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種類は数千?! 進化するレトルトカレー

湯煎に、レンジにと簡単に調理できるレトルトカレーが紙面にたびたび登場しています。名店の味をそのまま再現したものや、パッケージに工夫をこらしたものなど種類も豊富で、ずらりと並んだスーパーの棚の前で思わず足をとめてしまうことがあります。誕生から半世紀以上がたち、さらなる進化をとげるレトルトカレーを、播州人3号が兵庫の特産などを使ったレトルトカレーを紹介します。

新商品として取り上げるだけでなく、カレーの流行や傾向をまとめた記事もたびたび掲載されています。
7年前はこんなカレーが話題でした。

カレーなるレトルト 
神戸牛入り5400円、〝痛辛〟、イチゴ風味… 「ご当地」続々、陳列も工夫

 レトルトカレー業界の進化が止まらない。具材に特産品を使って地域をPRする「ご当地カレー」に、1食5千円を超える超高級品のほか、激辛、果肉入りなどの変わり種が続々と登場。本棚に並べるように陳列するなど販売方法も多様化し、愛好家らの人気を集める。知られざるその最前線とは―。
 今年8月、土産物などを手掛ける鳴門千鳥本舗(南あわじ市)の直営店「淡路夢舞台店」(淡路市夢舞台)に新商品「神戸牛ステーキカレー」が登場した。100グラムの分厚い一枚肉がぜいたくに入って、1食5400円(税込み)。「おそらく日本一高いレトルトカレー」と同社の名田里美専務も胸を張る。
 強気な値段設定にもかかわらず、淡路島内外の計6店舗でこれまでに100箱以上を売り上げたというから驚きだ。隣接する国際会議場やウェスティンホテル淡路の利用者らが「旅の思い出に」と手に取るという。試作を重ね、半年かけて商品化した自信作。ステーキはスプーンでほぐせるまでに柔らかく、ルーの上品なコクが肉のうま味を引き立てる。
    ◇
 激辛の上をゆく〝痛辛(いたから)〟カレー、イチゴやサクランボ、ブドウの果肉を使ったカレー…。全国各地で変わり種が売り出されるにつれ、取扱店舗の売り場も進化している。
 エース(関西本部・尼崎市)が全国で79店舗を展開する食品店「北野エース」は、本棚を模した陳列で近年注目を集める。その名も「カレーなる本棚」。大量の商品を省スペースで販売しようと2009年に始まった手法で、壁一面にずらりと並ぶ様子は壮観だ。
 今年7月にオープンした同社の「枚方T―SITE店」(大阪府枚方市)では、100~2千円台の商品を常時300種類そろえる。500円前後のものがよく売れるといい、売り場担当は「自分へのご褒美やプレゼント用に購入する方が多い」と分析。買い物に訪れた人(32)は「これだけの種類が並んでいるとわくわくする」とお気に入りを手に取っていた。

▼新商品毎年500種登場

 保存食として重宝されてきたレトルトカレー。近年の人気の裏側にはどんな秘密があるのだろうか。
 コンサルティング会社「カレー総合研究所」(東京)の社長(47)によると、ブームは2003年ごろから続いており、現在は全国で常時約2千種類が流通しているという。
 毎年500種類ほどの新商品が登場し、ほぼ同数が売り場から姿を消すとされる。「次々と新たな味が発売され、選べる楽しみは果てしない」と井上さん。メーカー側の努力もあり「晩ご飯に食べても遜色ない」ほど味が本格化していることも人気に拍車をかける。
 これまでに全国各地の約1500種類を食べ比べ、電子書籍「ご当地レトルトカレーを食べつくせ!」を出版している放送作家宮内見(みやうちみ)さん(51)=神戸市長田区出身=は「食べながら目をつぶり、その土地を想像するのが楽しい」と魅力を紹介。「一口食べれば『どこでもドア』のように旅気分が味わえますよ」と熱弁をふるう。

(2016年12月10日夕刊より)

