【V1-01】So what? を意識した報告で 日々の業務にスピード感を生み出す
生き残るために能力を進化させよう
近年のデジタルテクノロジーの進歩とそれによるサービス革新は質的にも速度的にもこれまでとは大きく違ってきている。これまで最も高度な知的職業とされてきた弁護士や医師ですら、多くの場面でAI (人工知能) による代替が進むと言われている。
デジタル変革に生き残り、リードしていくためには、システムに関わる私たちも能力を進化させていかなければならない。従来のようにサービスのアイデアを考案する人、計画する人、作る人、売る人といった固定的な役割に縛られていては、あっいう間に活躍の場所を失ってしまいかねない。
様々な情報から、変化の兆しを自分なりに理解して、新しく組み立て直したアイデアを顧客、上司、メンバー、世の中に伝え、発信するといった創造的な活動ができることがますます重要になる。とはいっても、いま携わっている日々の仕事もおろそかにはできない。
そこで、本記事から数回にわたって、デジタル変革の時代を生き抜くために、現在、システムの企画や開発に携わる皆さんが、日々の仕事をもっとうまく進められるようになると同時に、固定の枠を超えて活躍する準備にもなる情報の加工と発信のテクニックを紹介していきたい。
報告相手のリアクションを想像する
最初に仕事にスピード感を出すための報告の基本テクニックを紹介する。まずは、実際の事例を元に作った次のメッセージを読んでみて欲しい。
当社が開発担当したA社のシステム共通機能で先週末に不具合が発生した件です。本日の緊急招集でわかった状況を速報します。不具合を出していたのは、個別システムのベンダーが当社の共通機能を使用せず、独自実装した箇所であることがわかりました。他のベンダーのシステムは当社の共通機能を適切に使用し不具合は生じていません。
状況を補足すると、A社のシステムは複数のベンダーが作った個別システム群からなっており、それらが共通に使用する機能を、ここでいう当社が開発し提供している。その機能で不具合が発生したという報告を受け、招集された技術リーダーが上司のマネジャー向けに状況を速報したものだ。
技術系の読者であれば、このメッセージが意味していることは読み取れると思うが、このメッセージを受け取ったとき、上司のマネジャーがとったリアクションまで想像できるだろうか。
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