(創作)J・アーノルドの手紙と小説
いまぼくが書こうとしている文章は、本当はもっとずっと長く、大きなものになるはずだった。そう決心したのは何年も前で、ぼくはまだ野心と希望ににあふれた人間だったから、そうすることを当たり前だと思っていた。けれど、時間はおそろしいものだ。「あの経験」以外を除いてすべては何も変わらず、ぴくりとも動こうとしなかったのに、驚くほどの早さで月日は流れて、結局ぼくはタイプひとつ触ろうとせず、机に向き合おうともしなかった。―いや、もしかしたら「あの経験」を起点として世界はようやく時間との相関