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批評の文体④

 頭ごなしに「あなたの漱石作品解釈は間違っていますよ」などと云われれば、大抵の人は「あなたと私の漱石作品解釈は異なります」の間違いだろうと感じると思います。不快になったり、怒る人もいるかもしれません。
 そもそも文学において「間違い」とはどういうことだ、漢字の書き間違いはそりゃ間違いだろうが、解釈を間違いとはどのようにして証明するのか、と考えるでしょう。
 それでもやはりあなたの漱石作品解釈は間違っているのです。そしてほとんどの人はそのことを指摘されても何のことか理解できません。このことは例えば私のnote記事の中で最もページービューが多く、安定的に意図して閲覧されている傾向がみられるこの記事の反応の中に窺われます。

 ごくシンプルに要旨を書けば「現在の先生が同性愛者であると見做す事はシンプルな間違いなのだという事にはなるだろう。」ということになります。ここは太字で書いています。閲覧傾向から、そして無反応から、先生を同性愛者とみなす立場の人がどこかにリンクを張っているものかと思います。しかしそこで「ああ、違うのか」と気づくことが出来ない、「ふーん」と無の感情のまま立ち去る事しかできないわけです。「おや?」と思えば本を買うでしょう。しかし全然売れないのです。2110もページービューがあるということは、この問題に関して興味を持っている人が一定数存在することは確かでしょう。その次にページービューが多いのはこの記事で、それが468しかないのですよ。

 つまり夏目漱石の『こころ』の同性愛の問題には、一定数の人が関心を持っていて、記事を讀んだ。読んだが無の感情のまま立ち去ったと推測できるわけです。

 乃木静子の殉死に関する指摘があることを書いたこの記事のページービューは135しかありません。しかし同様の指摘は繰り返し他の記事でも書いてきましたので、乃木静子の殉死はおかしい、という情報を見た人は2000人を超えている筈です。

 この指摘はnoteに留まらず、あちこちに書き散らしていますが、やはり誰も反応できないようです。無です。

八切 止夫が切腹不可能論を解いている。 http://www.rekishi.info/library/yagiri/index.html 医師でもある森鴎外が立て続けに殉死小説を書くのみに留まらず、『堺事件』や『高瀬舟』において、自刃による死がいかに困難であるのかと繰り返し書いていることが全くの偶然だとは私には思えない。 https://note.com/kobachou/n/n6272ea6f3922
一に下腹に刀身をさし通して、 ニに右に向かって八寸切りさき、 三にグイと右へ廻して上げて、 四は切り上げた刀身を引き抜き、 五はそれを持ち直し襟にあて、 六で畳の下に柄を何かで固定 七は頭を木槌のごとく打ち込む
各動作を順序よく狂いなく一分ずつでやったとみても、連続して計七分間かかる。 ところが、現在の法医学の臨床データでは、「第一の動作、つまり異物を皮膚下に突入させた時点において。八十三例中八十例までは、喪心または失神状態に陥るものである」とされている。 https://note.com/kobachou/n/n6272ea6f3922

 ……と指摘したことによって、釣られて

 この記事に誘導された人が17人、そして反応はゼロです。信じられないことですがブラックホールは穴だと信じて居る人は、それが天体だと指摘されても「で?」としか感じないわけです。先生を同性愛者だと信じたい人は、違いますよと指摘されても認められないのです。
 谷崎作品に関して言うと、谷崎を単純なマゾヒストとしか認めないために、そうではないものを書いていてもそのことに気が付かないわけです。
 これはどうやったらいいのかなと考えた結果、難しい言葉をできるだけ使わないで、より具体的に、繰り返すしかないというのが前回までの考え方でしたが、その手前で、そもそもネット民は「長文」を読まないという真実が見えてきました。この「長文」とは大体50文字以上のようです。
 つまりnoteに記事を書くことには殆ど意味がないのです。
 みな読んだのではなく、ちらっと見ただけなのです。中には「本好き」の人が「読書感想文」のようなものを書いているので、中には「長文」を読む人もいるだろうと思うのですが、どうも読みませんね。

 こう書いている人が、これを読みませんね。

 だから結論としては、誰かに伝えようとして書くのは無駄ということです。備忘録として書いていく、ということが正解なんじゃないかと。自分向けにもう少し難しい問題を掘り下げるのもありかと。そんな風に思えてきました。だから次回から少し難しいことを書くかも。

【追記】

 この記事も930人が観て、反応はゼロです。

これは13416人が観て、反応はゼロです。いい加減専門家は本買えよ。









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