ゆきだるまとけたら 2
昼休みに入る前に、雪は溶けてしまった。教室の窓から見えるグラウンドは、もう砂一面になっていてところどころ水たまりになっている。
ゆきだるまもとけちゃったかな。
駐車場は教室からは見えなくて確認できなかったけど、きっと残ってはいないだろう。少し残念だった。何かしゃべるきっかけになるかなと思ったのに。
友達とお弁当を食べおわると、私はノートを持って立ち上がった。
「この前の小テスト、分からないとこあったから質問してくる」
「またぁ? よくやるよ。不毛すぎない?」
サバサバ系の友人、早帆は私の恋に反対。
「まぁまーいいじゃん。そういうのもある意味青春っていうかさぁ」
女の子らしい方の友人、杏奈は私の恋に賛成。
「えー。逆に青春無駄使いじゃない? 絶対無理なのに」
「こらこら。かぐらが楽しければいいじゃんね」
友達二人は口々にそう言う。どっちにしろ、私のことを面白がっている。
「行ってきます」
私はそれだけ言って教室を出た。反対でも賛成でもどちらでもいいけど、ネタにされるのは気に入らなかった。
友人たちは、私が質問に行く本当の理由を知っている。小テストのわからないところ、なんて実際にはどうでもいい。本当は話したいだけ。
昼休みの騒がした廊下をぬけて、職員室に向かう。
私が好きな人、黒いゴルフの持ち主である彼は、そこにいる。
相手は教師。しかも担任。
教師に憧れるなんてよくある話。だけど、私は違うと思いたかった。憧れなんかじゃない。同級生だったとしても、同僚だったとしても彼のことを好きになっていたはずだって自信はある。
深呼吸して職員室の扉を開けた。
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