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with foods 誰かと、 ときにはひとりで。

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思い出の中には食べ物がある。 そんないくつかの文章を書き散らかしています。
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2016年7月の記事一覧

とんびとの攻防戦

とんび。

風に乗り、高く空を舞い、円を描く。
ときどき、ピーヨロロロと鳴く。

優雅だ。

しかし、しかし、やつらは増長している。
人間の食べるものを奪うことに味をしめている。
カラスのようにゴミを漁るのではなく、とんびは奪う。
マヌケな人間をあざ笑うがごとく。

やつらの主戦場は海岸だ。

砂浜やコンクリートの堤防に腰掛け、雄大な海を見ながら、
「何かを食べたい」という人間の心理をよくわかって

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嗅覚の鋭い男

以前、ティーン向けの雑誌で仕事をしていたことがある。編集部の社員もライターも若く、さらにモデルも中学生、高校生と若く、毎日が文化祭みたいににぎやかな感じで、とても楽しかった。その出版社では、各編集部に二部学生の支援を目的にしたアルバイトを雇っており、そのアルバイトは、結構、待遇が良いらしく、さらに若いスタッフの多い編集部は居心地も良いのか、アルバイト期間が終わってもお手伝いのスタッフやライターとし

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崎陽軒のシウマイ弁当とシュウマイ

先日、ある雑誌の特集が「旅」と「お弁当」で、じっくりと読み込んでしまった。北は北海道から、南は九州まで(沖縄にもきっと美味しいお弁当があるはず)の、地元の食材を利用した美味しそうなお弁当の数々にうっとりとした。ごはんの上にど〜んと乗った大きな牛肉、飾り気がなく頑固一徹といった感じのイカめしや牡蛎ごはん、キレイに整列した穴子弁当、彩りも美しく上品なちらし寿司、老舗のお料理屋さんの昔ながらの折り詰めな

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