同期でいたい9-3--デート?--
映画の時間まで、軽めのお昼を食べて、お店を見てまわる。
高木は「奈良の部屋は、今と変えたくてさー」なんて軽く言いながら、インテリアショップを見たがった。
今は、遠くに行ってしまうことを忘れていたいのに。繋いだままの手をぎゅっと握った。
「これ可愛いー」
お店の隅に置いてあった、小鳥のふわふわしたキーホルダーを見て私が言うと、高木は「はぁ?」と言った。
「ナツキいくつだよー」
「いいじゃん。可愛いものはいつまでも可愛いんだからー」
ふーんと、高木は考えるようにして言った。
「じゃ、俺も買お。ナツキ何色?」
「え?」
「買ってやるってこれくらい」
そうして小鳥キーホルダーは私の元にやってきた。私はクリーム色で、高木はカーキ色だ。
「ありがとう!可愛い!何につけようかなぁ」
「これを俺だと思って大事にしろよ」
高木は冗談ぽく、にやっと笑って言ったけど、私はなんだか笑えなくて、ぎゅっとそれを握った。
内容なんて全く頭に入らないまま、映画を観終わり、駅に戻った。
「じゃあな」
「高木、私…。あの、この後も、引越し準備手伝うよ」
あははと高木は笑った。
「ナツキ本当は今眠いんだろー、映画のときコクコクなってた」
昨日ほとんど寝れなかったことが、バレたみたいで顔が熱くなる。
「今日はもう帰って寝ろ。早く帰らないと、サボったのバレるし」
もうすぐ終業時間も迫っていた。
電車がホームに入ってくる。
「はー。久々に休日らしい休みだったわ。ありがとな」
高木は、電車のドアが閉まると、手を上げて見えなくなるまで見送ってくれた。
つづく
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(鑑賞映画…邦画シリーズもの第二作。一作目、ナツキ未鑑賞。高木うろ覚え)
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