流通しているのは2千種。毎年500種の新商品にも驚きます。

世界初の市販用レトルトカレーが発売されてのは1968年。
2018年にはレトルトカレーの国内販売がルーを上回ったと過去記事にありました。ステイホームの影響で、消費はさらに増えたかもしれません。

発売された昭和40年代はNASA(米航空宇宙局)のアポロ計画が脚光を浴びていた時代。宇宙食用に開発された調理済み食品のパック技術に日本の企業がいち早く目をつけたようです。

カレーの具を思い浮かべると、兵庫に関係の深い食材が多く使われています。
だからでしょうか、兵庫内の各地、各エリアをうたった「ご当地レトルトカレー」が登場しています。
20年以上前の記事です

JAあわじ島が初の独自ブランド
玉ネギと牛肉
淡路の味生かし
レトルトカレー発売

 JAあわじ島はこのほど、初の独自ブランドとなるレトルトカレー「淡路玉ネギと淡路牛のカレー」を発売した。年内に2万食の売り上げを目指す。
 地場産の食材にこだわった商品の開発で、いっそうの消費拡大を図ろうと昨年から研究に着手。農協自ら厳選したタマネギと牛肉をじっくり煮込み、レストラン風の深みのある味わいを引き出した。
 1袋180グラム。甘口、辛口の2種類で1袋230円、5食入りケース1100円。「農繁期の合間、夏場のスタミナ維持、島外へのお土産にどうぞ」とPR。農協各支所で販売するほか、宅配も行う。

(2001年6月5日付朝刊より)

タマネギを主役にした淡路のカレーもあります。

タマネギ丸ごとレトルトカレー 
とろとろ食感と甘さ絶妙
開発1年、丸い形そのまま

 淡路島のタマネギが1玉そのままの形で入ったレトルトカレー「淡路島玉ねぎまるごとカレー」が、南あわじ市福良丙の「道の駅うずしお」などで11月から販売されている。Sサイズのタマネギが丸ごとレトルトパックに入っており、スプーンで外側からめくるように食べると、とろとろの食感と甘みが、中辛のスパイスにぴったりだ。
 道の駅うずしおなどを運営する「うずのくに南あわじ」が、約1年前からタマネギ1玉をそのままの形で入れたレトルトカレーの商品を企画。大阪の食品会社と開発を進めてきた。
 カレーには欠かせないタマネギだが、通常はほとんど溶けて形がなくなってしまう。レトルト商品の開発でも丸い形が崩れてしまい、失敗を繰り返していたが、煮込む際に125度まで一気に温度を上げ、ようやく丸ごと残すことに成功したという。
 11月18日から販売を開始したところ同30日までに380個が売れた。これまでシラスや鳴門金時、イチジク、淡路牛ステーキなど8種類のレトルトカレーを販売してきた同社だが、一気に一番人気の商品になったという。 1個648円(税込み)。うずの丘大鳴門橋記念館でも販売している。

(2018年12月7日付朝刊より)    

兵庫県の北部、但馬の特産を使ったカレーも発売されていました。

但馬牛カレー商品化
ご当地グルメにPRへ
美方町

 神戸や松阪などに出荷され、全国区の知名度を持つ但馬牛。その特産地の一つ、美方郡美方町が自慢の逸品を気軽に味わってほしいと、レトルト版「但馬牛のビーフカレー」を製品化した。レトルト製品も近ごろは地域の食材にこだわった製品が人気といい「こだわり派にもPRしたい」と意気込んでいる。
 同町では現在、50軒近い農家が年間320頭の肉牛を送り出している。この商品は、町の特性を活性化につなげようと、県の新製品開発への補助事業を利用。エム・シーシー食品(神戸市、MCC)と2年前から試作を重ねてきた。
 ルーの特徴は「上質の脂のうまみを最大限に生かしたこと」。高級肉だけに、甘すぎず辛すぎない「中辛」に仕上げ、持ち味の香ばしさを引き出した。
 2月から町内のスキー場などで売ったところ好評で、現在は町の物産館の人気商品。MCCは「雑貨店などでも“ご当地カレー”の人気が高まっており幅広い世代にアピールできそう」。同町産業振興課も「カレーを通して、町のファンが増えればうれしい」と期待している。
 「但馬牛のビーフ」と「但馬牛ときのこ」の2種類。いずれも200グラム500円。

