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自分の「認知のゆがみ」に悩んでいる人へ

こんばんは。7月から高卒採用が始まり、キャリアコンサルタントの仕事が忙しくなってきた小針です。

今日は「認知のゆがみ」の話です。僕自身が就労支援の施設で働いているということもあるのですが、身の回りで自身の「認知のゆがみ」に苦しんでいる人が多くいるので、この度色々調べてみました。あ、もちろん僕もその一人です。

結論として、「認知のゆがみ」に苦しんでいる人は「生きやすく柔軟な自動思考(スキーマ)」を手に入れることを目指すと良いそうです。順番に説明していきますね。

認知のゆがみにどうやって気づくか

そもそも、一口に「認知のゆがみ」って言ってもそれに自分で気づくことすら難しくないですか?それに悩んでいる人はすでに自分の短所と思われる部分を認識しているわけですから、それだけですごいと思います。自分の顔に鼻くそがついていたとして、鏡を見たり、自分で顔を触るまでは絶対に気づかないじゃないですか。

じゃあなんで気づくのかって言ったら、やっぱり周りの反応ですよね。直接教えてくれる人は親切です。驚かれたりクスクス笑われたら不安になります。それがきっかけで意地悪をされたり、バカにされたら傷つきます。

「認知のゆがみ」も似たようなところがあると思います。それらの経験を通して、なんとなく「自分にはどうやら認知のゆがみがあるらしい」と気付いていくわけですが、具体的にそれがどういうタイミングで発動するのか、どういう偏りがあるのか、どうやったら取り除けるのかなどはわからないですよね。鼻くそだったら指でつまんでデコピンする時のように「ピンッ」ってはじけば終わりですが、「認知のゆがみ」はそう簡単には「ピンッ」ってできません。

じゃあどうするのかって話ですね。その前に、「自動思考(スキーマ)」の話をさせてください。

自動思考とは

あなたはこんな経験ないですか?
仕事が終わらず遅くまで残業をしていると、上司から「そろそろ帰ったら?」と言われた。
それに対して、あなたはどう思います?上司から「そろそろ帰ったら?」と言われた事実を「A」とすると、「あなたが思ったこと」が「C」です。そこに到達するまでに「B」を通ります。「B」がいわゆる「認知」です。A+B=Cです。この「B」に何を代入するかで「C」は変わりますよね。

さらに言うと、「B」に何が当てはまるかは自分の意志でコントロール不能です。これを「自動思考(スキーマ)」と言います。コントロール不能だからこそ、自分じゃどうにもならず苦しんでしまう。

「B」に色々当てはめてみましょう。

①「そろそろ帰ったら?」+「私のことが嫌いなんだ!」=「あっそ、だ 
ったら私も嫌いだわクソが!」
②「そろそろ帰ったら?」+「仕事ができない俺を暗に責めてるんだ……」=「俺って本当にだめな人間だなぁ……」
③「そろそろ帰ったら?」+「上司も早く帰りたいのかな」=「キリのいいところで終わらせるか」
④「そろそろ帰ったら?」+「俺のこと心配してくれてるのかな」=「やっぱこの人いい人だわぁ」

どうでしょう。「B」に何を当てはめるかで答えは無数に生まれます。まぁ会話には文脈がありますから、上記のような上司の言葉の前後でどういう会話だったかとか、上司の言い方はどうかとか、普段の関係性はどうかとかによって変わるものではあるので、そう簡単にシンプル化できませんが、みなさんも思い当たるやり取りがあったのではないでしょうか。逆に言うと、この「自動思考」さえコントロールできるようになれば、悩みはある程度解決します。

コントロールするためには、まず自分で気付かなければなりません。先ほどの「認知のゆがみにどうやって気づくのか」という問いは、「自分はどういう自動思考なのかを把握する」ということにもなります。

気づくためには他者からのフィードバックが不可欠。先ほどの鼻くその例と同じ。誰かに「鼻くそ、ついてますよ」って言われることが必要です。一回鼻くその存在に気づくことができれば、二回目以降は警戒しますよね。「なんか鼻に違和感がある時にクスクスされることが多いぞ」とか、「通り過ぎる人が全員俺の顔を見てくるぞ」みたいに。その兆候があったら「もしかしたら俺鼻くそついてるかもしれん」ってその「兆し」を自分で見張っておくことが大事です。

先ほどの「A+B=C」の話で言うと、自分の発言である「だったら私も嫌いだわクソが!」を同僚が聞いたとして、その同僚に「え、別に上司はあんたのこと嫌ってないと思うよ?」と相対化してもらえる経験があった時がチャンスです。「私」と「同僚」で意見が食い違いました。2人は何を基準に判断しているのでしょうか。

これがこの記事のポイントです。大切なのは「客観的事実に基づく」ということです。上司は普段からあなたのことを周りの人に何て言ってるのでしょう?また、上司はあなたに直接悪口や嫌がらせをしているのでしょうか?もっと言うと、上司は「そろそろ帰ったら?」と、どのような文脈、どのような調子で言っていたのでしょうか。思い込んでしまうと中々この「客観的事実」に基づいて物事を判断するのは難しくなります。また、人の感情の機微や文脈を読むのが苦手な人もいるでしょう。そういう人はなおさら周りからのフィードバックに耳を傾ける必要があります。「客観的事実」とは誰が見ても揺るぎようのない事実です。それに対しての意味付けが違うのであれば、そこに何かしらの認知の相違があったと言うことです。常にそこにアンテナを張っておくことで、だんだんと自分の「認知のパターン」に気づけるようになります。

