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百物語 第五十一夜~第六十夜

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百物語 第五十一夜から第六十夜までをまとめたマガジンです。
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2016年9月の記事一覧

百物語 第五十一夜

仕事帰りに、猫の集会に遭遇したことがある。

時刻はたぶん、午前を少し回った辺りだった。新月の上に星も見えず、道行がずいぶん心許なかったことを覚えている。

目の前を、一匹の猫が横切っていった。

真っ白な猫で、暗闇の中に浮かびあがっているように見えた。

もともと猫が好きだったこともあり、無意識に、その行き先を視線で追ってしまう。

白く長いしっぽを高々と持ち上げながら、猫は空き地へと入って行っ

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