便箋たち
私がはじめて使った便箋は、たしかヒヨコの絵が書いてあるものだった。
それか、ウサギとクマのものだったかもしれない。
最後に残った一枚を、母が「こうやって取っておくといいよ」
とアルバムに挟んでくれたのを覚えている。
それから、何セット便箋を買ったかなぁ。
文房具屋さんで、お土産屋さんで。
手軽で、可愛くて、そして実際に使えるものなので、ついつい手にとってしまう。
私の便箋コレクションの中には、「りぼん」の付録もいくつかあった。
いつのまにか郵便番号も7桁になり、やがてキャラクターものを最上級に可愛い、と思う気持ちも変わった。
その間にも、新しい私が、可愛いと思う便箋はちょっとずつ加えていった。
だけど、今は便箋を使って手紙を出す機会が減って、家族や祖父母に出すくらい。
その家族たちへ手紙を出すとき、何となく古いものから使っている自分に気がついてしまった。
今の私が、「とっても可愛い」と思うものは何かとっておきの機会…友達に送るときなんかに置いておいて、家族たちは、まぁこれでいいかぁと。
「一番大切な人に何やっているんだろう」
数枚だけ残っていた家族用にしていた便箋を、捨てることにした。
家族にだって、今の私が一番素敵だと思うものを届けよう。
ずっと慣れ親しんだ便箋を捨てるのは少しさみしさもあったので、
母が教えてくれたように、一枚だけ保存用に残しておいた。
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