(2003年4月5日付朝刊より)

新商品が開発されるだけでなく、懐かしの味の復活もありました。

100年前の辛さ今に
神戸カレー復活
名門ホテル元総料理長

 明治時代に神戸の旧居留地で親しまれた味を再現した「100年前のビーフカレー」が、地元の食品メーカーから全国発売された。名門・神戸オリエンタルホテルの元総料理長が調理を担当、文献などを参考に半年がかりで完成品に仕上げた。歴史を超えた味が注目を集めそうだ。
 同ホテルの第十三代総料理長で、製造元エム・シーシー食品(本社・神戸市)の顧問(69)。1948年から震災があった95年まで同ホテルに勤務。オリエンタルの味を知り尽くしている。
 大阪の収集家宅に残っていた明治期の同ホテルのメニューに「カレーアンドライス」の文字を見つけ、神戸の洋食の原点の味をよみがえらせようと決心。自らが受け継いだ味をベースに先輩シェフの意見を聞き、文献を調べるなどしてレシピ(調理法)を作り上げた。
 「辛さの中にある絶妙の甘み」が味の特徴。顧問は「カラッと揚げたフライオニオンを細かく刻んで仕上げに入れることで、独特の味が生まれるんです」と話している。レトルト商品で350円。スーパーやコンビニなどで販売している。

(2001年9月7日付朝刊より)

兵庫に多彩な種類があるのは、海外の料理をいち早く受け入れてきた神戸の歴史が関係するのかもしれません。
さらに何度も記事に登場する食品会社の技術も「ご当地カレー」誕生に貢献しているでしょう。

中身だけでなく、パッケージ部分も活用します。
例えば、神戸市消防局は外箱に防災情報を掲載したカレーを発売していました。

エム・シーシー食品、神戸市消防局と開発
「消防隊カレー」発売
外箱に防災の心得掲載

 レトルト食品製造のエム・シーシー食品(神戸市東灘区)は8日、神戸市消防局と共同開発した「消防隊カレー」を発売すると発表した。過酷な災害現場に臨む隊員が新人のころ消防学校で食べた食堂の味を再現し、外箱には防災の心得を掲載した。2年間保存でき、阪神・淡路大震災から20年の節目の年に食を通して災害への備えの大切さを呼び掛ける。
 カレーは同学校の食堂で30年以上前から出されるメニューを基に、香辛料の配合を工夫するなど約半年かけて開発。大きな具材と深いこくが特長で、隊員も納得の味という。
 同市消防局が今年夏に神戸で開かれる全国消防救助技術大会のPR協力企業を募ったところ、同社が名乗りを上げた。震災から20年に当たることから、防災・減災の啓発にもつなげようと企画。外箱の裏面には「家族の役割分担を決めよう」「避難路、避難場所の確認」などのコラムや、保存食を更新しながら常に一定量を備蓄する「ローリングストック」の説明を載せた。
 20年前、神戸市内に3カ所ある工場が被災し、社員3人が犠牲になった同社。同社取締役は「食卓を囲んだ時に災害への備えについて家族で話し合うきっかけにしてもらえれば」と話す。
 200グラム入り、希望小売価格362円。

(2015年1月9日付朝刊より)

<播州人3号>
1997年入社。「キレンジャー」ほどカレー好きですが、香辛料の利いたのは苦手です。「辛さ○○倍」なんて聞くだけで、気が遠くなりそうです。どうしてもスパイシーな店で食べることになった場合は「甘口」か「野菜カレー」にして辛さを和らげます。スパイス大好きの同僚は「辛い物が食べらない人生なんて」や「食わず嫌いなだけで試せばおいしいはず」などといじられますが、「辛さだけがカレーの魅力ではない」と聞き流しています。

#レトルト #カレー #ご当地カレー #神戸 #キレンジャー