浦島物語

かの有名な浦島太郎さんをご存知だろうか?

いじめられていたカメさんをイケメン浦島が助け、そのお礼に竜宮城に招待されパーリナイの日々を送ったものの、最後には好奇心に打ち勝つことができず玉手箱を開けたがためにおじいさんになってしまったというお話。

実は小林もカメを助けた経験がある。

ある日の仕事帰り、あと数メートルで家に着くというところで不意にご近所さんのOさん家の外壁の貼り紙に気づいた。そこにはそのお家で飼っているカメが脱走してしまいいなくなってしまったこと、見かけたら連絡をほしいということがカメの写真とともに掲載されていた。
(この頃はまだ実家住まい)

この類の案件は犬やねこ、鳥では見たことがあったがカメでは初めてのことだった。
(カメさんの水槽、外に置きっぱだから…)
と思いつつも、徳川綱吉くらい動物愛好家の小林はカメさんの無事を祈った。

翌朝、いつも通りぼんやりしながら仕事へ向かった。
家を出て2回角を曲がり、千川通りの歩道を歩きはじめて程なくのことだった。
「ん……?」
小林は思わず漫画のような華麗な二度を見した。
そこには見慣れない光景が広がっていた。
鳩のノリで1匹のカメがのんびりと道のわきに存在していたのだ。
二度見時点ではその状況を飲み込めるほど脳がまわっていなかった。が、わたしは閃いてしまった。
(…このカメ、Oさんの家のいなくなったカメじゃね…?)

そう思った瞬間、わたしは無我夢中で道を引きかえした。そしてOさんの家のインターホンを鳴らした。

「はい〜Oですけど〜」
「あの、わたし近所に住んでいる小林といいます。あのですね、いま仕事に向かってて千川通り歩いてたんですけど、カメがいたんですよ!もしかしてOさんの家のカメじゃないかなって思いまして…来てもらえますか?!?ほんとにさっき見たばかりなのでまだあの位置にいると思います!(カメだし!)」

そしてOさんと共にわたしはカメ発見現場へ急行した。
わたしの予想通りこの1〜2分の間でカメの歩みではそう遠くへ行くことはできなかったようだ。
「Oさんの家のカメですね?!?」
「(カメを持ち上げて)はい!多分うちの子だと思います!!見つけていただいてありがとうございます!!助かりました!!」
「よかったですー!!」

こうしてわたしは朝から浦島太郎ぐらいの活躍を果たし、歓喜雀躍、仕事に向かったのであった。

めでたしめでたし。

しかしここで終わらないのが芸人人生である。(?)
浦島活動の3日後くらいだろうか。
夕飯時に母より「ねぇ、あなたにOさんからお手紙?が来てるわよ、ポストに入ってた。カメのお礼かしらねぇ」と話しかけられた。
少し大きめの茶封筒を開けるとそこにはお礼のメッセージとともに、可愛らしいねこちゃんのタオル、花柄のタオルが同封されていた。
これだけでもかなり嬉しい事態なのだが、さらに小袋を発見してしまった。中身を確認すると…

なんとそこには樋口一葉さんが、、!!!
これには母とたまげました。
母「ラッキーじゃん!!カメ助けてよかったね!」

とても印象深い経験となりました。
いまでもタオルは愛用しています。
ありがとうOさん。カメさん。

それ以来Oさんの家のカメの動向が気になって仕方なくなったのは言うまでもない。

もしカメを道端で見かけた際は、仕事に向かってる最中でも救出することをお勧めする。


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