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節分の鬼はどこから来てどこへ行くか

 2月2日(火)
 今日は世間でも話題になりまくっている節分です。いま存命している人類のほぼ全てが2月3日の節分しか経験したことがない訳だから、そりゃ話題になって然るべきだろうし、太巻やら豆やらを求めて3日にスーパーに行ってもそこはきっとバレンタイン一色になっているに違いない。

 長くひとり暮らしをしていると行事ごとには疎くなりがちで、豆を食べずとも、太巻を食べずとも、豆を投げずとも、節分は過ぎて立春も過ぎる。まだまだ寒い毎日に「暦では春なのにね〜」なんていう時候の挨拶をする。

 しかし今年は、時間を自由に使えることと、仲良くしている学生時代の友人の旦那が運悪く出張で鬼役がいないということが重なり、遠慮なく他所のお宅におよばれすることと相成った。

 友人には3歳になった娘がいて、鬼のお面をかぶって玄関をあけると、間髪入れずに泣いて後退り。鬼役をやるのは人生初めてのことだったけれど、あそこまで怖がってくれるととてもやりがいがあるもんです。泣き叫んでるのに、こちらはおかしくなってしまった。

 その子の勇気ある攻撃で鬼として撃退された後、何食わぬ顔で再び入場し、鬼が来たときの話を聞いてみた。「鬼はどこから来たの?」と聞くと、「こころ……」とぽつり。

 こころ…………ですか……

 明日から、また、心を正してがんばって生きようと思わされた変則節分の夜。
 ちゃんと生きよう。

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