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シン・長田を彩るプレイヤー番外編~下町芸術祭を彩るアーティスト~(後編)

2023年11月3日(金祝)~19日(日)の17日間で開催される「下町芸術祭2023 COMMONS HACK」。
今回は「シン・長田を彩るプレイヤー特別編」として、下町芸術祭の参加アーティストの方に取材しました!!

3・4人目 キタ ぽんぽこ☆ タカユキさん、Ecco/中西悦子さん
日程:11月12日13:00~16:00
会場:エフマシン

5人目   滑川みざさん
日程:11月3~19日 10:00~22:30 ※5日17:00~7日17:00は休み
会場:WAGOMU CLIMBING GYM


―3人目 キタ ぽんぽこ☆ タカユキさん―
「日常の中に音楽を」をテーマに、ラテン音楽を中心として、アフリカ音楽、ポップスなどの音楽活動をされています。音楽活動だけでなく、コーヒー焙煎・バリスタや介護福祉士としても活躍されています。(下記写真左)

―4人目 Ecco/中西悦子さん―
サックス奏者としてラテン音楽、沖縄民謡、アフリカン、レゲエ、(ジャズ)などのジャンルでセッションを重ねられています。
「楽譜を使わないレッスン」や「即興音楽の基礎レッスン」など、固定観念にとらわれない感性でレッスンを実施されています。(下記写真右)


Q経歴や仕事内容、普段の活動について教えてください。
-キタ ぽんぽこ☆ タカユキさん-
大学でクラシック音楽の勉強をしていて、その時にラテン音楽に出会ったんです。卒業後はラテンの楽器やポップスをしていましたが、一度音楽をきっぱりとやめて、色々な仕事をしているうちに介護という仕事に興味をもちました。今は介護と、趣味のコーヒーの店を出したりしながら、音楽活動を再開しているという感じですね。

-Ecco/中西悦子さん-
幼少期からずっとピアノを弾いていて、中学校の吹奏楽部に入部したときにサックスに出会いました。高校でも吹奏楽部に入って、その時はトロンボーンをしていました。一度、吹奏楽部をやめたんですが、友人が「戻っておいで」と声をかけてくれたので、もう一度サックスを手にすることができたんです。
その時に、「音楽でプロになるんだ」と心に決めて、高校を出てからは専門学校に行きました。
ここで私もラテン音楽に出会ってるんです。
専門学校を出てから、ラテン音楽をしている仲間にも恵まれ、自分でオリジナル曲を作ってユニットを組んだり、講師をしたりしていました。
コロナで全ての仕事がストップしたことを期に、友人の始めた古着屋さんで、趣味で習っていたインド刺繍の個展を開かせてもらう機会をいただきました。刺繍で洋服のお直しをしたりも。
現在は、音楽活動と共存して続けています。


Q応募のきっかけ、今回のテーマについて教えてください。
―キタ ぽんぽこ☆ タカユキさん―
僕と一緒に音楽をしているアランというダンサーがいるんですけど、彼が応募するっていうのでその手伝いをしていて。
彼が英語で作った文章を全部翻訳して応募要項に書いているうちに、僕もやりたいなって。
応募するだけしてみるかみたいな感じで、ダメ元で応募しました。
あかんかったら仕方ないだろうぐらいで思ってたんですけど、仲間と話しているうちに、参加したい気持ちが高まりました。

今回は「多様性」をテーマにしたんだけど、第三者に「せっかく下町芸術祭でやるんだったら、その町とか人の多様性も表現した方がいいんじゃない。何かやる意味があるんじゃない。」って言われて。なるほどなって目からうろこだったです。
それで、僕らは音で「長田」っていう町の文化の多様性を一つ交差させるような場を作りたいなと思って。
今回は、アーティストと長田、というだけでなく、見に来てくれたお客さんにも混じってもらえるような仕掛けが実現できないか考えているところです。


Q下町芸術祭への意気込みをお願いします
-Ecco/中西悦子さん-
意気込みというわけではないですが・・・私は偶然ってないと思ってるんですよ。
必然なんだろうと。
ベクトルがもう決まってるから、多分そこでいろんなことが起きてくるんだろうなって思うんですよね。
それをキャッチしていきたいなっていう気持ちです。


Q作品の見どころを教えてください。
-Ecco/中西悦子さん-
1人1人が喜べる場所になったらいいなって思います。
それが波紋を呼んで、町の動きやいろんなことに影響が出てくるといいなって。

―キタ ぽんぽこ☆ タカユキさん―
自由な場を作りたいんですよね。
交差点のように、立ち止まるのではなく、次へ向かう場所であり、いろんなものが通り過ぎていくような場所になったらいいなって。
僕、クラシックに反発心があるんです。
日本でコンサートホールに行くと、「静かにしなさい」って言われるじゃないですか。
クラシックをすごく高尚なものにして、崇めるように聴かないといけない雰囲気に、僕ずっと違和感があって。なので、僕達の音楽は自由に楽しんでいただきたいです。」

