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住所問題の沼について

 既にいろんな人がまとめを書いているので、付け足し程度に書いてみたいと思います。

堺市は「丁目」ではなく「丁」

 知らない人は間違いだと思う確率がかなり高いのが堺市の「丁」問題です。美原区域を除いて「丁目」ではなく「丁」と表記され、色々な経緯はあったのですが、結局変更されないまま現在に至ります。
 こうしたユニークな住所表記は京都以外にも全国のあちこちにあり、それをデジタル庁の標準ガイドライン群が指示するような形でまとめることは無理なのです。
 勿論入力フォームをラジオボタンにすれば解決するような話でもありません。

・「町・大字」に「丁目」が含まれる場合には、「丁目」以下は半角数字と半 角ハイフン区切りとする
例) 東京都千代田区霞が関二丁目1番 6 号の場合 東京都千代田区霞が関 2-1-6

 そういうことでは、多分ない。技術的な問題と、制度の問題と、仕組みの問題がこんがらがっているのが今の住所問題なのだ。

 住所の正規化が難しいだけではなく、その共有が難しいのだ。

JIS第二水準問題


 件の河野大臣の「住所表記の揺らぎ」発言はどういう問題を指摘しているかというと、実はこれはマイナンバー制度の中核の話であって、マイナンバーを利用した情報連携のシステムで、本人情報を「漢字氏名、性別、生年月日、住所」という基本四情報で照会する際に、住所情報というのは照会先の住民基本台帳の記録と、照会元の健康保険組合等で微妙に異なる場合があって不一致となるケースがあるよ、という話なのです。

 そこを勘違いして「住所表記の揺らぎ」なんか簡単に直せるとまだ言い張っている人がいますが、問題はそこではありません。照会における一致不一致が問題なのです。

 健康保険組合は企業側から住所が届け出られており、それは一応住民票上の住所である筈なのですが、居所で届けられているものもあれば、企業内で整理の為に多少いじくっている場合もあります。

 するとどうなるかというと照会用データはカンマで区切られた文字列として住所を投げてますので、一文字でも違えば不一致になるわけです。住所情報というのは検索キーとしてはかなり使いづらいものです。(実際には別の検索方法もありますがそこは省きます。)

 マイナンバーを利用した情報連携のシステムでその通信に使用される文字が原則JIS第二水準のものという縛りにも問題があります。八王子の「八」葛飾の「葛」が外字扱いで「●」表示になるのです。

 これは通信技術の問題で住所表記の問題そのものではないように思われますが、住所をマイナンバーを利用した情報連携のシステムで取り扱う場合の根本的な問題ではあります。

 この問題、令和六年に運転免許証とマイナンバーカードが紐づけられる前にも揉んでおいた方がいいでしょう。何故なら、警察庁及び都道府県警察の運転免許の管理等を行うシステムを 2024 年度(令和6年度)末までに警察庁の共通基盤上に集約する予定なのですが、これまでシステムは都道府県ごとに別々であり、当然住所表記は住民基本台帳そのままではあり得ないからです。何もしなければやはりここでもエラー続出となります。

 この際「住所」を法律的に定義することも必要でしょう。 

 

ローマ数字が外字


 マンション名でローマ数字が使われるケースもあると思います。これをアラビア数字に置き換えると妙なものですが、使うとエラーになるそうです。

https://www.e-hyogo.elg-front.jp/hyogo/uketsuke/form.do?id=1638770702119

実はシステム上は氏名も沼

 ここまで書くともうなんとなく解っている人もいると思いますが、マイナンバーを利用した情報連携のシステムでは氏名も沼です。


https://www.kojinbango-card.go.jp/faq_apply11/

 意味が解りますかね。住民基本台帳上の文字情報と通信に使われる文字情報は異なるということです。「山﨑」で申請して「山崎」のカードが作れてしまう。

 これ変じゃないですか?

 しかしそういう仕組みで動いているのです。仕組みですから「えいや」で組み直したらええやん、と思う人もいると思いますが、基本その辺りの曖昧なところを役所の方で「よろしくやる」習慣ができてしまっているので、大臣の「制度、システムには問題がない。ヒューマンエラーだ」発言になる訳です。六万字の通信システムを動かせよ、とは誰も言いません。

 勿論こんなことは大臣一人の責任ではなくて明治百五十余年の近代国家日本の行政システムが通信技術とようやくご挨拶した結果の一部に過ぎないわけです。やってみてわかったことだらけなのです。戸籍や法律のヨミガナに法律上の定義がなかったこともようやく問題化され、整理が進んでいます。外国人のアルファベット氏名の管理が始まったのも平成二十四年からです。そうしたなか住民票の除票及び戸籍の附票の除票の保存期間が令和元年145年延長され150年になりました。この附票を利用した附票ネットワークシステムが新しい住民管理の仕組みとして計画されています。

 これを利用して在外邦人の投票などの権利を確保する予定です。

 

https://www.cas.go.jp/jp/houan/190315/siryou1.pdf

 戸籍情報の一部はまだフイルムというのが現実です。しかしそれ以上に大きな問題が見つかりました。それは……

 こんな事を書いている場合じゃない。納豆買いに行かないと。


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