投げるための肩甲骨
今回は、投球動作における「肩甲骨」の役割とそのトレーニングについてお話ししたいと思います。
まず、簡単に「肩甲骨」の動きと役割から確認していきます。
人体模型をイメージしてみましょう。
肩甲骨は腕と鎖骨・肋骨とつながっていますが、
実は「肩甲骨」は浮いています。
そのため、まわりの筋肉や靭帯によってその位置を保っています。
肩甲骨の働きは上肢と体幹のつなぎ役となり、
力を伝えるために重要な仕事をします。
肩甲骨の動きは、上下・横方向・回旋方向の動きを行います。
つまり、
腕・胸郭どちらの動きにも大きく関わってきます。
カラダの動きには
「ジョイントバイジョイント」といって、
それぞれの関節には<動き>と<安定>が求められる関節の役割があります。
肩甲骨に求められる役割は
肩や胸郭を動かすための<動き>と
関節を<安定>させるといったそれぞれの役割が求められています。
それでは、投球動作と肩甲骨について掘り下げていきましょう。
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12月のテーマは「動作分析」
■投球と肩甲骨
前回のnoteでは胸郭をテーマに
投球動作のしなりについてお話ししました。
投球動作は
下半身の力を体幹・腕に伝え、全身の連動した動きによって、ボールを投げています。
これには、投げるために必要なエネルギーを足先からボールに至るまで効率よく伝える動作が要求されます。
正常な投球動作では、下肢-体幹-上肢と各部分の速度が最大になる直前に次のエネルギーが伝達されます。
しかし図のように、
運動の伝達のタイミングがずれたり、下半身の力の伝達が不十分なまま投球をすると、腕に過剰な負担がかかり、ケガをしやすい投球動作となってしまいます。
今回のテーマである肩甲骨の役割はココ
つまり、先程もお伝えした「つなぎ役」です。
つなぐためには、
投球の動きを果たす<柔軟性>と
力を十分に伝達するための<安定性>が必要となってきます。
■柔軟性と安定性が必要
野球に興味のある方なら、一度はみたことのあるエンゼルス・大谷翔平選手の肩の柔軟性
とても柔らかい動きですね。
これには肩甲骨まわりの柔軟性がなければなし得ません。
しかし、ただ柔らかいだけでは
投球動作のハイパフォーマンスはできません。
その柔軟性を生かすには、
肩甲骨まわりが安定できる必要があります。
肩甲骨には多くの筋肉がついており、
その安定性を担っています。
■どのように鍛えるのか‐カラダをチェック‐
まずは「動かせること」です。
肩のまわりにつく筋肉をほぐしていきましょう。
背中
脇腹
ストレッチ
つぎに「安定」です。
まず、自分のカラダが安定できているのかをチェックしてみましょう!
これは、体幹を回旋した時の体幹の筋肉の機能をチェックする動きです。
これらを動かす筋肉は肩甲骨に深く関わっています。
<方法>
肩甲骨を内側に引きつけたまま体幹が回旋できるか
これができることで、肩甲骨‐体幹がそれぞれ分離した筋活動ができていることを指します。
反対に肩甲骨を内側に保てないと、
背中の筋肉(広背筋)の過剰な動きによって、肩甲骨の安定性が保てなくなってしまいます。
結果的に、力の伝達が不十分となりやすく、ケガを生む動作の要因となっていきます。
■肩甲骨まわりを安定させるトレーニング
肩甲骨まわりを安定させるうえで大切な
・菱形筋(りょうけいきん)
・僧帽筋
・前鋸筋のトレーニングについてお伝えしたいと思います。
■菱形筋
■僧帽筋
■前鋸筋
まとめ
・肩甲骨に求められる役割は肩や胸郭を動かすための<動き>と関節を<安定>させるといったそれぞれの役割が求められます。
・肩甲骨まわりを鍛えるポイントは
<動かす><安定><連動>
・肩甲骨の安定に必要な筋肉は<菱形筋><僧帽筋><前鋸筋>
今回は「肩甲骨」をテーマにお話しさせていただきました。
肩甲骨は肩‐胸郭の中間役であり、投球を行う上で安定することの欠かせない部分です。
自分のカラダで柔軟性と安定性をチェックし、トレーニングを選択していただけたらと思います。
「投げるための○○」連載中!!
「強いヒジのつくり方かた」
「強いヒジをつくるための肩」
「投げるための胸郭」
こちらもぜひご参考ください!
引用文献
1)外来整形外科のためのスポーツ外傷・障害の理学療法/医歯薬出版
2)投球障害共通の機能不全について、その改善方法の実際/Sportsmedicine
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