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蛙化現象⑩

前回までのあらすじ
僕は大学を休学し、千葉のある場所で働いていた。そこで、明日香という女性客に出会う。接客中、徐々に僕の心は明日香に惹かれていった。福岡の大学に復学後、あるきっかけで僕たちは連絡をとるようになる。改めて、明日香に対する気持ちが強くなった僕は、自分の気持ちを電話で伝えた。はっきりした返事を聞けないまま、僕たちは福岡で再開することに。その日の夜、明日香からの返事を貰い2019年12月22日、僕たちの遠距離恋愛が始まった。1月もデートをして、翌月の2月。次は僕が東京に会いに行く。

第三章 遠距離恋愛

表情

2020年2月26日の午前9:00、舞浜駅に僕たちは集合した。その日の気温は10℃以下。風も強く、外は心身ともに凍えるような寒さであった。

「あ~まじ寒いわ。」

明日香を待っている間、僕は1人呟いていた。気分は正直最悪だった。

目的地はディズニーランド。そして2月は僕の誕生月。そのためディズニーランドで、誕生日のお祝いしてくれるようだ。

「2年越しの誕生日のお返しね。」

明日香はそう言って張り切っていた。その張り切った表情を見ることで、僕の最悪な気分は一掃された。

付き合う前、明日香は自らのことをポーカーフェイスと言っていた。しかしそれは、全くといって間違いだった。

入園ゲート前BGMが聴こえた時の、嬉しそうな顔。福岡の屋台でラーメンを食べている時の、幸せそうな顔。誕生日プレゼントのマフラーを貰って嬉しそうにしている僕を見た時の、満足げな顔。初めて出会った際に誕生日をお祝いされ、照れくさそうに赤面する顔。

実に明日香は表情豊かであった。年齢とそんな豊かさによるギャップに、僕は惹かれていた。自分で言うのは恥ずかしいものだが、俗に言うギャップ萌えだ。

そしてこのディズニーデートは、僕にとって至れり尽くせりなものであった。

まずは昼ご飯。明日香はパーク内の人気レストランを予約してくれていた。そのレストランはアトラクションと併設せれているため、独特な世界観を醸し出している。その非日常的な店内が僕は大好きだった。

明日香「前に電話で、ここ行きたいって言ったよね?」

僕「うん。」

明日香「実は予約したんだ~!!」

僕「え~まじか!!!」

そんな会話をしながら、僕たちは店内に入った。僕が驚くのを見ている明日香の表情は、まさに豊かさで満ち溢れていた。

次は写真のプレゼントだ。キャラクターと何回か写真を撮ったのだが、その写真を素敵な台紙と共にプレゼントしてくれた。

明日香「あんちゃん絶対、キャラクターとあんまり写真撮らないでしょ。」

僕「うん。キャラクターに会うと、おどおどしてしまうけんさ。あんまり会いに行かんのよね(笑)」

明日香「今回が2人で行く初ディズニーだからさ、記念にあげるよ。あんまり写真撮らないなら、もっと記念感増すし。大切に持っておいて。」

写真を現像するショップ内で、そんな会話をした。外に比べると、店内の温度は雲泥の差がある。それに加え明日香の優しさを感じたことで、僕は心から温かくなった。その後「さむっ」という僕の口癖は、いつの間にか消えていた。

最後は、隣接するホテルビュッフェに連れて行ってくれた。近隣で、最高級のホテルだった。そこではバースデーケーキを出してくれた。そのケーキを食べながら、明日香は言った。

「なんかさ。まさかあんちゃんとディズニーに行くなんて、、、、、やっぱり夢みたい(笑)」

僕は答えた。

「出会い方が、出会い方やもんね。2年後、こんなことになるとは、誰も思わんやろ(笑)」

そう。人生というものには、誰も予想だにしない出来事が起こる。それを人間は奇跡と言ったり、運命と言ったり、時には不運と言ったり。それらの出来事が積み重なって、今を生きている。

僕の場合もそうだ。明日香に出会えたのは、大学を休学したから。休学したのは、部活動において自分のミスで最後の試合に負けたから。「出会えた」という「奇跡」を、「ミス」という「不運」が引き寄せたのだ。

帰りの電車内、そんなことを考えていた。一方明日香は、僕の左肩に頭を預けて眠っている。僕は面白がって、その顔を写真に収めようとした。疲れ切っているはずなのに、爽やかな顔をしていた。

「明日香は嘘つきだ」

そう考えながら、無音カメラのシャッターを押した。



今後も、恋愛経験を綴っていこうと思います。現在の時点では、彼女とは別れていません。しかし今後どんな関係になろうと、この過去は大切にしたいと風呂場でビビっと感じました。そこで投稿すること決めました。もし僕の友達がこの投稿を見たら、以下はご理解ください。病んでません。
今後しばらくは、このタイトルでnoteを作成していきます。
それでは続きはまた明日。 

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