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再開記念展 松岡コレクションの真髄:1 /松岡美術館

 ジャンルを限定せず、横断的にいろいろと観たい。点数は多すぎず少なすぎず、適度に……
 そんな望みから行き先に選んだのが、白金台の松岡美術館。
 2019年6月からの長期休館を経て、昨月26日から満を持して再開。リニューアル一本めの名品展が開催されていた。

 コレクションのじつに3割を占めるというのが、中国陶磁。質の高さで世界的に知られており、なんといってもこれが館の顔だろう。
 最初の部屋では、中国陶磁を核とした東洋のやきものを、松岡清次郎氏がコレクションに加えていった順に展示。収蔵にいたるエピソードを散りばめ、陶磁器分野の代表的な作品を館の歩みとともに紹介している。
 中国陶磁は、イギリスを中心に古くから国際的なマーケットが形成されている。松岡氏は海外のオークションに積極的に参入し、高額落札を連発。清王朝の宮殿やヨーロッパの王侯貴族・富豪の大邸宅に飾られていた大物を、次々に日本へともたらした。
 メインビジュアルに起用されている《青花龍唐草文天球瓶》はその最たるもの。今回は作品の隣に、購入にいたるまでのやりとりが記された往復書簡を展示。業者とコレクターの生々しい駆け引き、その息づかいが伝わってくるようであった。

この角度からの姿は、現物ならでは

 展示室内は、シャッター音を出さないことを条件に撮影可能とされていた。珍しい設定だが、いいなと思った。
 図録に掲載されるのは、たいていは真正面からの全図にかぎられる。
 そうなるとディテールはつぶれてしまうし、とくに工芸品の場合、角度によって見え方や印象は大きく異なる。
 実見をしたときの生の感触を後から反芻したり、また共有をしたりといった際のことを考えると、撮影可の配慮はうれしい。
 音の出ないカメラアプリを使用して、ありがたく撮影させてもらった。
 他にもキャプションのつくりなどにユーザーフレンドリーさを感じて、楽しい観覧であった。(つづく

元染の、目の醒めるような上がりのよさ!
展示では見えない裏面などのカットをネームに印刷(左)。こちらもあまり見かけない。親切設計
見惚れた鍋島。清らか
唐三彩のお馬さん
展示の最初で思わず「わぁ!」と声が出てしまった、古九谷青手の大鉢



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