愛なのか。愛とは?と考えた。「光のとこにいてね」を読んだ
この感想はネタバレを含みます。
なるべく気を付けて書きましたが、本を未読の人は読まないことをお勧めします。
感想は以下です。読んでみようと思った人だけスクロールしてください。
読む前は、つらい生い立ちを抱えた主人公たちの物語だと思っていたが、読んでみると、思っていたのとは違うラブストーリーだった。
主人公は二人の女性、結珠と果遠。
二人は、出会い、別れを繰り返す。それこそ、まるでカノンのように、出会い、美しい旋律を重ねたと思えば離れ、また出会う。
二人の一人称で交互に語られていく物語も、まるで輪唱のよう。
最初の出会いは、少しミステリアスだ。
別れが訪れた後、二人は再び出会い、また別れ、そして出会う。
再び出会うそのタイミングは、少しご都合主義的なところもないことはないけれど、読む側はまた二人、めぐり合ってほしいと切実に願ってしまう。
そこがこの作品の魅力なのかもしれない。
結珠と果遠はそれぞれ、家族に問題を抱えている。
終盤で、それを乗り越えていこうとするところも魅力的で、とても良い。
特に、結珠が問題に向き合うところは感動的だった。
しかし、それとは別に、この物語はラブストーリーなのだった。
性別であるとか、家族であるとか、年齢だとかを超えた、もっと広い意味での愛なのかと思っていたが、二人の間に流れているのは、やはり恋愛感情だと思わせる描写があって、これはラブストーリーなのだと確信した。
最後、きっと結珠と果遠はまた出会うことができる。
世間一般、大多数からは離れた恋愛だから、たくさんの人を傷つけ、また自分もその感情をなかなか認められなかったのだろう。
この本では真正面から取り上げられている同性愛だけれど、最近、本の中でも同性愛がさりげなく登場するものが増えてきたと思う。
でもまだまだカミングアウトするのは勇気がいるの一言では済まないだろう。
そして、この本のように、そもそも自分の気持ちに無意識に蓋をしてしまい、自分の本当の気持ちになかなか気づけないということもあるだろう。
二人の間に流れる感情が、やはり恋愛感情だったと確信したときには、少し驚いた。これは多分、二人の気持ちもそうだったのだと思う。私、彼女のことが好きだったのだと改めて気が付いた時の気持ちは驚きに近いものがあったのではないか。
そして私は、気が付けば、二人がこの先一緒にいられたらいいねと心の底から願っていた。
よくできたラブストーリーというよりは、読者の心を揺さぶるようなラブストーリーという言い方がぴったりな作品だと思った。
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