ナチュラルワインとペアリング
前回「ナチュラルワインとは」という記事を書かせて頂き今回はナチュラルワインとペアリングについてご説明させて頂きます。
ペアリングについての記事は前回書いておりますので是非ご覧くださいませ!
では世界中の美味しいナチュラルワインと美味しい料理の楽しい世界をご紹介できるよう頑張ってまいります。
今回は復習も含め更に深掘りしていきます。
☆初めに
ナチュラルワインは可能な限り人の手を加えず自然の力、ブドウの力を使って作られるワインです。(前回詳しく記事にしております) 醸造過程でも亜硫酸塩(酸化防止剤)を極力控え醸造を行い、酵母も自然由来の酵母を使うなど工夫をしブドウ本来の個性、味をしっかりと表現できるワインとなっています。
ナチュラルワインの様々な個性を生かし料理とのペアリングを考えていきます。
今回は合わせる要素をテーマにお伝えしていきます。
☆自論 ペアリングの要素
世の中には様々なペアリングのアプローチが存在しています。
味わいの5大要素+辛味をメインにお話し致します。
◯酸味: 酸味のある料理には、酸味のある料理を合わせる。少なくとも料理と同程度の酸味を持つワインを合わせないと、ワインの味わいがボヤけてしまいます。 酸味が少ないのでであれば微発泡ワインが近い効果があるので良いと思います。
■ブドウ由来の酸味「リンゴ酸」を表現できるブドウ、(リースリング)(ソーヴィニヨン・ブラン)などフレッシュで生き生きとしたブドウを選ぶ。
若いヴィンテージでマセラシオン(醸し)を行わないワイン。冷涼地区がオススメです。
◯塩味: 塩味は果実味を抑え、アルコールの苦味を引き立てます、果実味が豊かで甘みも感じるワインが良いでしょう。
ミネラルが豊富なワイン、沿岸沿いで育つブドウと合わせる同調的ペアリングも楽しめると思います。
■塩味も感じ酸味は程よく果実味を感じるバランスの取れたワイン。
シャブリ地区のシャルドネやイタリアのガルガーネガなどオススメです。
塩味に負けないオレンジワインでバランスを取ることも可能です。
◯甘味: 料理の甘みより少し強い甘みの方が良い。ワインの甘みが負けてしまいと、苦味、酸味を引き立ててしまいます。
高いアルコール度数をワイン甘さを感じさせるため、同調ペアリングとして良いと思います。
→レイトハーベスト(遅摘みのブドウ)のワインを使う。国産だと北海道のケルナーなど甘さのバランスも丁度良くペアリングで合わせられます。
■ポタージュ、ピューレなどの甘さと合わせる際は炭酸が入ったワイン+甘みがあるブドウ品種を合わせるのもペアリングの一つです。
◯苦味:料理の苦味とワインの苦味はそれぞれ打ち消すのは難しです。
相乗効果の考え方でペアリングをするのが良いと思います。
苦味以外の別の要素で「スパイシー」「果実味」などの要素がペアリングとしても合わせやすいです。南仏のカリニャン、シラーなど果実味がありスパイシーな味わいも面白いと思います。
■山菜と合わせるなら私は北海道のツヴァイゲルトがオススメです。
◯旨味:「ミネラル感」
昆布出汁(グルタミン酸)のような凝縮された味わいを旨味と言います。
ワインとのペアリングでこの要素と合わせるのは難しい物です。
■出汁と合わせるのであれば「酸味と塩味とアルコール度数」のバランスが非常に大事です。
→酸味、塩味は出汁に寄り添うような同じくらいのボリューム
→アルコール度数は高くも無く低くも無い物。(度数が高ければ出汁本体の旨味を感じ取れません。低ければ旨味だけが強くワインを感じ取れません。
サンセール(ソーヴィニヨン・ブラン)、北海道の(ソーヴィニヨン・ブランやケルナー)を私はオススメします。
◯辛味:余りフレンチでは使わない料理ですが、辛味成分には泡系がオススメです。
シュワシュワとした味わいが辛さを和らげる旨味を引き立てます。
