NHK連続テレビ小説「ちむどんどん」が終了し、10月から「舞いあがれ!」がスタートします。東大阪市生まれの主人公の成長劇も楽しみですが、今回は来春放送が始まる「らんまん」を取り上げます。モデルは高知県出身の植物学者、牧野富太郎。一時神戸に拠点を置くなど兵庫ともゆかりの深い人物です。播州人3号がひと足早く牧野博士の功績を紹介します。
緻密な植物画の図鑑を学校の図書室でご覧になった方も多いのではないでしょうか。新種の発見や命名だけでなく、紙面では施設の歴史や特産づくりなどにも博士の名が登場します。
少し前の記事ですが、没後50年に合わせ、兵庫との関係のまとめものが見つかりました。
植物学のあけぼの残した標本40万点
独学で分類学の基礎築く
大正、昭和の神戸に足跡
かなり個性的な人物だったようです。
ドラマでは神木隆之介さんがどんなふうに主人公を演じ、激動の時代をどう生き抜くかも見ものです。
牧野を一時支援した池長が南蛮美術に没頭し、集めたコレクションの中には教科書などでおなじみの「聖フランシスコ・ザビエル像」があります。今も神戸市立博物館に収蔵されている「ザビエルさん」の経緯をまとめた投稿はこちら。
牧野と兵庫のエピソードはまだまだあります。
県花のノジギクもその一つでしょう。
県鳥のコウノトリと並び、県民に親しまれ、2006年に兵庫で開かれた国体名にも使われました。
ノジギクはキク科の多年草で、牧野が1884(明治17)年、高知県で発見し、命名しました。
兵庫県では1907年に六甲山で最初に見つかり、08年に姫路市大塩町の大群落をみた牧野は「日本一の大群落」と評し、1955年に県花に選定されたと過去記事にありました。
牧野のお墨付きがなければノジギク以外の兵庫の花が生まれていたかもしれません。
ほかにも1879年に神戸の摩耶山で初めて採集され、牧野が名付けた「マヤラン」や、三木市志染町で見つかり、牧野が命名した水生植物「シジミヘラオモダカ」などが紙面で紹介されていました。
六甲山にもゆかりの深い施設があります。
六甲高山植物園です。1933(昭和8)年、牧野の指導を受け、六甲山頂近くの海抜865メートルに開園。北海道南部とほぼ同じ気候を生かし、高山植物を中心に育てています。
牧野はふるさと高知から上京する途中、はげ山だった六甲山を見て「雪が積もっているのかと思った」という逸話を残していますが、その六甲山を何度も訪れ、今も人気の植物園開設に関わりました。
高山植物園を舞台にコントラバスとピアノの演奏を収めた動画はこちら
神戸だけではありません。
牧野の足跡は日本海側にも残されていました。
新温泉 ほんのり春色
町天然記念物の正福寺桜
牧野が命名した養父市の「朝倉山椒」が近年、注目されています。
トゲがなく、香り成分のリモネンが豊富いのが特徴といい、特産化に向けた取り組みが進んでいます。
▼牧野富太郎が登録
兵庫県西部にある上郡町のクライモモも牧野ゆかりの果物です。こちらも町おこしに一役買っています。
上郡高生と鞍居地区住民
固有果物で町おこし
クライモモ収穫始まる
植物一筋の牧野ですが、兵庫の人々との交流の跡も残されていました。
「ノジギク」命名牧野富太郎
六甲の植物に愛切々と
西宮の女性所蔵 大正・昭和の写真、短冊
ほかにも植物採集の際の訪問先に自筆の書と多年草を送ったという記事がありました。頑固な研究者と思いきや、温和な一面も残していました。
<播州人3号>
1997年入社。一部の学者に対しては攻撃的ともとれる文章も残している牧野ですが、妻に対しては感謝の言葉を繰り返しています。研究に没頭するあまり、膨大な借金を抱えることになったことへの反省もあったのでしょうか。ドラマでは浜辺美波さんが妻役を演じます。どんな夫婦として描かれるのかも楽しみです。
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