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弘法大師4_日本で曜日が始まったのは平安時代初期

(1)日本で曜日が始まったのはいつか

多くの日本人は、日本で曜日、日月火水木金土、が始まったのは明治時代だと信じていますが、それは間違いです。

私が受講していたフランス語講座でも、2019年7月26日に、曜日の起源の話がありましたが、受講生の皆さん曜日が日本で始まったのは、明治以降で、西洋の影響だと考えている方がほとんどでした。私だけが、曜日が伝わったのは中国からで遣唐使の頃だというお話しをしましたが、ほとんどみなさん信じられないという顔でした。

実は、日本に、1週間の曜日、日月火水木金土、が伝わったのは、弘法大師が中国留学から帰国時(西暦806年)に持ち帰った「宿曜経」が始まりです。以下の二つのWeb pageをご覧ください。

[1]
  https://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000080625&fbclid=IwAR3DU40JA7ENRGum3Qasq5cT2715PM3ABDvDRHjFWVY6eJ9-kOZNuapAJwo

[2] (弘法大師と「曜日」の項参照)

https://www.oh-kouhei.org/kobo/kobo1207.html?fbclid=IwAR3DU40JA7ENRGum3Qasq5cT2715PM3ABDvDRHjFWVY6eJ9-kOZNuapAJwo

これらを読むと、曜日の起源はインドで書かれた「宿曜経」という密教の経典にあり、それが密教とともに中国に伝わり、密教を学んだ弘法大師が、日本に持ち帰ったということがわかります。また、日常的に、この曜日を使って日記を書いていた人が平安時代にいますが、それは日記「御堂関白記」を書いた藤原道長です。したがって、日本で曜日の使用が始まったのは、実に1200年も前のことだというのがわかるでしょう。

(2)なぜ日本では日曜日から一週間が始まるのか

また、日本の曜日は、日曜日から始まりますが、西洋では月曜から始まるところが多いです。それはなぜでしょうか。これも弘法大師が持ち帰った「宿曜経」に書かれています。

私が受けていたフランス語講座でアシスタントをしていたネイティブスピーカーのフランス人に、留学生のO君がいました。O君は、イギリスの植民地だった所は、皆日曜からカレンダーが始まるが、フランスなどのヨーロッパ大陸は皆月曜日から始まるからではないかというお話でしたが、日本に限っては、全くこれらは当たりません。また、日本語のウイッキペディアの記述も間違っているようです。

そこで、下に、「日本で曜日が始まったのはいつか。また日本ではなぜ日曜日から一週間が始まるのか」の正しい根拠を示します。
 
同志社大学のリポジトリーに「宿曜経」のコピーが閲覧できるようになっています。
https://doors.doshisha.ac.jp/duar/repository/ir/22549/
これを開いて、33ページの左の方を見ると
 宿曜経序七曜真品第四
 七曜者日月火水木金土也、其精上曜於天神下真干人所以司善慈而主吉凶也
云々
と明確に書かれており、七曜(一週間)が日月火水木金土で、曜日が日曜から始まっています。
 次のページ34ページには、日曜が太陽を表しており何事もこれに始まるという趣旨が書かれています。つまり、弘法大師が日本に中国から持って帰って来た真言密教の中心には、大日如来(太陽)があるので、これが宇宙の根本の始まりという思想と一致しています。だから日曜から一週間が始まるのです。

(3)外国語を学んでいても、その前に、日本の歴史を知っておくことも必要

この曜日の話で私が感じたことは、我々日本人は外国語を学んでいても、その前に、一般教養として、日本の歴史などを知っていなくてはいけないということでした。現代の日本人が、昔の弘法大師が「宿曜経」を日本にもたらしたのが曜日の始まりであることや、曜日が日曜日から始まるのは真言密教の影響であることを、知っておくべきだと思いました。

*冒頭の写真は、信州上田市にある前山寺の弘法大師増像と石碑です。

令和1年(2019年)7月27日随筆
令和4年(2022年)1月21日加筆

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