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Blenderで3DCGモデリングを始めてみて、強く感じたこと

この2ヶ月ぐらい、朝活として「Blender」というソフトで3Dモデリングをしている。ようやく、単純な形ならチュートリアルを見なくても作れるようになった。上の和室ぐらいであれば、なんとかいける。冷静に見るとだいたい四角の集まり。

作ったものに言葉を付け加えるのは余計なのかもしれないけど、実際にこうしてモデリングしたり調べたりして初めて感じたこと・考えたことを残しておく。

3DCGは、これから確実に盛り上がる

数年前にも一度、Blenderを触ったことがあった。VRやVTuberが話題に上がり始めたあたりで、「仮想空間がアツくなりそう」と思ったのがキッカケ。

でも当時は、数日で挫折した。操作方法が直感的でなかったのか、慣れるまでに相当な時間が必要に感じた。改善されるか、別のソフトが出てくるのを待とうと思った。

そして今、改めてチャレンジしてみたら、なんとかいける。そこそこ扱いやすく改善されている。そして驚くほどに多機能、かつ無料。LTSバージョンも出た。さらに、YouTubeもかなり一般化してチュートリアル動画も増えてきた。ここにきて学べる環境が整った感がある。

素人が扱えるレベルになったということは、当然ながら3Dモデルを扱う人が増えるということ。そして業界全体が盛り上がり、さらに扱いやすくなっていく。こんなツイートからもそれは感じられる。


ちなみにCG業界のスタンダードは、Mayaなどの有料モデリングソフトらしい。クオリティやサポート面の差異がポイントみたい。先日読んだ雑誌『建築知識』では、CG特集の中にプロが作る様々なサンプルCGが載せられていたけど、その使用ソフトに「Blender」の文字はほとんど見当たらなかった。

でも、他の業界でも同じだけど、ある程度品質の高い「無料」「オープンソース」のソフトウェアは、時間をかけて結構強くなる。ビジネスでも、下記のような例もあり、今後使える人が増えることで、スタンダードの一員にもなり得る。

そうして無料ソフトの質が高まることで、有料ソフトが改善されたり、価格が下がったりということも期待できる。そういう意味で、業界として参入の敷居は更に下がりそう。

また、VRoidなどの別ソフトでは、カスタマイズ要素は限られるものの、モデリングソフトを触れない人でも簡単に3Dモデルを扱えるようになってきている。CGやAR・VRの需要増加が見込まれている以上、この流れはしばらく止まることはなさそう。

でも性能面での制約はまだ強い

そんな大きな流れがあるものの、少し視野を絞ると、機械的な性能面で少し引っかかるところもある。特に気になったのは2つ。

まずは、モデリング中に、ポリゴン数によってはPCが固まったりすること。レンダリングも時間がかかる。一般家庭にPCが減ってきているこのご時世に、高性能なPCを持つ人はそういないだろうから、この制約は大きい。

レンダリングについてはクラウドサービスを使うことである程度軽減できるけど、Blenderレベルでモデリング作業ができるようなサービスはまだない。もし一般PC性能が上がるか、クラウドでモデリングできるようになれば、敷居はさらに下がるだろう。

もう1つは、特にVR関連で、サービス側にポリゴン数の制限があること。一生懸命作ったキャラクターも、規定されたポリゴン数を超えてしまうと使えない。その制限が決して緩くはないことから、ポリゴン数を減らすためのノウハウや努力に価値が出ている。

でも、こちらはそのうち気にしなくてよくなるはず。VRではないけど、次世代のゲームエンジンでは、億単位のポリゴンを余裕で扱えるらしい。それが普通になると、綺麗にポリゴン数を減らすスキルは伝統職人的なスキルになるのかもしれない。

そういう意味では、VRはまだまだ発展途上。ゲーム機でPS1とPS4では驚くほど変化したように、きっと伸びしろだらけ。まだ時間はかかりそうだけど、VRでも現実のようなリアルな綺麗な景色が目の前に広がると思うと、胸が熱くなる。