■アラビアータには、スッキリタイプよりは果実味を感じる赤系果実の泡や甘みもある泡がオススメです。
☆中和・同調・補填
◯中和
5味とワインのペアリングが中和でございます。
お互いの個性を中和しながら関係を利用し味わいのバランスをとる方法です。
1番簡単で王道的な例はブルーチーズに甘口ワインです。塩味が強い物に甘味をぶつけるペアリングです。お互いの要素を潰す事なく合わせるのがペアリングのコツです。
■油脂
料理の持つ油の重さに対して、ワインのボリュームも合わせてあげる必要がある。
油の重い料理の場合、その油を中和させるためにタンニンの多いワインを合わせる。
例としてサーロインステーキや仔羊の背肉(キャレ)の料理に合わせるなら、果実味、しっかりとしたタンニンがある、カベルネ・ソーヴィニヨンがまさに中和のペアリングと言えます。
→私のオススメ
一つ味を変えるのであればイタリアの熟成されたオレンジワインなどオススメです。その場合ガルムソース(魚醤)を使ったソースで合わせるのがコツです。
※ガルムソース ガルムとは、古代ローマの魚醤のことで、タイのナンプラーと同じです。 イタリア料理で使われる魚醤は、コラトゥーラと呼ばれています。 魚醤は、魚を塩につけて発酵させた調味料のこと。
◯同調
ワインと料理、お互いの味わいと個性の一部が同調する事で、フレーバーを引き立て、余韻長く双方の味わいを楽しむことができる。
このペアリングは作りやすいです!
酸味のある料理ならフレッシュな酸味を持ち合わせたワインを飲むことで一体感が生まれる。
甘味がある料理なら果実味を感じやすく日照りが良い熟成されたブドウを使ったワインなどお互いのフレーバーをより長く感じやすいです。
良く使われているペアリング。
→私のオススメ
■昆布締めカルパッチョにキンモクセイなど甘味と酸味があるドレッシングに甘味がある野菜のピューレ+アメリカ、ブロックセラーズのロゼ泡タイプ(ヴァルディギエ)
「このワインの特徴で磯の香りがありミネラル(旨味)も感じるので昆布締めしたカルパッチョ(旨味)と合わせた。」
「果実味もあり酸味も爽やかな味わいがキンモクセイドレッシング(甘味+酸味)との同調。」
「甘みのある野菜のピューレ(クリーム+泡)の口の中で滑らかな味わいを起こす。」
◯補填
料理とワインの組み合わせの中で足りない要素があればそれをどちらかが補う形で考えるペアリングです。
酸味が強いワインを和らげるため料理の付け合わせにハーブや柑橘系を交えて酸味を和らげ傾いているバランスを整えるため必要なペアリングの考え方です。
◯ナチュラルワインの特徴的要素
皆様も一度聞いた事があるかもしれませんが、亜硫酸塩を極力控えたナチュラルワインは魚の生臭さを消してくれる要素が存在しております。これは私も試しましたが事実です。
キャビアなど生臭いのが残りやすいものでもペアリングで合わせると臭みが消えます。
ナチュラルワインをペアリングで使う際のポイントでもあります!
酸化防止剤やクリアな濾過をする事によってブドウ本来の深い個性が出せずに閉じたままなので料理と合わせることも難しいです。
やはりナチュラルワインのようなブドウの個性をしっかりと出せるペアリングが本当の意味でお客様に喜んで頂けると思っております。
ナチュラルワインの特徴的要素を活かしてペアリングをする事がソムリエにとって大きな課題でもあります。
☆最後に
今回は今までの記事の応用編となっております。
ペアリングとは何か、ナチュラルワインとはどんな物か、料理とワインの関係性とペアリングの要素。様々な要素からペアリングを考えるには緻密な努力、経験、センスが重要です。
作り手との関係をより強固にし一体感を持ち良いペアリングを考えていきましょう!
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