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あらゆるステレオタイプからの脱出

ステレオタイプ。日本語だと固定観念や類型化という言葉が近い。ステレオタイプからの脱出は私の生活の中で常にテーマとなっている。

ステレオタイプのデメリットはたくさんある。偏見や差別が分かりやすい例だろう。これらにより、特定の集団や個人に対する誤解が生じる。また、個人の独自性や多様性が無視されるし、固定観念の強化にもなりうる。人間関係において摩擦を生む原因となるし、変化や新しい視点を受け入れる柔軟性を妨げるのは明白である。ステレオタイプ型の思考は個人や社会全体の発展を阻害するだろう。

近年では、「陰キャ」「陽キャ」という言葉やMBTI診断による性格16タイプなどが顕著であると感じている。少し前だと「無敵の人」という言葉も流行った。いずれもステレオタイプとして機能している。これらの単語を用いて、個々人の背景を無視して語ることは危険である。

これらとは反対に、ステレオタイプのメリットについて考えてみる。私の中に存在するもので思いついたのが「ヤバい方向性センサー」だ。私は、何かまずいなという方向性が直感でわかり、意外とこれが正確だ。と自分では思っているので、近年はこれを信じて行動するようにしている。自分のヤバい方向性センサーにあえて逆らってみる数年間を過ごしたこともあったが、やっぱりヤバいと思った先には、ヤバい展開があった。このようなヤバい方向性センサーも一種のステレオタイプということが出来るだろう。

ステレオタイプは、過去の経験や一般的な知識に基づいて、特に人と接する際や未知の状況に直面する際に、迅速に判断を下すための材料になりうる。(ただし、常に判断軸は自分にあるべきであると思う)

しかし、これらもその大半はマイナスに働く。相手の一面だけを見て、思い込みによってステレオタイプに当てはめることは危険なのだ。ステレオタイプによって、複雑な情報を簡略化し、コミュニケーションが効率化されることや、同じ文化や社会の中で人々が共有する価値観を形成し、社会的な結束感が生まれることもあるだろう。しかし、これらは常に危険を孕んでいるということに留意するべきだ。結局、ステレオタイプというのは複雑な概念を理解できないが故の逃避である場合が多い。

このような価値観を持っている人がマジョリティであることは普通に生活をしていればわかることだろう。だからこそ、このような価値観、判断基準からとことん離れた場所にいる人に価値があると私は確信している。

ステレオタイプからの脱却として、身近な例を考えてみるとひとつ思いついた。YouTubeの低評価がユーザーから見えない仕様にアップデートされたことだ。これも、「みんなが低評価を押している動画→悪い動画」というステレオタイプからの脱出だと言うことができる。本来、良いか悪いかは自分が見て判断すればよい。当時、改悪であると嘆かれたが、私は良い変化だと感じている。

私は世間一般と比べると、ステレオタイプによる判断をあまりしない方だと思う。それは、私が睡眠障害であるからかもしれない。私の場合、皮肉にも睡眠障害がそのような強迫観念から脱出するための装置となった。
私はここ数年、私が睡眠障害であることをあまり周知していない。それにはいくつかの理由がある。まず、あまり周りを気にしていないということ。睡眠障害について言及されてもあまり何も思わないというのが一つ。そして、二つ目はこの障害を理解できるとあまり思っていない、期待していないこと。そして、三つ目はステレオタイプ問題である。「睡眠が長い、毎日同じ時間に起きられない→怠惰である」、あるいは「睡眠障害→繊細」といった類のステレオタイプから周囲を脱却したいという思いから意識的にやっているところがある。

ステレオタイプから脱出するためには「マイノリティになり、絶望する」という経験が非常に重要なのかもしれない。睡眠障害によってこのような経験を早い段階で出来たことは、大きなメリットであったと今では感じている。これがなかったら、ステレオタイプについて考えることもなかっただろうと思うと逆にゾッとする。また、ステレオタイプによってマイナスに評価してしまっている、人や共同体などの対象に自ら身を置いてみるのも一つの手段だ。

とはいえ、自分の中にもステレオタイプによる判断をしている部分はあり、それらをいかに洗い落とそうか、考え続けている。個別の事柄に対して、本当にそうか?と一度自分のフィルターを通して、判断することが大切である。私は、あらゆるステレオタイプを常に検証し続けたいし、周囲をこれらから脱出させるように一石を投じたい、構造を作りたいと考えている。

我々は、ステレオタイプに頼りすぎず、個々の人々をありのままに評価する姿勢がとても重要である。ステレオタイプによって他人を判断し、摩擦を生まないようにするためにまずは人々が「ステレオタイプ」というものを認識し、普段から意識することが大切であると思う。



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