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『小学生の子が勉強にハマる方法』を読んで

皆さま、こんにちは。
本日は、菊地洋匡/秦一生 著の『小学生の子が勉強にハマる方法』についての感想文です。

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私には嫁も子どももおりませんが、この本を手に取りました。
表紙に"「やる気」を科学的に分析してわかった"と書かれており、その一文に魅かれた感じです。"やる気"のメカニズムが分かれば、仕事にもプライベートにも応用できるのではないかと考えて購入したわけです。

個人的には狙い通り、『知っていたような知らなかったような情報』が散りばめられていて、参考になりました!

1. ARCSモデル

本書は、"ARCSモデル"といった考え方をもって、ヒトのやる気(意欲)を構造化しています。

A=Attention
物事に対する関心度。「やってみようかな?」という注意や注目をひきつけること。何かに取り組む時の"きっかけ"。
R=Reason
物事に取り組む理由。何かに取り組む際に"背中を押してくれるもの"。
C=Confidence
物事に取り組んだことで得られる自信。何かに取り組む際の"継続のエンジン"。
S=Satisfaction
物事に"取り組んで良かった"と感じる満足感。次に何かに取り組む際の"エネルギー"。

このARCSが満たされていればいるほど、人間はやる気(意欲)に満ちている状態となります。Googleなどの企業でメンバーの動機づけをする際にも、このモデルを用いたアクションがとられているとのこと。

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一応、本書ではARCSは順番ではなく、"幾つを満たせているかが重要"と記載されておりましたが、個人的には順番も大切なのかなと考えています。

私がチームのメンバーに接する時には『Reason』を大切にして対話をし、動機づけをはかっていましたが、構造的に考えると『A/C/S』への意識は少なかったことに気づかされました。これは反省ですね。

物事に取り組む際に『面白そう』と感じてもらう事、取り組んでいるメンバーに『継続使用』と感じてもらう事、取り組みが完了した後に『また挑戦したい』と感じてもらう事、こういったこともバランス良く働きかける必要があるんですね。

2. 内発的動機、外発的動機

私としては『Reason』を大切にしてきたつもりでしたが、まだまだアプローチが弱いと思わされました。
"内発的動機付け、外発的動機付け"といったワードは、ビジネス用語では定番となってきましたが、それを更に深掘りしています。

本書では"動機の種類は6つある"というスタンスが書かれています。

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図でまとめてみました。

私の中ではここでいう"報酬志向"="外発的動機"と捉えていましたが、"自尊志向"や"関係志向"もそれに含まれる事を学びました。
つまり、『これをやらないと自分の身が危ない』という感情は外発的動機付けと認識していたものの、『誰かを喜ばせたい』とか『誰かに勝ちたい』という感情もそれにあたるとは知らず、そういった感情になるようにメンバーを煽っていたところもあると思います。
もちろん、必ずしも"外発的動機付け"が悪ではないのですが、こればかりでは物事の継続力や主体性の発露には限界があると感じています。アプローチの方法を少し考えねばいけません。

また、こちらも個人的見解で"実用志向"="内発的動機"と捉えていましたが、"充実志向"や"訓練志向"もそれに含まれるという事も学びでした。
『この物事は世のため人のためになっている』という大義名分を語れる事を大切だと思っていましたが、『これに取り組む事が好き』とか『もっと上手にできるようになりたい』という感情に対してはあまり重要視してこなかったと思います。
ただ、そういった感情も動機づけとしては十分な事ですし、必ずしも『目的・目標・影響』を明確にして全てを進める必要もないんですよね。

3. 脳の構造

『脳の構造』このチャプターも興味深かったです。
あまり脳科学的な分野には明るくなく、"右脳・左脳"くらいの認識だったのですが、物事のインプットからアウトプットを脳が支配していることを改めて認識しました。

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こちらもまとめてみました。

本書では、いわゆる『システム2』の回路をなるべく発達させ、『システム1』の回路は勉強(大人でいえば仕事)でなるべく発露させない事が重要、との事でした。

個人的見解ですが、『システム1』に関しては本能に従っている部分が大きく、『現在の欲求』を大切にしたり、『好き嫌い』で物事を選び取ってアウトプットに至る、という印象でした。
一方で『システム2』に関しては、後発的に育てるもので、『現在の欲求よりも未来への蓄積』を大切にしたり、『好き嫌いよりも客観的、論理的』に物事を選択してアウトプットに至る、という印象でした。

そして『システム2』を発露しやすくするために"相手に説明させる"、"客観的な情報を与える"などのアプローチ方法が記載されておりました。

個人的には『システム1とシステム2のバランス』が重要なのではないかと考えています。
人間の本能が『システム1』なのであれば、完全にそれを封じ込めない方が良いでしょうし、しかしながら社会生活を営む上では『システム2』も必要になってきます。
そのため、"今はどちらのシステムを使用するべきか、選択する力"そして"必要なシステムをコントロールして、発露させる力"これを育てていく事が肝要なのではないかと今は考えています。

その知見は今のところないので、脳科学本でも読んで、またインプットしたいと考えています。

4. おわりに

本書は、"小学生のやる気を引き出す"という体裁をとっているものの、その考え方や方法論は老若男女問わず活用できると感じました。

それと併せて、自身のマネージャーとしてのメンバーへの関わり方にも機会点が見いだせました。

サクッと読めますし、おススメの一冊でございます!

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