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古寺巡礼

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古社寺への巡礼記録、古社寺・宗教美術にまつわる展示の鑑賞記録
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記事一覧

物、ものを呼ぶ ―伴大納言絵巻から若冲へ:1 /出光美術館

 長期休館前の一大シリーズ企画「出光美術館の軌跡 ここから、さきへ」の第4弾、トリを飾る…

禅宗の美:2 /大和文華館

(承前)  中国の伝説上の仙人たちは、禅者の理想像として、さかんに絵画化された。  雪村…

禅宗の美:1 /大和文華館

 日本の古美術を主に収蔵する、奈良市の大和文華館。近畿日本鉄道(近鉄)による美術館で、そ…

ひらり、薬師寺:2

(承前)  東西の両塔が対峙するその中間に、大相撲の立行司のように、どっしり構えるお堂が…

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ひらり、薬師寺:1

 唐招提寺とともに、西ノ京地区を代表する古刹・薬師寺。西ノ京駅すぐの薬師寺から、北側に少…

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ぶらり、唐招提寺:3

(承前)  礼堂が途切れた突き当たりにあるのが、開山堂。鑑真和上を祀るお堂で、国宝の《鑑…

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ぶらり、唐招提寺:2

(承前)  天平宝字3年(759)、孝謙天皇からこの地を賜った鑑真和上が、唐招提寺を創建。金堂(奈良時代・8世紀  国宝)はやや遅れて、弟子の如宝の時代に建てられた。  井上靖『天平の甍』、和辻哲郎『古寺巡礼』、會津八一『自註鹿鳴集』あたりを読んでこの寺を訪ねる人は多いと思われるが、八一の次の歌はとりわけ印象深い。  わたしも「おほてらの まろきはしらの」と小さく唱えながら、古代の柱に触れてその鼓動に耳を傾け、列柱の合間をジグザグにそぞろ歩き、あるいは柱の影踏みをして遊

吉野と熊野 ―山岳霊場の遺宝― /東京国立博物館

 今年の5月28日から7月15日まで、東京国立博物館の本館14室で開催されていた特集展示である。…

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神護寺 空海と真言密教のはじまり:3 /東京国立博物館

(承前)  全体の3分の2ほどを過ぎた段階で、じつは、仏像はまだあまり登場していなかった。…

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神護寺 空海と真言密教のはじまり:2 /東京国立博物館

(承前)  東博の「神護寺」展・後半分の展示は、平安貴族の信仰と美意識を反映した、きらび…

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神護寺 空海と真言密教のはじまり:1/東京国立博物館

 真言宗の古刹・神護寺の創建1200年を記念する展覧会である。  京都の市街地から北へ離れた…

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空想の宙「静寂を叩く」  大乗寺十三室 | 十文字美信 /資生堂ギャラリー

 日本海に面する、兵庫県香美町。ここには、円山応挙とその一門が描いた障壁画をまるごと今に…

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美麗なるほとけ 館蔵仏教絵画名品展 /根津美術館

 根津美術館が所蔵する仏教絵画の名品・珍品を集めた、魅惑の展覧会である。  冒頭に掲げら…

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村上華岳・山口薫・北大路魯山人展:3/何必館・京都現代美術館

(承前)   「何必館・京都現代美術館」の原点は、一枚の絵だった。  村上華岳《太子樹下禅那図》(1938年=こちらのリンク最初の画像)。  オーナー・梶川芳友さんが22歳のとき、美術館の展示室で運命的な邂逅を果たし、画商の道を志すきっかけとなった作品。その17年後、ついに入手するに至る。  2階は華岳の展示室だったけれど、この作品だけは、かならず5階の床の間に掛けられる。  ビルの最上階、美しい苔庭の奥に控えるこの純和風の座敷は、《太子樹下禅那図》というたったひとつの絵