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09. 終わりは始まり 【 旅の記憶 】 5/30-31

5/30
元から母さん子だった息子。旅が始まってからより母さん子に拍車がかかっていたのだけれど、気になるものがあったようで夫とともにチェックアウトに向かった。
私はひとり、車へ荷物を置きにいく。ひさしぶりで束の間のひとり時間。

もともと私は定期的にひとり時間を確保して心の安寧を保ってきた。マイペースな人間ではあるけれど、一応周りに合わせようという気持ちもある。育児となるとペースを合わせるどころの話ではなく思いきり振り回される。振り回されるほどに自分のペースをどうにか保ちたいという欲求が強くなり、どんどん神経をすり減らしてしまう。

だから、真ん中に戻るためのひとり時間は私にとって大切な時間。たった数分で真ん中に戻れたかどうかでいえば戻りはしなかったけれども、あるかないかで気分は変わるもの。

今は色々とストレスフルになる場面も多いけど、あと数年したら息子と手を繋ぐこともなくなるだろうし、自然とひとり時間は増えていくのだと思う。成長を喜ぶ気持ちとほんのり寂しさとが入り混じりながら子離れしていくことになるのかな。

兎にも角にも、先のことは未来の自分に任せて、内から湧きあがる感情を味わいながら今を目一杯生きることにしよう。

photo by Yutaka Kobayashi

いつか東京にガンダム見に行けるかな?なんて息子と話していたけれど、こんなに早くご対面することになるとは。ユニコーンガンダム、普通にでかい。

夫の影響で、何度も何度も見るうちにユニコーンガンダムの物語が好きになった。
敵、味方という枠を越えた主人公の視点がベースに話が展開していくので、さまざまな立場の人たちの想いに触れることができる。都度いろんな気づきがあるし、気になるポイントも変わる。
ある意味、自分の変化を定点観測しているような感じでもある。

夜は東京に住む友とのタイごはん。ちょくちょく連絡は取り合っているけど、お互いの近況報告とか諸々。お互い取り巻く環境が変わっている中で、変わっていることも変わらないこともある。これも自分の変化の定点観測の一つ。人との再会は喜びの他にそんな面白さも含まれている。

photo by Yutaka Kobayashi

5/31
大きくてきれいなビルが立ち並ぶ中、ひっそりと佇むコインランドリー。
張り紙をみると今日で最後の営業と。店主の方が亡くなられたよう。なんというタイミングなのだろう。

さまざまな暮らしの跡がかすかに残っているこの空間の味は、ここに来た人たちが重ねてきたもの。このような空間がなくなってしまうのは少し寂しいけど、終わりは始まりでもあるから、そこに希望も生まれている。終わりを憂うばかりではなくて、新しい希望にも目を向けられる自分でありたいと思う。

なんとなく、ここで「終わり」について少し違う視点を入れてみよう。

終わりを設けること、区切りをつけること、手放すことは、とても調子よく進んでいるときや苦しみもがいている時は、並べられた選択肢の中から選びにくいものではある。せっかく手に入れた大切なモノを手放すまいとして余計に強く握りしめ、身体も心も強ばり、どんどん周りが見えなくなってくる。

でも、そういう時こそ、何かに区切りをつけたり手放したりすることが次の扉を開く鍵だったりもする。

何かを手に入れたければ、先に何かを手放す必要があるのだけど、なかなか簡単にはいかないもので。そんなもどかしい過程も含め、必要な出来事が起きて必要なところへと向かう。自分の意志で手放して次の扉を開くこともあれば、何かに気づくために強制的に手放さざるを得ない状況が起きたりする。

こんなことを書いて、あたかも経験者は語る風だけど、そんなことはなくて。現在進行形でもがいて、苦しくて、たまに泣いたりしている。

何より、当事者である自分に伝えたいから書いているのだと思う。頭にある知識が腑に落ちて、物事の本質に近づくほど、こんな風に語ることはなくなるのかもしれないな。

photo by Yutaka Kobayashi

コインランドリーでの洗濯を終えたら息子の社会科見学のため、東京駅と羽田空港へ。

当の本人は別のことに気を取られ、新幹線や電車、モノレール、飛行機への反応薄く。まあそんなもんですね。長野駅でもそうでした。

〇〇したい!と言ったそのすぐ後で他のことを始めたり、自分で言ったことを忘れたり。子どもの今この瞬間を全力で生きているエネルギーはすごい。そんな感じで生きているから、願っていようがなかろうが、色々なものが色々な形で巡ってきやすいのかもしれない。なかなか感情の起伏は激しくなりそうだけど、子から見習うべきことはたくさんある。

いやはや、今回も熱量大きめ。
毎回灰になり、空っぽになり、なんだかよくわからないままにまた書き始める。
もっと省エネでさらさらと綴れたらよいのだけど、この不器用さも私らしさなのでしょう。少し休んで、また書き始めます。

それではまた。

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