Q見に来られる方に何か一言お願いします!
―キタ ぽんぽこ☆ タカユキさん―
音楽をされている方は、楽器持ってきてもらってもいいし。
何か自分の中に表現がある人は、そのツールを持ってきていただいてもいいし。
何もない人は、手ぶらで来ていただいていい。
そこにハードルが一切ないし、ルールも一切なくて、一緒に混ざりませんかっていうのがコンセプト。
ぜひ、ついでがある方もない方も、ちょっと立ち寄ってもらったら嬉しいなっていう感じです。



―5人目 滑川みざさん―
長田を拠点として活動されているアーティストで、空間を利用した作品やビデオ作品などの現代アート作品を中心に制作されています。全国各地の展覧会などに作品を出展されているほか、アメリカやデンマークなど、海外でも活動されています。


Q経歴や仕事内容、普段の活動について教えてください。
普段はインスタレーションという、野外や室内の空間を様々なオブジェで飾るような作品を作っています。
例えば、自分の指を型取りした焼き物約900本を壁に立てたりとか。
体を使った作品をつくることが多いんです。
アートを楽しむのは人間で、人間が一番身近なものって体じゃないですか。
だから体の一部を使うことで、当たり前だと思っていたことが、その使い方によっていろんな見方ができるというかね。
そういう風に視点を変えたいなっていうのが最初の目的です。
父が絵描きだったのでその背中も見ているし画集を見る機会も多かったんです。だから元々アートには興味があって、子どものころからずっと携わりたいと思っていました。
大学在学中からデッサンを始めて、大学を卒業後はアルバイトをしながらデッサン研究所のようなところに通っていました。
現代アートを始めたのはニューヨークに行ってからです。
行くまでは、現代アートってそんなに知らなかったんですよ。
だけど現代アートの中心地のようなニューヨークに行って、美術館などで作品を見て、肌で感じて、だんだん染み込んできたっていうか。


ニューヨークに行ってからは、アートを通じて人と関わりたくなったんです。
日本で活動していたころは、人付き合いが苦手で、自分の抱えてるものを吐き出すことに一生懸命だったんです。
インスタレーションも、まず自分がこの空間にどういう風景が見たいかって考えるけど、でもやっぱり人が見てくれるかなとかね、人との関わりを想像しながら広げていくんです。
今は長田が拠点で、実家がアトリエみたいになってます。

Q応募のきっかけ、展示内容は何ですか?
私は長田の丸山で生まれ育ったんですが、下町の方はちょっと行きにくくってあんまり知らなかったんですよ。
大学を出てからは他所を点々としてたんですけど、14年ほど前に長田に帰ってきました。
それで、下町で芸術に関することをいろいろやってるのを知って、2年前の下町芸術祭にも出品したんですけど、その時にほんとにわたしここが好きやなって思ったんです。それで今回も参加しました。
長田ってね、すごくバラエティーに富んでると思うんですよ。
小さい区だけど、山も下町も、港まであってね、
すごく素敵やなって思うんです。
それで今回は、ビデオで町の中を撮影してギュッと縮めて、もっとこのバラエティーあふれる長田を知ってもらえるような企画を考えています。
ところで長田区って何かの形に見えません?
わたしね、これ見てたら、怪獣みたいやなと思って。
須磨区の獅子の池のあたりが大きく開いた口で、駒ヶ林あたりが短い脚みたいやなって(笑)
長田区全体を怪獣に見立てて、「ナガ・ゴンタザウルス」と名付けてみました。
それで長田区に張り巡らされてる道を血管に見立てて、私が赤血球になりきって、ビデオをもって町中を巡るんです。どういう体内をしているかって。


Q下町芸術祭への意気込みをお願いします
長田のことをうまく紹介して、楽しく見ていただけるものができればいいなと思います。
パネルにしたナガ・ゴンタザウルスのお腹か胸辺りにモニターを設置し、撮影した映像を展示しようかなと思っています。
それから長田ってすごく歴史深いまちなんですよ。
何気なく歩いているところが、昔の時代を巡ってみると、すごくいろんなことが起こってるんですね。
源平合戦のときの義経の逆落としって、須磨じゃなくて実は長田で起こったんじゃないかっていう説もあるんですよ。
だからひょっとして、義経たちが家の前を通ってるかも、とか思ったりしたら、ちょっと興奮して(笑)
そういう歴史的なこともちょっと、混ぜられたらいいなと考えています。


Q最後に見どころを教えてください! 
この作品は、視覚的に長田を感じられるところがポイントです。
私が歩いて巡った長田の町をビデオにギュッと詰め込む予定です。だからとりあえずまちをいろいろ巡り歩くのが大変だったら、まずここに来てこの作品を見てもらいたい(笑)
作品を見て、長田にはこんなところがあるのかって知ってもらって、興味があるところがあったら訪ねてもらったり、長田の歴史についても知ってもらえたらいいですね。
下町芸術祭で歩き疲れたときなどに、休憩もかねてこの作品を見て、驚いたり楽しんでもらえたら嬉しいなと思います。
だからなるべく長田の様々なところをお見せしたいですね。