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あそどっぐインタビュー8日目 その2 「あそどっぐ、学会でコントする」

あそさんが自らの病気を語るとき、とても肩の力がぬけている。
わたしも、さそわれるように肩の力がぬける。
「“懐がふかい”とはこのことか」とよく思うが、
なんでこれでモテないのよ!? なぜだ〜!

(2020年5月13日収録分)

あかほし(以下「ほし」): なんだっけあの〜、なんとか博士。
あそどっぐ(以下「あそ」): あ、ホーキング博士。(注1:文末参照)
ほし: あ、そうそうそう。なんか「あんた同じ病気よ」って育てられたのにちゃうかったっていう・・・(編注:ホーキング博士はALS。あそどっぐは脊髄性筋萎縮症)
あそ: そうそうそう。衝撃の事実。
ほし: (笑)
あそ: (笑)
ほし: それはいつわかったの?
あそ: あ〜なんか大人になってからわかったよ。
ほし: めっちゃおそい。
あそ: これ、これもね、今年の・・・
ほし: うん。
あそ: 冬ぐらい、去年の冬か年明け前か・・・に病院の先生たちのおっきな学会によばれて。
ほし: へえ〜。
あそ: 話す機会があったのよ。
ほし: ふんふん。
あそ: で、ちょうど病院だからっていうことで。
ほし: うん。
あそ: 「ホーキング博士とおなじ」っていって、育ったら違ったっていう話を・・・
ほし: (笑)
あそ: で、めっちゃウケたんだけど、終わったあとに神経系の専門のお医者さんがあの〜・・・あいさつしにきてくれて。
ほし: へ〜。
あそ: で、「あの〜・・・ホーキング博士は、あそさんとちがう障害ってまあ、本人が発表してるんですけど、わたしたち学会の中では、ひょっとしたらあそさんと同じじゃなかったのかっていう、噂は立ってますよ」(編注:ホーキング博士はALSではなく脊髄性筋萎縮症だったのでは?という噂)
ほし: へえ〜。
あそ: 「ってことなんで、だから、あながちお母さんはまちがっていなかったのかもしれません」みたいな。
ほし: マジか。
あそ: そうそうそう。
ほし: へえ〜。
あそ: で、どっちなんやろう?みたいな。
ほし: (笑)大どんでん返し。で、結局あそさんの病気がなんなのかって、今はわかってるの?
あそ: ぼくはね、こないだねえ、ちゃんとしらべた。
ほし: あ、ほんとう。
あそ: で、合ってた。あの脊髄性筋萎縮症っていうので間違いはないみたい。(注2)
ほし: おお。
あそ: うん、よかったわ。今さら「ちがうよ」って言われても・・・
ほし: (笑)そうっすね・・・
あそ: (笑)
ほし: なんか・・・へえ〜・・・
あそ: 大人んなってから「おまえ日本人じゃないのよ」みたいなね。そんなかんじやんね。
ほし: なんかRPGの主人公みたいな・・・「じつはお前は竜の子なのだ」みたいな。
あそ: 「え〜〜」みたいな。
ほし: なんかあそさんの病気?まわりの、話題をこういろいろ考えると・・・
あそ: うん。
ほし: けっこうふわあ〜ってしてるじゃないじゃないですか、なんの病気かわかんないって。
あそ: そうだよね。やっぱあんまりわかってなかったから、ふわ〜っとしてるんだろうね障害自体がね。
ほし: あ〜そっか。
あそ: さいきんね、ようやくいろいろわかったみたいで。
ほし: あれかしら。技術がすすんだから、その病気かどうかを調べやすくなってきたのかな?
あそ: そうそう、そういうことみたい。
ほし: へえ〜。脊髄性筋萎縮症って。
あそ: 筋萎縮症、そうそう。
ほし: 脊髄がなんか元気なくなって・・・?
あそ: 脊髄のまわりの、なんか・・・神経の病気なのかな?
ほし: あ〜・・・
あそ: うん。
ほし: 脊髄のまわりにある、筋肉を動かす・・・
あそ: 筋肉とか神経とか。
ほし: うんうん。
あそ: 筋肉とか神経の病気、みたいです。ようわかんないけど。
ほし: 「ようわかんない」(笑)ほいでまあ学会によばれて・・・そっか。なんかでも仕事幅広いすね。
あそ: うん、なんか最近ひろまってきたよ。
ほし: ね、うんうん。
あそ: うん。
ほし: そうかあ。まあでもあちらとしても、その〜なんだろう。当事者の声をききたいけど、表舞台にひっぱりだしていいんだろうかっていうところはたぶんあるんだろうから。
あそ: うん、呼びやすいよね、ぼくとかはね。
ほし: ね。もともと・・・おもてに出てれば。
あそ: うん。
ほし: うん・・・そうかあ。う〜〜ん・・・ちょっとまって、複雑になってきたけど、え〜っと、ホーキング博士が筋ジスでしたっけ?
あそ: が、え〜っとね、ホーキング博士が。
ほし: うん。
あそ: ALSっていう障害。(注3)
ほし: あ、またべつなんだ。
あそ: べつなんですよ〜。
ほし: で、え〜っと・・・?いろいろ考えてみたら、え〜っとホーキング博士はALSじゃなくって脊髄性筋萎縮症・・・
あそ: 筋萎縮症・・・かもしれないっていうのが、いま、お医者さんたちのなかでのウワサらしい。
ほし: 母ちゃんすごいじゃん(笑)
あそ: 母ちゃんはすごいよ。
ほし: (笑)
あそ: かあちゃんはもう分かってたからね。
ほし: 学会の先生たちよりも、ずっと前からね(笑)
あそ: でもいまさらですかってかんじですよ。
ほし: 母おそるべし・・・
あそ: (笑)

