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〈そばめし〉第4回 お好み焼き、おでん、シチューにも!長田で愛される牛すじの巻

「祖父が戦前、鑑賞用のユリを育てて卸していたんです」と、店名の由来を教えてくれたのは、長田神社前商店街の酒屋さん「ユリヤ」のご主人、中島吉隆さん。お店の内外にズラリと並ぶソースが目を引きます。阪神・淡路大震災後、被災して長田区を離れた人々から「こっちのは口に合わんから送ってくれ」とリクエストされたことがきっかけでソースの販売を増やすことに。今や取り扱うソースは100種類を超えます。

ところで、神戸にソースがここまで根付いたのはなぜでしょうか? 「明治の洋食文化からですね。昔、港に海外からスパイスがぎょうさん集まっていたから、スパイスをふんだんに使ったウスターソース作りが神戸で盛んになった。」と、ご主人は語ります。そんなウスターソースで作る焼きそばがご主人と奥さんの間ではブーム。でも娘さんは「ソースはもうええわ」と、食べてくれないどころか「冷蔵庫にソースばっかり入っていて怒られる」のだとか。

では、ご家族みんなが喜ぶごちそうは? 「(牛)すじです。五番町のしらいしさんの牛すじ」。一度に1~2kg購入し、軽く茹でたら小分けして冷凍保存。お好み焼きやおでんなど、様々な料理に使うそうです。長田名物ぼっかけでおなじみの牛すじ。好まれるのは地域性でしょうか?「昔ね、長田には食肉解体場(現・神戸市立食肉センター)があって、肉を捌くからホルモンが十分に入ってきていた。すじも入手しやすかったんじゃないですかね。お肉屋さんも多いですしね」。牛すじがゴロゴロ入ったシチューなら娘さんも喜んで食べてくれるそうです。