【タイでイベントマーケティング】冷や汗が止まらなかった話。
今日は、タイでイベントマーケティングを実施した時の話をしていきたいと思います。これまでタイと日本は状況が違うと何度も伝えてきましたが、一つ例をあげると「新しいコンセプトのプロダクトに対する理解」も変わってきます。
例えば、日本ではすでに浸透しつつあるHR TECHでも、タイでは全く新しく、競合が数社しかいないようなプロダクトのマーケティングはかなり難しいです。
ちょうど1年前に、前払い給与事業のマーケティングに試行錯誤していました。
最初はリスティングやfacebook広告でアプローチを試みたのですが、サービスの性質上もあってか、ローンや金貸しと勘違いした人が問い合わせしてくることが多くありました。
広告文を明らかにビジネス向けにしたり、グラフィックに工夫を加えてみたりしましたが、効果はイマイチ。
オンラインマーケティングでの限界を感じ始めていました。
「こうなったらオフラインだな」と気持ちを切り替え、自分が立ち上げたメディア主催のイベントを開催することになります。
[ 準備段階 ] イベント開催前に行ったプロセス
まずはコンセプト決めから始めます。
どんなトピックであれば、ターゲットである人事担当者やマネジメント層は興味を持ってくれるのか、といったことから決めていきます。
コンセプト決めの参考材料には、facebookの投稿データを活用しました。過去に投稿したデータから傾向を掴み、エンゲージメントが高い投稿の種類を分析します。
数字を見ていると「HR界隈のトレンド」「テクノロジー」「世界の最先端の話題」などの投稿が比較的エンゲージメント高いことがわかってきたので、そのトピックに沿ったコンテンツにしようと「次世代のHRテクノロジー」と称したイベントを開催することにしました。
イベントを開催する際に行った具体的な流れとしては、
-パートナー探し
-イベント概要を設定
-パートナーとの打ち合わせ
-スピーチ内容を決める
-facebook広告で集客
-イベント当日
-後日接点を持った顧客へアプローチ
となってきます。
まず一つ目のパートナー探し。
立ち上げ期でコネクション構築していた際に知り合ったローカルのHRTECH企業にコンタクトをとっていました。
まだその時は集客もしていないし、どれくらい集まるかも読めない中、「40名ほど来るイベントを開催するので登壇してくれませんか?」とアプローチしました。
するとパートナーからは二つ返事で「いいよ!」とのこと。早速返事はもらえたものの、「40名集まるよ!」といってしまったので、必ず集客しなければ信頼がなくなってしまいます。
「本当に集客できるのだろうか」
「どうやって集客すればいいんだろう。こういったビジネス向けのイベントはタイの人は来るのだろうか。」
といった不安が急に押し寄せてきました。
当時はタイでメディアを立ち上げて1年もたってない時だったので、メディアとしての知名度も高いわけではありません。
とにかくイベントでのコンテンツ作りにこだわりました。
「人事の方にとって役立つコンテンツを作って欲しい」
パートナーにはHR TECHに関連するイベントをやるとは伝えて、そのあとは綿密にコンテンツの内容を擦り合わせていきました。イベントを統一感のあるコンテンツにしたかったためです。
今回登壇していただいた企業は、eラーニングを提供するHRTECH企業のCEOと、従業員エンゲージメントをAIで改善するHRTECHを提供する企業、そして自社の新しい福利厚生の給与前払いサービスです。
それぞれ「近い未来、タイにくる次世代のHR TECH」と称して、各企業今のHR業務の状況と、それらがテクノロジーによってどのように変わっていくのか、HRは今後どのようなアクションを取るべきか、について話してもらうことにしました。
各企業からいただいた提案はどれも興味深いもので、イベント自体は面白いコンテンツになるのではと思いましたが、一方で集客はまだ開始前、どれくらいの集客が見込めるのか見当も付いていない状態でした。
「応募数が100名以上。」想像以上の反応に戸惑い。
次はいよいよ集客です。今回はfacebookで集客することにしました。大きなチームではないので、グラフィック制作から広告文の作成まで一通りやります。グラフィックでも、テクノロジー系のイベントに用いられているグラフィックを研究し、色合いやグラフィックの構成などを分析しました。