・・・

ほし: そうか。あそさんの、その~なんだっけ脊髄性筋萎縮症は。
あそ: うん。
ほし: おなかの中からそうなの?
あそ: え~っとねえ、生まれつきじゃないかっていう話だけど。
ほし: うんうん。
あそ: 生まれたばっかりの時はわかんなかったみたい。
ほし: はえ~。
あそ: うん。ちゃんと・・・え~っと体重もふつうに生まれて。
ほし: うんうん。
あそ: ま、元気だったみたい泣き声は。
ほし: あ~そうなんや。おなかん中にいるときは健診とかあった?
あそ: おなかん中んときはえ~~~っと、とくになんにも言われなかったみたいね。
ほし: お~ん、じゃあ普通に胎動とかぴょこぴょこしてたんや?
あそ: うん、たぶんね元気だったと思うわよ。
ほし: ああ~。へえ~~・・・そうかなんかあの『寝た集』に、アスリ-トのネタのところにあの「生まれる前からだぞ」みたいなこと書いてあったから。
あそ: ああ~~うんうんうんうん。
ほし: そうなのかなって。
あそ: まあたぶん生まれた時から・・・じゃないかって言われているからね、うん。
ほし: うんうんうん。そうか。じゃおなかの中から?うん?生まれてから、なったのか?
あそ: 生まれて半年後ぐらいに、あの、検査でわかったって言ってた。
ほし: ああ~そうなんや。
あそ: うんうん。
ほし: へええ~。
あそ: だから実際いつからかは分からないね。
ほし: うんうんうん。
あそ: ・・・はっきりしたのは。
ほし: そうか。なんかその~病気がわかったときに。
あそ: うん。
ほし: なんか親がどんな話したかとかって聞いたことあります?
あそ: やっぱね親は、まあすごいショックだったって。
ほし: ああ、ああ。
あそ: って言ってたね。まああの寿命が大体3才ぐらいって言われたらしいから。
ほし: めっちゃ生きてるじゃん。
あそ: うん、そうそうめっちゃ生きてんの(笑)
ほし: (笑)へえ~。
あそ: すごいよ(笑)
ほし: すごい(笑)だってもう10倍以上生きとる。
あそ: うん、そうなの(笑)
ほし: へぇぇ~・・・3才?
あそ: うん。「3才までいければいいほうです」って言われたらしいから。
ほし: そうなんや。
あそ: うん、だからまあすごいショックだったみたいねぇ。
ほし: ああ・・・へええ~じゃ、あれか。3才じっさいむかえて。
あそ: うん。
ほし: 「あら元気だぞ」みたいになったってこと?
あそ: そう、そんなかんじだったみたいよホントに。
ほし: あ、ほんとう。
あそ: うん。
ほし: へええ~。お、そのあれでしょ?3才になるまでも、ちびちびは病院行ってた?
あそ: うん行ってたみたいね。
ほし: でも「3才までだよ」っていうかんじだったってこと?
あそ: そうだろうね。言われた後のことはわかんないけどとにかくまあその、分かったときには言われたって言ってたね、そう。
ほし: ああ~まあ、そう何回も言うような話でもないもんね。
あそ: そう、そうだよね。まあ、うん。
ほし: ああ~そっかあ。
あそ: うん。
ほし: へ~〜、そうなんや。
あそ: で、もう物心ついたころは。
ほし: うん。
あそ: もう半年に1回ぐらいしか病院には行ってなかったね。
ほし: ああ~、小3、4ぐらい?
