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日本近代絵画

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記事一覧

没後50年 難波田史男 /東京オペラシティ アートギャラリー

 唐突ながら……この絵。  みなさんなら、どんなタイトルをつけるだろうか?   けっこう、…

画鬼 河鍋暁斎×鬼才 松浦武四郎:2 /静嘉堂文庫美術館

(承前)  古物のコレクターであった松浦武四郎。愛蔵品に囲まれて昼寝に耽るさまを、不遜に…

版画の青春 小野忠重と版画運動:4 /町田市立国際版画美術館

(承前)  藤牧義夫の作品が集中する一角から視線を移したすぐ隣が、また魅力的であった。3…

版画の青春 小野忠重と版画運動:3 /町田市立国際版画美術館

(承前) 「新版画集団」および「造型版画協会」の作家たちに関して、次のように書いた。 …

版画の青春 小野忠重と版画運動:1 /町田市立国際版画美術館

 本展には、長い副題がついている。  メインとサブのタイトルが示すとおりに、本展は小野忠…

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生誕150年 池上秀畝 高精細画人:2 /練馬区立美術館

(承前)  2階の展示室。極彩色のスケールの大きな作が多数を占めるなか、淡彩の《岐蘇川(…

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生誕150年 池上秀畝 高精細画人:1 /練馬区立美術館

 そんなふうに感じた、そこのあなた。  無理もない。池上秀畝(しゅうほ 1874〜1944)は、生前はともかく、没後長らく等閑視されてきたマイナーな画家だ。生誕150年を機に、その顕彰と復権に努めんとするのが本展である。  まずは騙されたと思って、本展のPVを下のリンクから再生してみてほしい。ほんの33秒の短い動画だ。  ……カッコいい。  絵については部分図が多く、それぞれが一瞬なので正直よくわからないけれど、ただただカッコいい。あえていえば「無駄にカッコいい」力作映像

没後50年 福田平八郎:6 /大阪中之島美術館

(承前)  平八郎の「題材のおもしろさ」に関しても、ぜひ触れておきたい。「なかなか思いつ…

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玉堂の描く「鳥」展 /玉堂美術館

 東京都の西にある青梅市は、関東山地の入り口に位置し、多摩川の源流へも近い。  この自然…

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美術家たちの沿線物語 小田急線篇+京王線・井の頭線篇 /世田谷美術館

 東京都世田谷区では、京王線、小田急線、東急線が東西を貫き、東急世田谷線が南北を結んでい…

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MOTコレクション「歩く、赴く、移動する 1923→2020」:4 /東京都現代美術館

(承前)  藤牧義夫の版画作品《サイレン(火の見櫓)》(1929年)。  鉄塔や鉄橋、鉄道施…

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MOTコレクション「歩く、赴く、移動する 1923→2020」:3 藤牧義夫 /東京都現代美術…

(承前)  藤牧義夫《隅田川両岸画巻》は「移動する」ことの愉しみに満ちている。  そして…

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岩手県立美術館のコレクション展:3 萬鐵五郎

(承前)  萬鐵五郎(よろず・てつごろう 1885~1927)といえば、最もよく知られる作品は《…

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大倉集古館の春 ~新春を寿ぎ、春を待つ~:2 /大倉集古館

(承前)  1階の展示は「新春を寿ぎ」に徹した内容となっており、2階の展示室で「春を待つ」の要素が加わった。梅や桜といったモチーフの登場である。  狩野常信の三幅対《梅鶯図》。  それぞれの梅樹は霞で遮蔽されており、全体像はうかがえない。また、画面上部の3分の1ほどが余白になっている。  後者は着賛のためであろうが、こういった、あえて「見せない」見せ方には、かすかに漂う梅の香りとの相性のよさを感じさせる。  こうして表具をカットした状態で観ると、3幅が連続した画面で、同