作るのにめちゃめちゃ時間がかかる

性能の課題を一旦置いておいたとしても、個々のユーザーの視点に立つと、3Dモデリングにはとにかく時間がかかる。感覚的には、絵を書いているときに似ているだろうか。

機能やノウハウを学ぶだけであれば大したことないけど、「作りたいもの」を作り出した途端、あっという間に時が過ぎる。

むしろ絵よりも次元が増えているから、「この角度から見たときだけ少し違和感がある」のように気になる点が出てきてしまう。トポロジーもリギングもシェーディングもこだわるとキリがない。まさに沼。

特に人間のような微細な造形や複雑な動きを求められるものの作り方は、いろんなYouTubeを見てもまだベストプラクティスが定まっていなさそうで、悩みながら作らざるを得ない。

最近ではスマホアプリ同士ですら時間の奪い合いが起き、時間の重要性が見直され始めている中、そんな風に3Dモデリングに膨大な時間を費やすには、そこそこの気合いが必要。自分のように朝活時間しか使えない人間には、特に貴重な時間だ。これが1番のハードルかもしれない。

3Dモデリングをするにあたって意識したいこと

それらをふまえて、今後参入する人が増えていく中、一個人が3Dモデリングをするにあたって、何を意識しておいたらよいのかなということを考えた。

1つ目は、基本的な部分で「作業の効率化」

アウトプットを増やさないことには、かけた時間を価値に変えられないし、スキルも上がりにくい。そしてアウトプットを増やすためには、単純に1つ1つの作業時間を減らすのが手っ取り早い。

3Dモデルは作成方法が多種多様ゆえに、正解がない。同じことを実現するのにも、いろんな方法がある。ショートカットキーは様々、アドオンも多彩。GUIだけでなくPythonのAPIを使う人もいる。

だから、効率化できるものを早めに習得した方が良さそう。ある程度の知識をストックできたら、チュートリアルをただ真似るのではなく、もっと効率的な方法はないか考える。きっとそれが結果的に作品数に、そしてクオリティに響いてくる。

次に、「自動化されにくいものの見極め」

簡単に作れるものは、いずれ自動化される。パターンが決まっているものや、機械が予測できそうなものに時間をかけ過ぎると、自動化されてしまったら使えないスキルだけが残ってしまう。

上の和室でも、例えば畳なんて大きさほぼ一緒だし、テクスチャを張り替えるだけでいろんな畳を量産できる。VRoidなんかはその流れ。そうなったら、モデリングというよりむしろ「形に合わせておしゃれなテクスチャを作れるスキル」の価値が上がる。

簡単にコピーできるものは自動化されるので、自動化されにくそうな、例えばカッコよく見える3D空間の設計だったり、オブジェクトが美しく映えるデザインだったり、現実には存在し得ない物体の構想だったりといった抽象度の高い部分が、次第に重要になっていくだろう。

最後は、「楽しむこと」

上の2つは、参入者が増えていく中で生き残るために必要そうなことだけど、たとえ時間をかけようが、ありきたりなものをつくっていようが、結局楽しんでいる人が1番幸せ。特に趣味の場合は、これだけでいいくらい重要。

そして楽しみながら自分の中のこだわりを貫いた結果、知らないうちに、それがその人の強みやブランドになるはず。それは、量産型アプリでは真似できないものになり、最高の価値になる。

3DモデリングのTwitterやコミュニティで「すごく良いな」と思ったのは、称賛の言葉や、質問に対する優しい回答が飛び交っていること。そこだけ見ていると、昨今よく言われる殺伐としたインターネットの雰囲気は全く感じない。みんな楽しそうだ。

他人と比較しすぎず、楽しみながら、自分の作りたいものを作り、誰かの作品を称賛できる心を持っていたい。3Dモデリングを始めてみて、そう強く感じた。

この早朝モデリングの時間がいつまで取れるかわからないけど、もうしばらくは引き続き学んでみようと思う。

(参考チュートリアル)

最後に、よく参考にさせていただいているチュートリアルのリンクを。どれも大変わかりやすく、初心者にはありがたい限り。。。










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