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規格外・廃棄野菜のレスキュー

大きな農地で野菜を育てていると、販売の規格に合わない野菜が出来たり、市場において販売調整がかかり、作ったのに販売できずに廃棄される野菜が沢山ある。田舎に住んでいると近所の農家のおっちゃんやおばちゃんに、いわゆる『ハブキ』として採れた野菜をタダでもらうこともちょくちょくある。
今回は、そんな市場に出回らない野菜たちのお話。

ある日突然、千春ちゃんから電話が…
「この前、高原野菜を作っている農家さんの畑に行ったんです。そしたら、ほとんど収穫されていない美味しそうなキャベツと白菜が沢山あって…。」
(おいらの心の声)
千春ちゃん、そりゃそうだよ。小諸は高原野菜の産地だし、その畑に美味しそうなキャベツや白菜があるのは当たり前…(笑)。
(千春ちゃん)
「そのお野菜たち、市場に出ることなく、廃棄されちゃうって聞きました。味も見た目も変わらないのに…。もったいなくないですか?」
(おいらの心の声)
まぁ、そりゃもったいないし、気持ちは分からないでもないけど…。市場での流通による生産調整もあるし…ある意味仕方ないとこあるのよ…。
(千春ちゃん)
「その子たち、レスキューしようと思うんです!」
(おいら ここで初めて声に出す)
「レスキュー!?レスキューって何するの?」
(千春ちゃん)
「凄く美味しいし、もったいない!この前立ち上げた農ライフブランドのASAMAYAで安価で売ろうと思います!」
(おいら)
「え!?売るの??数はどのくらい?20~30個?」
(千春ちゃん)
「10,000個くらい!」
(おいら)
「い…10,000個!?マジか!?どーやって売るの?」
(千春ちゃん)
「SNSとかで呼びかけて、ネット販売と直接販売で」
(おいら)
「あははは…」とりあえず笑う。
(千春ちゃん)
「あははは…」千春ちゃんも笑う。
(おいらの心の声)
おいらに相談してくる時点で、千春ちゃん、もう心の中で決めてるんだよな…。さてと…話聞いちゃったし…どーしたもんかな…(汗)。
(おいら)
「とりあえず、いつ頃どうやって売るか、相談するかね」
(千春ちゃん)
「はい!!」
(おいらの心の声)
何てやる気に満ちた返事なんだろう…。フードロスをなくす…。きっと何か感じるものがあるんだろうなぁ…。

…ということで、千春ちゃんによる野菜レスキュー大作戦が始まった…

フードロスをなくす…まさにSDGsの取組みだ。
でも…廃棄予定のものを販売するのって何か制限あるんじゃなかろうか…。
おいらも友人、知人、職場の同僚にいろいろ確認。一応、話をしておいた方が良さそうな所へは、それぞれ関係者から連絡してもらうことに…。
みんな優しい。こういう人の繋がり…とても大切。

そのうえで、直接販売する場所について千春ちゃんと相談。
小諸市内の人なら土地勘もあり、大抵の場所でもわかってもらえるけど、結構遠方からも来そうだし…。来る人が迷わずに、車も台数停められて、野菜の搬入もしやすいところ…となると、場所は限られてくる。
該当しそうな施設管理者に連絡。今回の「野菜レスキュー大作戦」の趣旨を説明し、理解いただいたところで、施設の使用許可をいただいた。これまた、みんな優しい。
さて…野菜のお渡し日の搬入や手渡し…まさか二人で対応するの?千春ちゃん、そりゃ無理だわさ…。
そんなことを思っていた矢先、「ボランティアスタッフ集まってぇ~!」…と、千春ちゃんが声掛けしたところ、みんな快く引き受け、集まってくれた。さすが千春ちゃん。
それにしても、みんなフードロスやSDGsの取組みに理解があって…ありがたやありがたや。これも人と人との繋がりのおかげ。嬉しい。
このフードロスの取組み、マスコミの目にも止まり、報道各社からも取材が…。その反響もあり、ネットでの注文や、お渡し日の来訪など、遠くは海外からも問い合わせがあったとか…。
その甲斐あって、わずか十数日足らずで、キャベツと白菜、計1万500個を全てレスキューできたのだった!!

普通できないよね…そんなこと。もちろん、あの「武藤千春」がやったから…というのもあるんだろうけど、やっぱりその人のやる気がみんなを巻き込んで行くんだろうなぁ…と感じる出来事であった。
野菜のお渡し会、いろんな人が小諸に来てくれて楽しかった。

SNSでも市外・県外の人たちが小諸のこと、社会問題としてのフードロスのこと、農業のこと、たくさん取り上げてくれていて…有難かったし、良い経験をさせてもらった。
でも…またやるぞー!って言い出さないよね?千春さま…。
フードロスがなくなれば、こういう活動もしなくていいのか…
皆さん、SDGs推進ですよ!

つづく…

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