グラフィックを作成する前に、他のいい例を探す際に、Pintarestが有効です。いつもイベントなどのグラフィックを作る際はpintarestで「technoogy conference」などと検索して世界中のグラフィックを参考にしています。
一通り広告文やグラフィック制作の業務が終わり、いざイベント集客のための広告を回したところ、想像以上に反応がありました。
「最初は10人も来ないんじゃないかな、メディアとしてもまだそこまで知名度も高くないし」と思ってたのですが、広告を回し始めて1週間ほどで20~30件ほどの応募が集まりました。
応募した人の役職名をみても、本来狙っていたターゲットとズレはなく、適切な人にしっかりと刺さっていたのです。
「ふぅ...」とひとまず安心した僕は当日のオペレーションについて考えることにしました。同時に日が経つにつれて、応募がどんどんと増えていきます。
「このイベント、めっちゃ刺さっているやん!」と興奮気味にメンバーに現在の状況を伝えました。
「当日は100名以上来るイベントになるぞ...」と、嬉しさ半分、初めてのオフラインイベントなので、不安も感じていました。
「冷や汗が、、とまらねぇ!!!」イベント当日の惨劇
イベントを迎えた当日。
メンバーは会場には2時間前に到着し、会場のセッティングの準備や登壇者と軽いミーティングをしたりと、初めてということもあり全体的にバタバタしていました。
プロジェクターの動作の確認も終え、「さて、これで大丈夫だろう」とイベントの準備を終えた時間はイベント開始前30分ごろです。
メンバーもちょっとずつそわそわしてきた頃合いですが、僕の頭には、「ある考え」が浮かんできました。
「数人しか来なかったらどうしよう」
この時は既に「応募数、100人超えちゃってるんですよ。」と登壇者に少し誇らしげに言ってしまっていてたのです。登壇者からの期待が重くのしかかってきているのです。
しかし、頭の片隅の不安が的中するかのように、イベント開始15分前になっても数名人がちらほら来る程度。
「これはさすがにやばい。」と思った僕は、「ねぇ、タイ人の人ってイベントでも10分前に到着するとか、そういう文化はないの?」とメンバーに聞くと「だいたいジャストの時間で来ると思う」との返答が。
「なるほど、それにしてもこの状況はやばすぎる」ということで、「すみません、お客さんが全然集まっていないので、15分ほど遅らせます。」と登壇者の方に謝罪を含めて状況を説明しました。
登壇者の方の1人が「全然いいよ。人数が少なくたって、私たちのオーディエンスには変わりない。」と言ってくれて、少し救われた気持ちになったのを覚えています。
イベント開始5分ぐらいをすぎてちらほら人数が集まってきたので、ようやく開始することに。最終的にイベント来場者は40名ほど集まり、当初想定していた100名の来場者とは大きく乖離していますが、無事イベントを終えることができました。
そこから自社への商談にも多く繋がり、オフラインイベントは成功としておきましょう。笑
それにしても100人くると思っていたイベントが開始5分前に数名しかいない状況はもう経験したくない、、。
オフラインイベントもタイでは有効な手段
SEOではキーワードボリュームに依存していたり、facebook広告ではメリットの訴求に限界があり、複雑な商材だとなかなかサービスの本質が伝わり切りません。
今回、オフラインイベントを通してサービスについて深く理解してもらうことに。結果はイベントから数十件の商談にも繋がり、営業からも「またイベントやりたい、いつやるの」と声をかけてくれるくらいだったので良きでした。
またイベントではコンテンツが命なので、「登壇者の喋りたいことを喋ってもらう」ではなく、「来場者にとってどういうコンテンツが有益か」といったことを優先的に考えていく必要があります。
それにしてもタイのドタキャン率の多さにはかなり肝を冷やすことになるので、あらかじめ対策をしておきましょう。笑
今考えられるドタキャンをなるべく抑える方法としては、
-事前に電話で数回アプローチ
-イベントのトーク内容の詳細やアジェンダを詳しく明記
-開始時間を早めに設定する。
などなどあげだしたらキリがありませんが、オフラインイベントもやる価値は大いにあると思います。
今回、失敗談か成功談かわかりませんが、こちらも何かしら参考にしてもらえると幸いです。笑
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