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ハッピーエンドを愛したい

「好きな映画はなんですか?」

この質問を受けるといつもララランドという映画の名前を挙げる。

この映画はロサンゼルスを舞台にピアニストを目指すセブという男と女優を目指すミアという女の恋を描くロマンティック・ミュージカル映画。

(以降、少しだけネタバレがあります。)



私がこの映画を好きな理由は夢と恋という2つのどちらかしか手に入れられないというハッピーエンドに終わらないところに現実味を感じるからである。

私はこの映画を7回ほど観ている。どういう時に見るのかというと、何かうまくいかない事があったりするとこの映画をみる。そして、現実は上手いこといくようなことは少ないな、と確認して安心する。

あるとき、好きな人と映画の話になった事があった。そこで、ララランドのあらすじや魅力を伝えた。そしたら笑顔で「そうなんですね。私はハッピーエンドが好きです」

と言われた。意外だった。この映画の少しの幸せと儚さのバランスに彼女も共感すると思って話していたから。

私はハッピーエンドの映画はあまり好きになれない。それは、いくら実話だと言われてもどこか嘘臭さを感じてしまうから。

でも、彼女は違うらしい。彼女はハッピーエンドを素直に消費できる心を持っているのだ。

このララランドを初めて見たとき、ちょうど失恋したところだった。想いは伝えていないけれども脈がないことを悟ったし、その人に彼氏が出来たからもう諦めようと思ったのだった。

この時も"やっぱり私なんかが"という感情で自分を納得させていた。そうすることでしか失恋を受け入れられなかった。

なにかうまくいかなかったり、壁にぶつかったときの一番の批判者はいつも自分自身だった。

"やっぱり私なんか"

この感情にいつも傷つけられる。

ララランドはこの傷を癒してくれる気がするのだ。自分自身を主人公に重ねて共感することで自分の物語をコンテンツとして消費したかったのかもしれない。

この自分自身の共感を得る、というのが好きな本当の理由なのだろう。

いまだにハッピーエンドの映画が好きという彼女の気持ちは理解しきれないし、ハッピーエンドで終わる映画の消費の仕方がわからない。

いつか自分自身を傷つけなくてもちゃんと前にある壁に向き合えるようになったら私もハッピーエンドの映画を好きになれるのだろう。

2020.04.05

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