廃棄野菜を買う前に知ってほしい事。

今Twitterで、廃棄野菜を購入できる取組の話題で盛り上がっています。

フードロスを無くそうという姿勢は素晴らしく、農業がより持続可能な形になるといいなと僕も思っています。

ただその前に、市場での廃棄野菜がどのように生まれているのか、また生産者にとってより持続可能な農業とは何かについて知ってもらいたいと思い、この記事を書いています。

【市場で廃棄野菜ができるまで】

農業の生産物は全体として収穫してみるまではっきりとした数が分かりません。大根、人参など引き抜いてみたらダメだったなんてことは日常茶飯事です。
ゆえに価格を毎日変動させることによって需要と供給を調整し、野菜を流通させる仕組みがいわゆる『市場』です。
市場の方たちは、とにかく農家さんが出した野菜を全量流通させることに全力を注いでいて、ダブついた野菜をはけるために仲卸に頭を下げたりする場面も珍しくありません。

また市場の中で、廃棄になりそうな野菜を、こども食堂に寄付したり、動物園に寄付したり、できるだけ廃棄にならないように尽力している方達もいて、これらの取り組みは基本ボランティアで成り立っています。

そうした努力をもってしても廃棄は一定数でるのです。

【規格外を流通させることは農家のためになるのか】

次に、この観点を考えたいと思います。そもそも規格といっても野菜によって種類も違い、市場内でも担当が変わればわからないほど細分化されています。

A品からC品、E品なんてものもあったりしますが、なぜこのような規格づけをしているかというと、少しでも買い手をつけ流通させるという市場の原則の中で細分化した歴史によります。

一般消費者の中では、B品などは規格外の認識ではないかと思いますが、基本的にはB品も立派な規格品です。

さて、ここで考えてほしいのが、A品とB品の生産にかかるコストです。どちらが割安でしょうか?

答えは、肥料や管理にかかるコストなどどちらも同じコストがかかっています。(例外はあります)

それに比べ価格はA品が高いので、A品の割合を少しでも多くすることが農家の所得の最大化に繋がります。秀品率などと呼んでます。

そして、ここからだんだん難しいポイントに入ってきますが、農家は基本的にはB品を作るために頑張っているわけではないので、B品だけを求められると、それは違うよとなります。

ただ、努力の結果でてしまったB品に関して少しでも収入になるなら有難いという側面もあります。ここの点に関しては農家さんによってスタンスが違うので、B品以下をどうしたいかは意見が分かれます。

ただ絶対的に言えるのは、意図してB品をつくる農家はいないという点です。

そのためB品以下は流通量が安定しにくく、B品以下を全部加工するという一見よさそうな解決方法もこの点が壁となります。

【支援したいのは農家であるか、それとも廃棄を減らす取り組みか】

今回の記事の一番伝えたいポイントを書きます。以上の背景を踏まえた上で、まず考えてほしいのが、支援したいのは農家か、それともフードロスという社会問題か、という点です。

市場で出た廃棄の野菜に関しては、仮に値段がついても市場での仕切り(価格決め)が終わった後の話なので基本的には農家には還元されません。

農家を支援したいと思われるなら、最大の支援方法は、A品をA品の値段で買うことです。農家さんから直接の購入でなくとも、スーパーなどで適正価格の野菜を買ってもらうことが、最大の支援になります。

一方、市場で出る廃棄野菜を減らすことを支援したいと思われる方は、廃棄野菜を購入してください。仲介業者の売上になり廃棄も減ることでしょう。それを資源に新しい仕組みができたら素晴らしいですね。


【後書き】

今回、Twitterで炎上商法のような投稿をしてしまったことは反省しています。農家側からみた妬みみたいな気持ちがありましたね。気分を害された方は申し訳けありませんでした。



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