ワークショップで始める、中小企業のBCP策定
はじめに
はじめまして、株式会社デスケルの小橋です。 神奈川県の相模原市と渋谷に
オフィスをもち、ブランディング・UIUX・ファシリテーションなどを行う、デザインの事務所をやっています。
今回は弊社の事務所で行った、防災・減災のためのの取り組みとして、ワークショップでBCP策定をはじめる取り組みについてご紹介します。
なぜワークショップでBCP?
BCP(事業継続計画)は、企業が災害などの緊急事態に直面した際に、重要な事業を継続または迅速に復旧するための計画です。大企業では積極的にBCPに取り組む傾向がありますが、中小企業(特に、弊社のような零細企業)では人的・財政的リソースの制約から、BCPの策定・実施が難しかったり、対応が遅れがちではないでしょうか。
ぶっちゃけ、うちでも「必要だけど、今いそがしいし…」と大変後回しにされてしまっている状況でした(お恥ずかしい話です)
安心して働ける環境を整え、災害が発生しても社員が無事で、また頑張れるように、弊社のような小規模なデザイン事務所でどのような取り組みができるかを考え、実際に対策を講じるために、ワークショップでスタートを切ることにしました。
DSCLの「はなきん」イベントを活用
社内でこの課題に対処するため、持ち回りで各自テーマを決めて勉強会を行う「はなきん」という週に1度の社内イベントを活用してBCPの推進を試みました。
テーマを「BCP、防災減災〜安心して、楽しく人生を過ごせるように、備える〜」とし、社員が参加し、アイデアを出し合うことで、防災意識の向上とBCP策定の第一歩を目指しました。
WSの事前準備:起こりうる災害の調査
事前準備として、会社が所在する相模原と東京を中心に、起こりうる災害(特に地震)について調査を行いました。地域の災害リスクを理解することは、BCPを策定する上で非常に重要です。この調査により、従業員一人ひとりが自分たちの地域で起こりうる災害を具体的にイメージできるようになりました。
イベント当日:グループワークによるBCP策定
イベント当日は、参加者がオンラインホワイトボードツール「Miro」を使用し、まず個人ワークとして、災害発生時に自宅や会社で起こりうる事態を想像し、書き出しました。
その後、グループで共有・発表し、対策アイデアを出し合いました。アイデアは、発災時・発災後(2日〜2週間)・復興期の3つの時間軸と、職場・会社・家庭・個人生活の4つの観点からまとめられました。グループワークを通じて、従業員一人ひとりが自分事としてBCPを捉えることができました。また、多様な視点からアイデアを出し合うことで、より現実に即した災害イメージと対策を考えることができました。
ワークショップの結果
例えば、ワークショップでは以下のような課題や対策案が挙げられました。
発災時の課題
安否確認ができない
家に帰れなくなる
インフラ(電気、水、ガス、通信)が止まる
避難場所がわからない
発災後(2日〜2週間)の課題
食料、水、生活必需品の不足
仕事ができない、仕事がなくなる
避難生活の問題
インフラが整わない
復興期の課題
資金繰りの難しさ
案件の締め切りへの対応
対策案
避難場所の事前確認と共有
非常食、飲料水、生活必需品の備蓄
緊急連絡網の整備
運転資金の確保
などなど
イベント後
BCP委員会の設置と社内周知、定期見直しの整備
イベント後は、BCPを担当する委員会を設置し、出されたアイデアを整理。実際に備品購入や仕組み作りを行い、社内Notionに情報を集約しました。これにより、全従業員がいつでもBCPの内容を確認できるようになりました。
また、毎年3月11日を防災見直しの日と定め、定期的にBCPを更新していくこととしました。これにより、日常業務に集中しつつ、定期的にBCPを見直す体制を整えました。BCPは一度策定したら終わりではなく、継続的に改善していくことが重要ですよね。
おわりに - 災害の備えに、ワークショップでBCP
今回の「はなきん」イベントを通じて、弊社のような小規模な会社で後回しにされがちな防災意識の向上や、BCPのスタートを切るための取り組みを試みました。まだまだミニマムなものですが、わりと実用的な落とし所に落ち着いたように感じています。
時間もコンパクトにまとまっていて、社員参加のワークショップ(1時間)、少人数でのふりかえり(1時間)、あとは総務で施策実施(数時間)と、全員の工数をあわせて10時間程度です。
従業員みんなが参加し、自分の会社や家を改めて見つめ直すことで、意識の醸成にもなったのではないかと思います。また、個々人の家ごとに課題も異なり、大変興味深かったです。例えば、川沿いでの氾濫、築年数による耐震性、ペットの問題、家族の問題など。社員一人ひとりの生活の違いを改めて見れたことも良い点でした。
BCPは、災害時の被害を最小限に抑え、速やかに事業を再開するために不可欠です。一般論と、また、自分たち自身でも改めて見つめ直すことが有効だと思います。
弊社としては、まだ始まったばかりの取り組みで、次年度からも定期的な見直しとアップデートを行い、災害に強い組織づくりを目指していきます。このようなイベントの取り組みが、事業者の皆様の参考になれば幸いです。
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