あそ: いや、もう小学校上がる前ぐらいのときの記憶がぼんやり・・・ある頃は、もう半年に1回。夏と冬しか行ってなかったなあ、病院には。
ほし: ああ~ほんとう。
あそ: うん。
ほし: へええ~そうか。う~んすごいな13、4倍生きてるのか。
あそ: すごいのよホントに。
ほし: (笑)
あそ: (笑)だから「ちがう障害じゃないか」って疑われたりするのよ。
ほし: あ、そうだよね。
あそ: うん、そうそう。
ほし: うんうん。へえ~、それで学会よばれてるの?
あそ: いや、ちがうよ。芸でよばれてるんだよ。
ほし: あ、芸でよばれてるのか(笑)
あそ: (笑)
ほし: なんか「13倍生きてるぞ」みたいんかと。
あそ: 珍しい生き物ジャンルじゃねーよ(笑)
ほし: (笑)
ほし: あ、学会でコントやるんだ?
あそ: うん、コントとかトークとかすんねん。
ほし: ああ、そうかそうか。
あそ: で、あとはやっぱしあの~、当事者の立場から・・・
ほし: うんうん。
あそ: まあ「こういうふう・・・な病院とか先生だったら、いいなあ」みたいな。
ほし: ああ~。
あそ: 話をすんだよね。
ほし: へええ~、その学会で話しちゃえばいいのに、あのウンチ先生とのエピソード。
あそ: (笑)ま、まあね・・・うん。
ほし: バッドな医者の典型例だから「あれと逆にしてくれ」って言えばおおむね伝わる気が・・・(編注:「どうせウチしか診てやるところはないんだから」という発言を受け、あそどっぐはブチ切れてその病院から立ち去った。「怒りのホスピタル(修正版)」)
あそ: (笑)
ほし: まさか学会でコントするとは思わんかったわ。
あそ: うん、コントもしてきたよ。
ほし: でもおもしろいね「学会×コント」って、なかなかないでしょうねえ。
あそ: うん、ないよね、なかなかね。
ほし: ゆるくていい企画っちゅうか、コラボね。
あそ: うんうん。
ほし: なんか「学会でのあそさん」とか、その場所場所できっとちがう表情を見せてるんだろうから。
あそ: うん、やっぱやることとかは変えるよね。
ほし: ねえ、うん。
あそ: うん。
ほし: へええ~、興味ぶかいなあ。記録とか、のこってないよね?
あそ: ああ、わかんない。
ほし: ああそうだよなあ・・・へえ、もったいないなあ。
あそ: (笑)

注1:イギリスで活躍した、宇宙やブラックホールを研究した物理学者。学生時代にALSを発症。「車イスの物理学者」としても知られている。「スティーブン・ホーキング
注2:脊髄性筋萎縮症。脊髄の中にある、筋肉を動かすためにはたらく細胞(運動神経細胞)が変化して、手や足などの筋肉が弱くなっていく病気。「脊髄性筋萎縮症とは
注3:ALS。別名「筋萎縮性側索硬化症」。筋肉を意図的に動かす運動神経細胞が系統的に障害される病気。脊髄の側索が硬くなることから、この病名がついている。「ALSとは

次回、 「ネタのお話 〜ラッコとアスリートとキリギリスと〜」

あそどっぐ
1978年佐賀県生まれ。熊本在住。お笑い芸人。

あかほしあまね
1991年東京都生まれ。『コバガジン』のライター。

前回の記事はこちら 「あそどっぐと進撃の巨人先輩


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