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コント「喧嘩」

息子が何気なく言った。
「コントが始まる、っていつも喧嘩してるやん、喧嘩ばっかりしてるみたいで全然おもしろないわ」

ご存知ない方に簡単に説明すれば、今ちょうど流行っているドラマで 菅田将生、神木隆之介、仲野太賀、有村架純らが出演している。

話の内容と言うよりは、その状況が息子には理解できないようだ。菅田、神木、仲野が売れない芸人で3人が10年間も寝食を共にしている。

今の子ども達なら共同生活も、それぞれの部屋があるのならできるかもしれないけれど畳の部屋に布団を敷いて他人と川の字で寝るということが受け入れ難いかもしれない。

息子だって小学校の時にはうちに友達が泊まりに来てくっついて寝てたやん、と思い出すけれど、中学2年にもなって毎日そんなことはできん!となるのだろう。

一緒に暮らすから喧嘩になるんや、と私が言ったら、へー、だけだった。なんで?そこに何か返しはないのか?

そして私は続けて言う。
「3人でネタ合わせしたり、考えが違ったりするところを話し合ってまとめていくだけで、喧嘩ではないよ。ドラマの中で大声のところ多いけどね」
息子は
「ふーん」
おい!お前が言うから解説してやってるのに全く共感してないし、じゃあ自分はどう思うのかを言えばいいじゃん、言ってくれよー、と心で叫ぶ私。

ここで黙ってしまうのが息子だ。いや今時の子ども達だろうか。争いごとにならないように教育されているので言いたいことも我慢するのだろうか?

「自分の意見や気持ちはある程度言っていかないと誰にも伝わらないやん?そこで意見の違う人がいても話し合いをするのであって喧嘩にならないように話せばいいと思うよ」
私は言うが、息子からの返事はない。

だんだん説教染みてくるのがわかったからもうやめた。でも頭の中で息子がもっと自己主張できる子になってくれたらなあ、とか昔からすぐに全然に叱られてたから自分を表現するのに抵抗があるんかな、と考えていた。

しかし、書きかけて気付いてしまった。本当は最近の中学生はなんたらかんたらと分析してまとめようと思っていたのに、息子の本当の気持ちに気付いてしまった。

喧嘩してるシーンの多いドラマが嫌だ、と言っただけでどうして喧嘩ばかりしてるのか?とは思っていなかったのだ。それなのに私はドラマの内容を説明して喧嘩になる理由や、意見交換は喧嘩ではない、という旨の説明をしたので、息子にしたらそんなん聞いてないし、となったんだろうと理解した。

私はどうして?と考えることが多いので普通にその理由を語ってしまったけれど、いつもやってしまってるのかもしれない。私の悪いところだな。大人だったら我慢して聞いてくれたかもしれないけれど、息子だったらそりゃあくびもするわ。

何だか息子の短所をどうにか、という話よりも私の聞かれてないところまで熱く説明する癖を治す方が良いことのように思えてきた。

「そうやね、あのドラマ喧嘩ばかりしてるように見えるね、はっはっはっ」 
と言っておけば会話は弾んだのかもしれない。私の頭ももう少し柔らかく選択肢を増やしておかないと、息子との会話は一方通行のままになりそうだ。

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