骨灰 2023/07/15
ネタバレを含んでいるかもしれません。
読んでいる途中に怖かったというより、後がこわい。ちょっと、自分と、自分の生きている世界を疑ってしまう本でした。
でもとても面白かったです。
ジャンル分けすると、正真正銘、ホラーだと思います。
(前に読んだ「まほり」も怖いと思ったけれど、そちらはジャンル分けするとミステリーだと思います。怖いからってホラーとは限らないということです。)
さて、以下は少し内容に触れてしまうかも。
主人公は、再開発事業に関わる会社のIR部に所属しているサラリーマンだ。
社運を賭けたといってもいい、とあるデパートの建設現場の基礎工事現場、すなわち地下の調査をするところから始まる。
話のはじめから、主人公は得体のしれない地下へ降りていくのだ。
それも最初っから「普通ではない」「どこかおかしい」
なんだろう、読み手も一緒に得体の知れない怖さを抱きながら先に進む。
そして行き着くのが、地下の祭祀場と、穴。
そして鎖に繋がれた男なのだ。
主人公、光弘はこの男を逃してしまうが、ここからが全ての始まり、いや、その前、階段を降りていくところからすべては始まっていたのだ。
読んだ後ならわかる。
そして、光弘は男を「逃してしまった」のではなく、逃したのは必然とも言えることだったのだと。
祟りという得体の知れないものへの恐怖と、父親の気配が螺旋のように絡みながら物語は進んでいく。
主人公はどうなるのだろうか?
怖いだけではなく、ページをめくる手を止めさせない面白さがあった。
最後はほんと、圧巻というか、静かな迫力があった。
街を見る目が変わってしまうかも知れない。
怖いということは大事
怖いなあと思ったけれど、怖いということはとても大事なことで、、、
いや、お話は必ずしも怖くなくていいと思うのだけれど、怖い、近づかないといったことで守られてきたものがたくさんあると子供のころ聞いたことがある。
ここはいけないと言われている場所が、災害が多くて危険な場所だったとか、大人はみんなが知っているようなことだったのだけれど。
でも、例えば神社の神聖な空気などもそうやって守られてきたのでは?
おそれをしらないということはよくないなと最近思うのです。
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