見出し画像

一人で東南アジアに行った話(ポイペトの国境を越えた回)

 前回の記事の続きです。

 カンボジアからタイまでは朝発のバスを使って、一日かけて陸路で渡った。400kmあり、日本で言うと東京から神戸くらいまでの距離だ。

 宿からバス乗り場まではトゥクトゥクに乗って行った。そのトゥクトゥクは私を最初に乗せたあと何軒か他の宿に寄って、同じバスに乗る人を拾ってバス乗り場まで向かった。

画像2

 そのトゥクトゥクに、同い年の日本人男性二人が乗ってきた。ハライチの岩井似の人と松坂桃李似の人。二人は一度バンコクからバスでシェムリアップまで来て、観光してからまたバスでバンコクに戻る、というルートだった。その場では「変わったルートですね」なんて他愛もない話をして、バスでは別々の席に乗り込んだ。

 バスはシェムリアップを出発して、舗装されていない砂利道をガタガタと何時間も揺られた。車酔いなんてしたことなかったのに気持ち悪くなった。

 3時間ほど乗ると、かなり賑わっている場所でバスが止まった。カンボジアとタイの国境がある、ポイペトという街だ。他の乗客と一緒にバスを降り、流されるままに近くにあった小さな建物に入った。映画館のチケットカウンターみたいな場所で、とにかく人が多い。どうやらここでパスポートを見せ、出国するらしい。私は周りの人の見様見真似で出国スタンプを押してもらい、建物の外へ出た。途端に迷子になった。

 そういえばバスを降りるとき、待ち合わせ場所や国境の越え方について全く説明はなかった(あっても何言ってるかわからなかっただろうけど)。バスはとっくにどこかに行った。キャリーバッグはバスに積んである。とにかく人でごった返している。進行方向もみんな違う。足元には腕や足のない沢山の物乞いの人が座ってこっちを見ている。右か左かどっちに進めば良いかも全くわからない。あとめっちゃ暑い。

 あ。終わった。

 と思ったところで岩井くんと松坂くんを見かけ、何とかパーティーに入れてもらうことに成功した。二人は快く「俺たち4日前もここ来たけん任せて!」と案内してくれた。本当に優しい。命の恩人。カミサマ。

 数百メートル歩き、いよいよ国境が近くなり人も少なくなってきた。

画像1

 余談だがカンボジアでは右側通行でタイは左側通行なので、あの門を潜った瞬間、人も車も反対車線に移動していた。

  門を潜り、入国審査が行われている建物に入り行列に並んで順番を待つ。めちゃめちゃ並んでいる。しかしちょうどお昼時だということもあって、入国審査官の人は審査をやめてお弁当を食べ始めた。まあいいけど。お腹は空くしね。結局並び始めてから入国審査を受けるまで1時間半かかった。いや、全然いいんだけどね。

 ここからまた5時間ほどガタガタ揺られ、えげつない渋滞に巻き込まれ、数時間遅延してバンコクについた。

 岩井くんと松坂くんにお礼を伝え、連絡先を交換して、別々の宿に向かった。

 バンコクでの話はまた次。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?