見出し画像

必然的な不合格と必然的な合格(〜司法試験を通じて〜)

1 合格への地図

 司法試験をはじめとする筆記試験はもちろん、何らかの目標を達成するために必要なことは、常に1つです。

 それは目標達成(合格)のための地図を手にして、それにしたがって進むことです。

 これは何も特別なことでなく、当たり前のことです。(もちろん先人がいない分野にチャレンジするような場面では自分がゴールや地図を作らなければいけないでしょう。)

 具体的には、①目標となる地点の座標軸を正確に把握する、②自分の位置の座標軸を正確に把握する、③進むべきルートを選択して一歩ずつ進む、これだけです。

 司法試験をはじめとする資格試験においても同じことです。むしろ、不確定要素が少ないペーパーテストという性質上、より妥当するでしょう。

 しかし、意外と、この確認を怠ったまま進み続け、泥沼にはまってしまうことがあります。自分がゴールへ進んでいると信じて疑わず、努力さえすれば受かるかのような錯覚に陥り、それに陶酔してしまうのです。

2 ゴールの設定・把握

 これを避けるために、まず、すべきは①ゴール地点の把握でしょう。
 司法試験で言えば、過去問を通じて求められている能力や資質を確かめることが不可欠です。司法試験は実務家登用試験であり、端的に言えば、「与えられた事案に当該法律が適用できるか+その過程をいかに論理的に筋道立てて説明・表現できるか」が問われています。
 司法試験(過去問)はあくまで法曹界の叡智が結集して作られたものであり、この点において司法試験予備校などで作られる模擬試験とは質が全く違うのです。

3 現在地の把握・受け止め

 次に②現在地の把握です。
 これは自己評価では限界があります。常に正当性に疑問があり、それを払拭することはできません。あくまでも信頼できる第三者による評価が必要でしょう。ここで、もし苦手分野の存在が発覚して、偏りがあるとすれば、それは優先的に対応するしなければいけません。苦手分野の存在は司法試験合格においても大きな壁となります。苦手分野を潰すことが得意分野を伸ばすことよりはるかに重要なのです。

4 進み方の確認

 ここまで分かれば、あとは③進み方を知り進むだけです。

 ただ、現在地とゴールの距離があまりに離れているのであれば、それだけたどり着くのために時間はかかります。司法試験でも絶対的に必要な勉強量というものがあり、少ない勉強でごまかしがきくものでもありません。

 そして、その道は、たとえ険しくても、たとえ回り道でも、王道を進まなければいけません。勉強に近道はやはりないのです。ここで特に誤ってはいけないのは、法律家になるために学ぶべき対象(客体)は何かということです。誤解を恐れずに言えば、予備校でも、論点でも、基本書でもないのです。あくまでも法律であり、条文(法解釈含む)なのです。

 両地点の座標を把握し、この勉強を少しずつ積み上げて進むことで合格できるのです。これは偶然ではなく、必然としての合格と言えるでしょう。

 なお、これらの内容とともに、司法試験問題の検討方法とともに、平成30年度司法試験民法の答案例を書いたレジュメをHPの BENGOブログにアップしています。適宜ご利用ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?