全ては自分の「生きやすさ」のために

勘違いしてはいけないのが、「認知それ自体に正解も不正解もない」ということです。専門書の中には「適応的な認知」と「非適応的な認知」という言葉が出てきますが、結局そのやりとりで自分と相手が気持ちよく終われるのが一番ハッピーじゃないですか。「もしかして自分の考え方っておかしい!?」って考えるようになると、どんどん自己肯定感が下がって、また別の悩みが生まれてしまいます。「認知のゆがみは幼少期の体験がベースになっている」なんていう話もありますから、全てを自分のせいと考える必要は全くありません。自分の生まれ育った「環境(客観的事実)」を分析してみると、また発見があることでしょう。

おまけ~認知のゆがみを改善するために実践できること

なぜおまけかと言うと、「これを必ず実践しなければいけないのか……!」と気負ってしまってはいけないと思ったからです。専門書にはもっとたくさん紹介されていましたが、今回は3つだけ紹介します。参考程度に読んでください。

①気分(心)と思考(頭)を分ける


僕たちは毎日様々な「気分」に支配されています。憂鬱だな、イライラするな、悲しいな、楽しいな、テンションアゲアゲだな、などなど、その時その時によって「気分」はどんどん移り変わります。

悲しい時に上司に「そろそろ帰ったら?」なんて言われた日には「上司のせいで悲しいんだ!」なんて思い込んでしまうかもしれません。でも待ってください。その「気分」が上司のせいだと言う客観的事実はありますか?他に思い当たりそうな要因はありませんか?雨が降っている、恋人に振られた、知人を亡くした、好きなバンドが解散した、要因は色々あると思います。今の「気分」に影響されて生まれた「思考」は、そこにあたかも関係性があるように思いがちですが、それらは明確に分けるべきだと言います。

「悲しい」から「私はこの世に必要ない」
「楽しい」から「俺はなんでもやれる!」
これらに因果関係はありません。私を「悲しくさせている要因」はなんなのか。「私はこの世に必要ない」と「思考させる何か」は何なのか。難しいですが、そのように考えられるようになると、「生きやすく柔軟な自動思考(スキーマ)」を手に入れ始めている証拠かもしれません。

②「まぁまぁさ、言うて〇〇だし」


「悲しい気分」の時、自分の意志でそれを変えるのは困難です。自ら環境を変えない限り、「今この瞬間の気分」は変わりません。ですが、「思考」は変えることができます。

例えば、「私はこの世に必要ない」と思った時に、上記の言葉を頭に思い浮かべて、「〇〇」の部分に何か適当な言葉を当てはめてみてください。

「私はこの世に必要ない」→「まぁ、言うて本当の意味で必要な人間なんていないし」

みたいな感じです。大袈裟に、ユーモアたっぷりで反論するのがポイントです。

「俺はなんでもやれる!」→「まぁ、言うて俺まだ何にも成し遂げてないけどな」

自虐的でいいのです。セルフツッコみが自分で出来るようになると、「思考が柔らかく」なり、他人から同じようなツッコみを受けた時にもムカッとこなくなります。

③「~するリスト」を作り、できそうなものから実践する。


ある程度セルフツッコミに耐えられるようになったら、次は自分の「行動」を変えていきます。さっきの上司とのやり取りのように、過去に自分が「上手くいかなかったな」と思ったシーンを思い出し、紙に書きだします。そして、それに対しての自分の「返し」を思いつくままに箇条書きにします。

・「そしたら早く上がって一緒に飲みに行きますか!」と言う
・(「バンッ!」と机をたたく)
・(無言でキーボードをカチャカチャさせる)
・「あと10分だけやらせてください!」と言う
・(変顔する)

など、思いつくままに書いてみてください。その後に、各行動を点数化します。項目は以下です。

1,解決度
2,感情的好ましさ
3,時間と労力
4,メリットとデメリットの比率

これらをそれぞれ10点満点で書き出していき、1番ポイントが高かった行動を実際にやってみるのです。ミソは「~したいリスト」ではなく「~するリスト」であることです。ハードルの低い「行動」から実際に実践してみてください。「行動」が変わればおのずと「認知」も変わります。

まとめ

いかがだったでしょうか。何度も言いますが、「認知のゆがみ」を直すということは「自分の生きやすさ」につながります。ですが、「直す」ことが目的になって自分が苦しんでしまうのは本末転倒です。ゆっくり自分のペースでいいんです。かくいう僕も自分の認知には毎日苦戦を強いられています。そして、そのことに一回も悩んだことのない人は、おそらくいないのではないのでしょうか。みんな一度は顔に鼻くそをつけたことがあるように。だいぶかみ砕いて書きましたが、この文章が少しでも誰かの役に立ったら嬉しいです。

本日も読んで頂きありがとうございました!

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