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いつかの思い出

秋なのに暑い。
西日にさしかかる頃の休日の話。

洗濯物をベランダに干して、掃除も終わった私は昼寝でもしようと思った。

ベッドに横になると、カーテン越しでも日差しが眩しかった。ちょっとカーテンを開けると、雲ひとつない青空が広がっていた。

こんな日に家にいたままでいいのだろうか。

そう思って、電車で10分くらいの場所までちょっと出掛けることにした。

まあ1人だし、秋だけどTシャツにデニムにサンダル姿で家を出た。

いつもと同じ駅までの道のり。いつもは気づかなかったけど、少し遠くに金木犀の木が見えた。

そっか。そんな季節か。目の前を通ったけど匂いはしない。マスクをしているからだろうか。

そう思いながら木から3歩ほど通りすぎたその時、金木犀のいい匂いがした。

あぁいい匂い。気持ちがいい。

そう思った瞬間、小学生のときの記憶が急に蘇ってきた。

友達と過ごした何気ないある日の放課後。
公園の金木犀で、香水を作ったのだ。

はじめて触れた金木犀の感触や匂い、水道水がスプレーの容器にうまく入らず足が濡れた時の冷たさまで、少しオレンジがかって見える友達の顔と共に思い出された。

いつもおうちで出迎えてくれた友達のお母さんは、とても優しくて柔らかい、朗らかな人だった。

お友達もそのお母さんもお兄ちゃんも、元気だろうか。

小4から鍵っ子だった私は、周りの方に恵まれたお陰で生きてたんだなあ。そんなことも思った。


Twitterでこの事を呟こうかと思ったけど、「懐かしい」「エモい」という言葉で片付けるのはもったいない気がして、久しぶりにnoteを書いてみた。

匂いと記憶は結び付いてる、なんていうけど、本当なんだなあ。だって10年以上前の記憶だもん。

来年も再来年も、ふわっと香る金木犀と出会ったときにはまた、この幸せな気持ちを感じられるといいな。

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