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追悼 岡康道さん

気づけばプロフィールに書いた、好きな人物3名がすべて故人でした。そんな年頃のこぶたぬきつねこです。
2年前の同じ日に書いた記事があるので掲載します。


広告界の巨匠、岡康道さんが亡くなった。

岡さんとは一面識もないけれど、その作るものに魅せられていた者として、書き残しておきたいと思うことがある。

岡さんの姿を、二度ほどおみかけしたことがある。表参道の駅から骨董通りにかけての場所だった。

スーツ姿で、上背のあるその体を傾げるような感じで歩いていた。

眉間にしわを寄せて、考え事をしながら歩いている様子に、成功者というぎらついた感じはなく、
どちらかと言えば、世の中に対して居心地のわるさみたいなものをずっと感じ続けている人なのではないかと思った。

大ヒットしたJR東日本の「その先の日本へ」のCMを思い出すと不思議なのだが、
それはもっと大きくなってから見たキャンペーンのはずなのに、
実家にいたまだ小さい頃に見た映像のような気がしてならない。

岡さんが意図した「懐かしさ」という空気がそう感じさせるのだとしたら、その空気の力はすごい、と思う。

子供のころから変わらず持っている感受性がその空気にぎゅっと掴まれたからこそ、そんな錯覚を起こすのではないかと感じる。

心をぎゅっと掴むこと、掴まれること。

それがなかったら長い人生を歩き続けることはできない。

心をぎゅっと掴む虹を何度も見せてくれた魔法使いのような岡さんに感謝。


岡さんに興味をもった若い方へ
JR東日本のCM「その先の日本へ」はYoutubeにいろいろ動画が上がっているので、ご覧になってみてください。私は山形編がいちばん好きです。
岡さんについては、自伝のような小説があるので、これも参考に。
『夏の果て』小学館文庫

初出:2020年8月30日 はてなブログ

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