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生物情報解析科学研究室(出村研)紹介①

スタッフ

教授  出村 誠

准教授 菊川峰志

助教  塚本卓

1.1 キャッチフレーズ

光受容タンパク質の分子メカニズムの解明と機能デザイン!! 

1.2 主な研究分野

1位,化学 2位,生物 3位,物理

1.3 キーワード 

世界唯一の研究装置,光受容タンパク質,ロドプシン,イオンポンプ

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写真1 塚本先生へ投稿論文について相談中

1.4 研究内容

タンパク質(分子機械)の構造変化を探る!!

  細胞内のタンパク質は,形を段階的に変化させ,各たんぱく質の役割を果たしており,その様子から「分子機械」と表現されます。光のエネルギーを利用している生物は,光受容タンパク質を持っており,光受容タンパク質は,光吸収をきっかけとして,多段階の構造変化を起こしています。このように、生物は光受容タンパク質を利用して、光をきっかけとする細胞応答を引き起こしたり(光の情報源としての利用)、光エネルギーを化学的なエネルギーに変換したりしています(光のエネルギー源としての利用)。このような光受容タンパク質の代表例が、ロドプシンです。最初に見つかったロドプシンは、動物の視細胞に存在するロドプシンであり,物を認識するために働いています。現在では、様々な生物がロドプシンを持っていることがわかっています。この研究室では,微生物の持つ「微生物ロドプシン」を主な研究対象としています。


光受容タンパク質には,色素が含まれており,光を照射すると一瞬(10^-15秒)で光エネルギーを吸収し,活性化します。先に述べたように,活性化された光受容タンパク質は構造変化を起こすのですが,光活性化に比べて構造変化にかかる時間は非常に長いです(10^-6~10^0秒)。つまり,光を当てることにより,ほとんど同時に全ての光受容タンパク質を活性化させることができ,構造変化中の中間体の構造を調べることができるのです。このように,タンパク質の中間体を観察できるのは,全てのタンパク質を一瞬にして活性化させ,同じ中間体状態を観察することが可能な光受容タンパク質のみなのです。タンパク質の構造変化について研究することができる光受容体タンパク質をおもしろいとは思いませんか?


また,微生物ロドプシンは多様な自然環境に適応した光受容タンパク質であり,①イオンポンプ型ロドプシン,②光環境に応じたタンパク質合成を引き起こすロドプシン,③細胞運動を制御するロドプシンなど様々な種類が存在しています。これらのロドプシンは持つ色素,構造変化が全く同じにも関わらず,機能が全く異なるという,とても不可思議な特徴を持っています。このようなロドプシンを研究して,タンパク質に目的の機能持たせる方法を研究するのはおもしろそうですね!!

 

 分子機械とは

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図1 分子機械の図

上の図は,分子機械の一種である膜輸送タンパク質が働く様子です。図から分かるように,取り込まれた基質は,進行方向にのみ移動しているのですが,この機構はタンパク質と基質の親和性の変化が規則正しく動かなければ達成できません。アミノ酸が自然に折りたたまれてできたタンパク質が,なぜこのように精密な機械のように働けるのでしょうか?この謎を追求することは,非常に興味深いと思います‼

 

 ロドプシンの仕組みを調べる測定手法 フラッシュフォトリシス

フラッシュフォトリシスとは,光受容タンパク質に光(フラッシュ)を与え,活性化させることで,その後に起こるタンパク質側の時間変化を観測する手法です。この研究室では,タンパク質の「色」の時間変化測定(過渡吸収分光測定)や電気的性質の時間変化測定(過渡電気化学測定)を良く行っています。これらの手法と,アミノ酸変異導入などの手法を組み合わせてタンパク質の仕組みに迫る研究を行っています。出村研ではタンパク質の分子機構解析に関する研究設備が充実しています!!

 

ホームページ
生物情報解析科学研究室,
https://altair.sci.hokudai.ac.jp/infana/research.html  ,(2022年7月30日)

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