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経営組織論

春期の成績発表が続々と届いています。
「経営組織論」は、【永続性を持った企業経営を保証する「組織」の形成を歴史的に検討し、現代における組織の存在に対する様々な観点を検討する】という少々硬いテーマの講義だったのですが、高校時代に世界史選択だったこともあってか歴史的に組織を俯瞰する授業は大変興味深く拝聴できました。先日発表された成績もA+の評価でした!!

須貝栄教授の講義では、
①「組織」の成立・発生にかかわる問題
②デファクトスタンダード経営組織理論として知っていることが当然視される理論群
③70年代後半から現在に至る、組織と環境の問題

を学びました。

講義は、「法人」の発生過程を、トラストや教会などの歴史を背景に学ぶことから始まりました。その後、A.D.チャンドラーの検討に沿って、伝統的過程時代(1790年代~1840年代)の統合工場や、産業革命を経て訪れた前官僚制組織時代(1840年~1920年代)の工場制度拡大などを順々に追ってその発生過程や課題を学びました。
マックス・ウェーバーが正統的支配の3つの純粋型として、合法的支配・伝統的支配・カリスマ的支配を提示し、合法的支配は近代的官僚制の原理と深く結びついて組織管理のソフトウェアとして組織形態に導入されていきます。テイラーの科学管理によるスタッフ職能や、企業者企業におけるミドルマネジメントの台頭、経営者企業におけるトップマネジメントの出現なども順々に扱います。集権的職能部門制組織形態や分権的事業部制組織形態の構造についても扱い、法人の発生から種々の理論や考察を加えながら発展してきた組織について体系的に学ぶことが出来ました。

近代合理主義精神に基づいて、テイラーの科学的管理M.ウェーバーの官僚制ファヨールの管理の科学化などが同時代に発生していることも大変興味深い歴史の事実です。
バーナードがオープン・システム均衡論を用いて近代経営学を樹立し、サイモンは記述的意思決定論を形成しました。不完全な意思決定しかできない人間を補完するのが組織とする考えは興味深いものでした。マーチは、ごみ箱理論を唱え、あいまいな状況かでの意思決定となる現実の組織を図式化しました。マーチとサイモンが正反対の理論を展開するのも面白く、バーナードの研究がコンピュータや人工知能などの意思決定支援ツールへつながるというのも理論の変遷として重要な観点だと感じました。

組織と環境を考える際に重要な、条件適合理論資源依存理論新制度派組織理論などもこの講義で扱いました。

法人の発生から絶えず変化し続けながら存続している「組織」が抱える問題点とその解決策を歴史的にまとめることで、今後の新しい方向性についても検討できる深みのある講義でした。

特に、「サイロエフェクト」として扱われる「官僚制の逆機能」などについては、今後も深刻化する可能性があり、組織構造や分権化において注意しなければならない課題であると感じましたし、第4次産業革命と呼ばれるデジタル化やITの導入にどのように組織として対応していくかも喫緊の課題であると思いました。

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