豆ごはん と 苺
私にとって、5月といえば
豆ごはん と 苺
なのだ。
5月は私の誕生月。
小学生の頃。
家に友達を招く「お誕生会」に
ショートケーキが出てきた記憶がない。
ケーキ屋さんが家の近所になかったのもあるだろう。
私が生まれ育った神戸といえば、ケーキや洋菓子で有名だし、実際神戸は洋菓子店も多く(外に出てから気がついた。ついでにパン屋も多い)、しのぎを削った切磋琢磨の賜物か、全国展開の店も人気だったりする。
けれども、私が育った、駅 (海岸沿いに走るJR。当時は国鉄) から山に向かって登って (神戸の街はおおかたが六甲山脈の裾で傾斜)20分近くも歩く小さな新興住宅街のような場所には、酒屋や米屋やパン屋はあっても、ケーキ屋は、なかった。
もしかしたら、誕生会にケーキがなかったのは私の記憶違いで、実際は親が隣の少し大きな駅の高架下商店街のケーキ屋で買ってきてくれていたのかもしれない。(中学生になった頃には最寄り駅前の商店街にもケーキ屋が出来たので、そこで何度か買った記憶はある)
ではあるけれども。
私の小学生時代の誕生会の記憶には、ショートケーキは、ない。
誕生会の思い出といえば、
たっぷり食べ放題といえるくらい山盛りにされた苺。
当時はたぶん苺の旬は地物が出回る5月頃だったのだろう。
値段も手頃になり、なにより一番美味しい時期の苺を遠慮なく食べられるのだから、それは子ども心に嬉しくないはずがない。
当時は苺を食べる時、潰して牛乳をかけていわゆる「苺ミルク」にして食べるのが我が家流だった。
いつにない量の苺を硝子の器に取り、ティースプーンの背でせっせと潰して牛乳をかける。
当然、苺をそのまま食べるのも可能だし、いくつかはそうして食べてみるのだけれど、なんだか貴重な苺汁がもったいない気がして、結局最後はやっぱり苺ミルクにして食べ終わるのだった。
夕方、「お誕生会」が終わった後の、家族での誕生祝いに出てくるのが、豆ごはんだった。
これも、今思えばえんどう豆の旬だった、ということなのだろう。
今でも豆類は総じて昔ながらの季節感を強く感じる食べ物だと思う。
空豆しかり。絹さやしかり。枝豆しかり。
豆ごはんにするのは、ウスイエンドウ。ヘタ(豆が鞘とつながっている部分。「目」というらしい)の部分が黒く、皮が薄くて中がホクホクと味濃い。
誕生日以前にも1・2回食べていると思う。地元のスーパーでも、隣街の商店街でも、この時期には「ウスイエンドウ」の値札で出ていたと思う。
関西で「豆ごはん」といえば、もしかすると「ウスイエンドウ」のご飯のことを指すのが一般的だったりするのだろうか?
「ウスイエンドウ」の豆ごはんは、断じて「グリーンピースご飯」と同じではない。
初めて「グリーンピースご飯」を食べたとき、ウスイエンドウはおへそ(「目」というらしい)が黒く普通のグリーンピースは黒くない、という「色」の違い以上に、豆そのもののもつ「コク」が「ウスイエンドウ」の豆ごはんの魅力だったんだなぁ、ということに気がついたのだった。
東京では手に入れにくいウスイエンドウ。
それでも年に一度くらいは手に入れることができるし、そんなときは迷わず買って豆ごはんにする。
今年のお誕生祝い膳第一回目は、庭で採れた
スナップエンドウの「グリーンピースご飯」と苺。
《Instagram2020.05.12》
今年のウスイエンドウの豆ごはん。
どこに住んでも楽しむのは得意な方だけど、やっぱり神戸が好き。いつか神戸に帰る日を夢見て💐いただいたお気持ちは、神戸への想いを満たす何かに使わせていただきます。皆さんにもすてきな「好きな場所」ができますように💐