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『殺し屋のマーケティング』を読んで

皆さん、こんにちは。
三浦崇典著『殺し屋のマーケティング』という本を読みました。
"受注数世界一の殺し屋組織をつくるためには、どのような考え方、メソッドが必要か?"という内容が書かれています。

「面白そうなテーマ」と思い、マーケティングの教養本だと思ってポチったところ、まさかの小説でした。
しかしながら、『小説+教養本』といった何だか新しいジャンルの本でした。※『もしドラ』とかもそういったジャンルなのですが、『もしドラ』は『ドラッカーのマネジメントを分かりやすく解説する』ということが目的であり、『殺し屋のマーケティング』は『小説:教養』が『7:3』くらいの比率の印象でした。

個人的には教養本だと思って購入したため、小説の感想は割愛します。
小説部分もスイスイ読めましたよ!

この本で問われている課題は、『"殺し"という"売りにくいサービス"をどのようにムーブメント化させて売っていくのか?』という事でした。
その回答として、『7つのマーケティングクリエーション』という、三浦先生の持論が語られておりました。

今回は、『7つのマーケティングクリエーション』を自分に落とし込むためのnoteに出来ればと思います。

1. 『7つのマーケティングクリエーション』概要

『7つのマーケティングクリエーション』とは、組織・会社などがムーブメントを起こすまでの流れの事です。

上図のような流れになっています。
ある組織・会社などがムーブメントを起こす際に、『①STORY→②CONTENTS→③MODEL→④EVIDENCE→⑤SPIRAL→⑥BRAND→⑦ATMOSPHERE』という流れとなっています。

何かを起こすとき、まずは『STORY』が必要です。
すなわち、『何を成したいのか?何のためにそれをやるのか?』といった、理由や大義名分です。他者に感銘や共感を与える事がSTORYの定義となるので、"金儲けしたい"といった動機はSTORYにはなりません。

『STORY』が出来上がった後は、『CONTENTS=商品・サービス』が必要となります。要するに"商品やサービスがイケてる"ことがムーブメントの土台となるわけですね。
そして、『CONTENTS』を供給し続けるための『MODEL=仕組み』が必要となります。ようするに、ビジネスモデルやスキームですね。それらが"ムリ・ムラ・ムダ"のないものになっている事が重要です。
続いて、『EVIDENCE=実数値・成果』が必要となります。こちらは定量的であることが前提ですね。自分としては『イケてる商品とビジネスモデルだ』と思っていても、実数が伴わなければ致し方ないですね。

上記、『CONTENTS』『MODEL』『EVIDENCE』が整うと、『SPIRAL=上昇気流』が生まれ、長く愛される組織・会社となります。上記3項目のどれかが欠けていると一過性のブームになるわけですね。

正常な『SPIRAL』が積み上げられると『BLAND=信頼』が生まれ、他社・他者との差別化が図られます。この時点で一定数のファンがつくので、ビジネスとしては安泰でしょう。状態としては『知る人ぞ知る』といった感じでしょうか。

そして、『ATMOSPHERE=空気化』がおきます。
これが所謂ブームですね。ブームとなると、「〇〇について、あまりよく知らないけど、何か良いらしいよ!」というユーザーがその商品やサービスにつきますね。そういったライトユーザーのボリュームが増えていれば、ブームになっていると定義して良いでしょう。

ということでなのですが、読んでいく中で各項目は、"並列ではない"ことや、"因果関係が入り組んでいる"という事が理解されてきます。こちらはあくまで、ムーブメントを構成しているものを図解化しているものですので、『この通りにやればムーブメントがつくれるよ!』というHOW TOではないわけですね。
HOW TO的な箇所と言えば、『イケてる商品とビジネスモデルがムーブメントには必要』という点です。当たり前の事ですが、とても重要なことですね。※それをどうやってつくるかは、あなた次第です!

2. 『7つのマーケティングクリエーション』実践編①

実践編①は、本書でも出ていた、"吉祥寺小ざさ"さんのムーブメントの図解化です。

こちらは、本書の巻末資料を引っ張ってきました。
小ざさ さんは『一坪の店舗で年間3億円売り上げる和菓子屋』との事で、知る人ぞ知る名店です。『一坪で3億円』というと、アップルストアの19倍の坪売りになるようです。
※とはいえ、通販もしているので純粋に『一坪で3億円』とは言えませんが…。
『とにかく美味しい羊羹』というコンテンツを『一日150本のみ販売』というビジネスモデルで持続可能性と希少価値を担保しています。
さらに、『最中で売上を下支えする』という仕組みも設けています。

①『一日150本限定の幻の羊羹』というブランドをつくり、それを集客要因とする
②店舗を訪れた人へ『美味しい最中』を副次的に買ってもらう
③更に、店舗に物理的に来られない人向けに最中をオンライン販売する

という構造になっている訳ですね。
そして、他店舗展開を敢えてしないことで、『知る人ぞ知る東京の名店』という位置づけを確固たるものにしています。
※私も東京に住んでいましたが、小ざささんの事を知りませんでした…。。

3. 『7つのマーケティングクリエーション』実践編②

次は、ムーブメントまでいった例として、スターバックスを取り上げてみます。

次は、練習として私自身で構造化してみました。
まず、『STORY』は"世の中の人々にサードプレイスを提供したい"という層業者の想いや、"本場イタリアのコーヒー体験をアメリカに持ち込みたい"という思いがあります。
次に『CONTENTS』は高品質なコーヒー豆、ビバレッジです。
MODEL』としては、「おいしいビバレッジを洗練された店内で味わう」ことと「おいしいビバレッジを手軽に持ち帰りできる」という2本が軸です。また、「店員の感じが良い」ということもビジネスモデルかもしれません。※アメリカでは持ち帰り需要が高く、日本では店内利用需要が高いそうです。
『EVIDENCE』は、北米もしくは、世界的な店舗数の急拡大が実数になりますね。
『CONTENTS』や『MODEL』の安定感があるため、コーヒー好きの方や、空間を重視する方に『BLAND』として受け入れられ、いつしか"行列・満席・売切れ"という状態が発生しました。
そして、現状ではスターバックスをあまり良く知らない方でも「時間空いたから、とりあえずスタバ行こうか」的なムーブメントを形成しています。

と、ざっとこんな所でしょうか?

マーケティングのHOW TOには必ずしもならないかもしれませんが、成功しているブランドや、一過性となったブランドの構造化と考察を行なうには、すごく分かりやすい考え方ですね!

『殺し屋のマーケティング』は小説部分も、教養部分も非常に読みやすいので、様々な方におススメの一冊でございます!

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