困りそうなことを先回りして考えて、早めに情報共有するよう工夫をしています。

例えば、シニアデザイナーであれば、業務ドメイン知識を早めに知りたいだろうと考え、率先して資料の場所を共有します。インターン生であれば、働くことへの不安解消が自分の役目だと考えて、1on1では作業進捗だけではなく相手と対話することを重視しています。

オンボーディングを担当したことで、質問を受けた時に自分が理解できていなかった部分に改めて気づけるいい機会にもなりましたし、相手の状況を先回りして考える気遣い力も鍛えられている気がします。”

6. 定期的なリアル交流の機会

リモートワークが社会に浸透してきた昨今、業務上のコミュニケーションが問題なくても、雑談などのリアルでの何気ない交流は、仕事の生産性に影響を与えると言われます。

我々のチームでは、たとえ拠点が離れていても、可能な限りリアルな交流の場を取り入れて、お互いの状況がわかる機会をつくっています。例えば、2、3ヶ月に一度、東京・福岡のデザイナーがそれぞれの拠点を訪問し、同じ空間で終日仕事をしています。

訪問のきっかけは、サービスサファリ(参加者がサービスや業務を実体験することで、気づきや課題を把握するUXリサーチの手法)を企画したり、チームビルディングのワークショップを開催したりなど、リアルならではの場作りをしています。

実際に筆者もまだ入社して4ヶ月ですが、福岡デザイナーとリアルで対面する場がすでに何度かあり、普段もオンラインで交流をしているので、拠点が違うことを意識することはほぼありません。

しかし、筆者が福岡に訪問した時の気づきとして、オフィスの規模や他職種との関わり方など、オンラインだけではなかなか垣間見れない発見もありました。その環境下で、デザイナーが楽しみながら成果を出せるようなチームビルディングをしていこうと思っています。

福岡オフィスでのミーティングの様子

さいごに

マネーフォワードのプロダクトデザイナーは、デザインチームと自担当のプロダクトチームの2つに属していることがほとんどです。特に顧客へ価値提供をする立場としては、プロダクトチームへのコミットが最重要です。

しかし、デザイナーのキャリア形成の面では、その他のデザイナーの働き方が見えやすい環境、評価をうけやすい環境を作っていくことも大事です。

デザインチームのなかでデザイナーとしての基盤を整え、プロダクトチームでより高い成果を出すような好循環ができるよう、拠点によらず誰にとっても成長しやすいデザインチーム作りを今後も目指します。

福岡オフィスのテラスにて
左から岡村(福岡)、篠原(東京)、穂満(福岡)、古長(東京)、大川(福岡)


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